音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2009年11月07日
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テーマ: 洋楽(3310)




 前回のフォリナー(「 アイ・ウォナ・ノウ 」)に続いて、今回も80年代もののシングル曲、ただし今回はべたべたのラヴバラードとは対極にある、暗くシリアスな曲を紹介しようと思う。

 「孤独のメッセージ(Message In A Bottle)」や「見つめていたい(Every Breath You Take)」などで知られるザ・ポリス(The Police)は1984年に活動を停止し、実質的に解散状態になると、メンバーの一人(ベース、ヴォーカル)であったスティングはソロ・プロジェクトを開始する。その最初の成果が翌1985年にリリースされた『ブルー・タートルの夢』であり、ブランフォード・マルサリスやケニー・カークランドらジャズ畑のミュージシャンを迎えて制作された。

 そんなソロ・デビュー作からカットされたシングル曲の1つがこの「ラシアンズ(Russians)」。今となっては、歴史の教科書にも出てくる昔の話となってしまったが、当時、米ソ冷戦構造が抱えていたリアリティがそのまま曲となって産み落とされたような内容である。したがって、曲名こそ「ロシア人(Russians)」だが、当時国家として存在していたのは現在のロシアではなく、ソ連(ソビエト社会主義共和国連邦)だった頃の話だ。

 この曲のスティングのメッセージは政治的で人類的である。「あなたがたを葬り去る、とフルスチョフ氏は言うけれど、僕はその見方には賛成できない」のに対し、「あなたがたを守ってやろうとレーガン氏は言うけれど、その見方には賛成できない」。「政治的フェンスのどちら側にも常識の独占なんてものはない」、「勝算のある戦争なんてものは存在しない」。いずれも、核で牽制しあい、脅しあっていた時代をストレートに批判したものだ。

 英国出身で、英米で活躍していたスティングは、当然、その冷戦構造の中では西側の人間な訳だけれども、上のように政治的対立の両者を批判し、東側だけを責めるのではなく、この構造の異常さを冷静に捉えていたのだろう。歌詞の最後は次のように締めくくられる。

 「イデオロギー(ideology)は違っても、同じ身体組織(biology)を

 僕も君もどちらもが救われるかもしれない
 ロシア人も子供たちを愛しているのだから」

 英米では大ヒットとはいかなかった(英チャート12位、米チャート16位)が、この曲はフランスで3週連続の2位を記録し、19週にわたって仏チャートのトップ50に入り続けるヒットになった。フランスで特にヒットしたというのも、冷戦構造の落とし子ゆえのことだったのだろうか。



[収録アルバム]
Sting / The Dream of the Blue Turtles(ブルー・タートルの夢) (1985年)
Sting / Fields of Gold: The Best of Sting 1984-1994 (1994年)
など




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