エイス・ワンダー(Eighth Wonder、「世界の七不思議」をもじって「八番目の不思議」の意味)は、イギリスの6人組(後に4人組)グループ。子役時代からのキャリアを既に持っていた女優パッツィ・ケンジットをヴォーカルとして、「ステイ・ウィズ・ミー」(本盤4.)で1985年にデビューするも、本国ではろくにヒットしなかった。結局、1988年にペット・ショップ・ボーイズが提供・プロデュースしたシングル曲「モンマルトルの森(原題:I’m Not Scared)」でようやくトップ10ヒットを記録するも、正式なアルバムは同曲を含むデビュー・アルバム『クロス・マイ・ハート(原題:Fearless)』のリリースだけで活動は休止してしまった。
その例として、1.「浮気なテディ・ボーイ(原題:When The Phone Stops Ringing)」を聴き比べてみるとよい。この曲は『ブリリアント・ドリームス』と『クロス・マイ・ハート』のいずれにも含まれているが、微妙に異なる。前者のヴァージョンは音の隙間もありシンプルなヴォーカルだが、後者ではヴォーカル・エコーをはじめ細かな工夫が加えられている。技術的には後者の方が凝ったものであることは確かだ。けれども、どちらがパッツィのヴォーカルの魅力を引き出しているかと言えば、結局は前者だと思う。