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多彩な曲とヴォーカルの名作 ハース・マルティネス(Hirth Martinez)は、1945年、ロサンゼルス出身のシンガーソングライターで、残念ながら、2015年に死去している。1970年代に2枚のアルバムをひっそりと残したが、決して多くの聴衆の人気を集めたりしたわけではなかった。むしろ愛好家の間でこの『ハース・フロム・アース(Hirth From Earth)』が隠れた名盤として語り継がれてきた。ザ・バンドのロビー・ロバートソンに見いだされ、彼のプロデュースで1975年にリリースされたのが、この盤ということになる。 表題の『ハース・フロム・アース』は最初の語(アーティストの名前)と最後の語(“地球”)が韻を踏んでいるが、日本語に訳すと“地球からやってきたハース”といったようないみになる。しかもジャケット写真は、何やら海から姿を現した杖を手にした謎の人物(というかハース本人)なわけで、“地球外生命体ではなくて、海から出てきた謎の人物(生物)?”などという想像をさせかねないものである。 ところが、実際に曲を聴いてみると、そんな不気味な想像とは正反対に、優しい素朴なヴォーカルの1.「オルトゥゲザー・アローン」からアルバムが始まる。とはいえ、彼のヴォーカルが柔らかく聴きやすいだけというのは間違いである。シンプルで朴訥に見える部分がある一方で、時としてR&B的であったり、南部っぽかったりと、泥臭さを含んでいる。そういう観点から気に入っている曲をいくつか挙げておくと、2.「ウィンター・アゲイン」、3.「ジンジ」、7.「ザッツ・ザ・ウェイ」、9.「ピティ・オン・ザ・フール」、12.「コールド・ダーク・モーニン」といった具合だろうか。 “七変化”とまでは言わないが、多様な顔をさりげなく覗かせるヴォーカルがいい。その理由は、収録曲の多様さということなのだろうけれど、いずれも自作曲であり、なおかつそれをすんなり表現できてしまっているところに、本盤の素晴らしさがある。決してメジャーなアルバムではないけれど、聴き継がれたい名作の一つだと思う。[収録曲]1. Altogether Alone2. Winter Again3. Djinji4. Be Everything5. Comin Round the Moon6. It7. That's the Way It's Gotta Go8. Silent Movies9. Pity on The Fool10. I Don't Know Why the Hell11. Saturday Night12. Cold Dark Mornin’13. You Are a Star1975年リリース。 【国内盤CD】ハース・マルティネス / ハース・フロム・アース 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年04月25日
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600万アクセス記念~いま聴きたいあのナンバー(その25) 引き続き、1970年代のナンバーですが、ジェフ・マルダーの「ブラジル」とは、だいぶ方向性の違ったものを取り上げます。グランド・ファンク・レイルロード(Grand Funk Railroad)は、1960年代末に結成され、1970年代後半まで活躍したアメリカのハード・ロック・バンドです(その後も1980年代の数年間に再結成、1990年代にさらに再結成と、解散・再結成を繰り返しました)。 今回のナンバーは、そんな彼らの「オー・ワンダフル(Some Kind of Wonderful)」です。1974年のアルバム『ハード・ロック野郎 (世界の女は御用心)』に収録されていて、同じ年にシングルとして全米3位のヒットを記録しました。 この曲は、彼らのオリジナルの曲ではありません。元々はジョン・エリソン(John Ellison)という人のペンによるもので、1967年にソウル・ブラザーズ・シックス(Soul Brothers Six)というR&Bグループが発表したものです。そのようなわけで、次にソウル・ブラザーズ・シックスのヴァージョンをお聴きください。 さらに、今回は、原作者のジョン・エリソンのものもご覧ください。2018年なので比較的最近の映像ということですが、最初のMCで上述の経緯も説明されています(しかも65ものアーティストがカバーしている曲だという説明もなされていて、筆者は1990年代のヒューイ・ルイスによるカバーを思い出しました)。 余談ながら、1950年代~70年代に活躍したコーラス・グループのザ・ドリフターズにも同名の曲がありますが、そちらはまったくの別物ですので、あしからず。[収録アルバム]Grand Funk Railroad / All the Girls in the World Beware!!!(邦題:ハード・ロック野郎 (世界の女は御用心))(1974年リリース) 【輸入盤CD】Grand Funk Railroad / Icon (グランド・ファンク・レイルロード) ベスト・オブ・グランド・ファンク・レイルロード/グランド・ファンク・レイルロード[CD]【返品種別A】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年04月15日
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600万アクセス記念~いま聴きたいあのナンバー(その2) 今回の“いま聴きたい曲”は、サンタナ(Santana)とマナー(Maná)の共演による「コラソン・エスピナード(Corazón espinado)」というナンバーです。サンタナは言わずと知れたラテン・ロック、ジャズ・ロックの先駆的バンドで、ギタリストのカルロス・サンタナがメキシコ出身というのもよく知られた話です。そのカルロス・サンタナがメキシコのトップバンドであるマナーと共演しているのがこの曲です。 サンタナの作品として1999年にリリースされた『スーパーナチュラル』では、他のアーティストをゲストに招いて様々な共演を実現しました。そこに収められた1曲がこのマナーとの共演曲でした。 その後、この曲はサンタナも演奏しましたが、一方でマナーの定番曲としてライヴでも頻繁に演奏されていきました。そんなわけで、マナーの単独のライヴ演奏シーンということで、2013年のライヴ(南米チリのビニャ・デル・マール音楽祭)での映像をご覧ください。 [収録アルバム]Santana / Supernatural(1999年リリース) スーパーナチュラル/サンタナ[CD]【返品種別A】 Santana サンタナ / Supernatural 輸入盤 【CD】 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2021年03月20日
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記念すべきデビュー作 A-ha(アーハ)は、1982年に結成されたノルウェイの3人組バンド。ジャンルでいえば、シンセ・ポップという言い方をされることが多いようだが、デビュー当初から広いリスナー層の人気を獲得した。 そんな彼らのデビュー盤が1985年リリースの『ハンティング・ハイ・アンド・ロウ(Hunting High and Low)』である。本国ノルウェイで1位になっただけでなく、オーストリアや隣国スウェーデンのチャートで1位、さらにUKチャートで2位(アメリカでは15位、日本では8位)となった。さらにシングル・ヒットした1.「テイク・オン・ミー」はノルウェイや米国を含む少なくとも8か国のチャートで1位を記録した。 この「テイク・オン・ミー」は、当時のシンセ・ポップの典型的ナンバーであっただけでなく、スケッチ画風の映像がMTV時代の到来にもマッチし、瞬く間に衆目を集めた。 当時の人気はいくぶん“アイドル的”な側面があったようにも思うのだけれど、このアルバム作品を通して聴けば、後々に露になってくるa-haの核心は十分に示されていたように思う。(1980年代的に)“今風”でシンセ・ポップなだけが売りなわけではなく、叙情性でじっくりしっかり聴かせる作風はこの時点から既に素地が出来上がっていた。そのことをいちばん如実に示すのは、アルバム表題曲の3.「ハンティング・ハイ・アンド・ロウ」。似たような傾向はほかのいくつかの曲(すべてではないにせよ、5.、6.、7.、10.など)に見られるのだけれど、後々のこのバンドの発展性と同時に、おそらくは世間のイメージとのギャップに悩むことになったであろう要素が既に垣間見られる。 ともあれ、個人的には“叙情性”というキーワードで括れそうなa-haの特性が、個人的にこのバンドをいいと思う動機になっている。そういう意味では、1.「テイク・オン・ミー」だけでなく、3.「ハンティング・ハイ・アンド・ロウ」もという発想で本盤を聴いてほしいというのが筆者の想いだったりする。[収録曲]1. Take on Me2. Train of Thought3. Hunting High and Low4. The Blue Sky5. Living a Boy's Adventure Tale6. The Sun Always Shines on T.V.7. And You Tell Me8. Love Is Reason9. I Dream Myself Alive10. Here I Stand and Face the Rain1985年リリース。 【輸入盤】Hunting High And Low (Rmt) [ a-ha ] 【中古】 ハンティング・ハイ・アンド・ロウ /a−ha 【中古】afb 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年03月16日
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世界的ヒットを含む代表盤の一つ リトル・リヴァー・バンド(Little River Band)は、オーストラリアから世界進出を果たした草分け的バンド。国内ですでに活動をしていた複数のバンドのメンバーが集まって1975年にメルボルンで結成され、同年にセルフタイトルのデビュー盤をリリースした。オーストラリア国内で大きな人気を集めただけでなく、彼らはイギリスやアメリカにも進出していく。米西海岸ロック的な爽快で美しいハーモニーを武器に人気を集めることになっていく。1978年リリースの第4作『夢追人(Sleeper Catcher)』は、全米アルバムチャートで初めて20以内(最高位16位)に入り、全米3位となるヒット・シングルも生み出した。そのようなわけで、彼らの世界進出の出世盤ともいえる。 そのヒット曲というのが、2.「追憶の甘い日々(リミニッシング)」(動画含む過去記事はこちら)である。全米ラジオ史上、最もエアプレイ回数が多い曲の一つとされる名曲である。他にお勧めのナンバーとしては、同じくシングルとしてヒット(全米10位)した6.「レディ(レイディ)」で、これまたよくできた美曲。さらに、目立たないのだけれど実は名曲と思うのは、長尺の4.「時の流れに(ライト・オブ・デイ)」というナンバー。さらに、これら以外に聴き逃がせない収録曲としては、1.「安らぎの時(シャット・ダウン・ターン・オフ)」、5.「堕天使(フォール・フロム・パラダイス)」、8.「人生の小路(ソー・メニー・パス)」なんかが挙げられる。 それにしても、思い込みというか刷り込みというのは恐ろしい。筆者はずっと米盤で聴いてきたため、ある種キャッチ―なオープニングで軽快な感じのある「シャット・ダウン~」からアルバムが始まるイメージが当たり前と化していた。元のオーストラリア盤では、「堕天使」からA面が始まる曲順だったとは。さらに、当時の日本盤もどうやら豪盤と同じ曲順だった模様。こちらの曲順で聴いてみたら、本盤の印象も案外別のものになりそうな気がしていたりする。[収録曲]1. Shut Down Turn Off2. Reminiscing 3. Red-Headed Wild Flower4. Light of Day 5. Fall from Paradise6. Lady 7. Sanity's Side8. So Many Paths9. One for the Road*参考:豪盤の曲順(上の米盤・下記の豪盤ともに、1.~4.がLP盤のA面、5.~9.がB面)1. Fall from Paradise2. Lady3. Red-Headed Wild Flower4. Light of Day5. So Many Paths6. Reminiscing7. Sanity's Side8. Shut Down Turn Off9. One for the Road1978年リリース。 ★CD/SLEEPER CATCHER/FIRST UNDER THE WIRE (輸入盤国内仕様)/リトル・リヴァー・バンド/OTCD-6399 ↓ベスト盤です↓ 【輸入盤CD】Little River Band / Best Of (リトル・リヴァー・バンド) ↓こちらはオリジナル・アルバムのLP盤↓ (LP)リトル・リバー・バンド/Sleeper Catcher 【中古】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年03月08日
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S・ルカサーをヴォーカルにしたロック回帰盤 思えば、TOTOというバンドは、ヴォーカリストが一定しなかった。1976年にバンドが形成されてから、1984年まではボビー・キンボールがヴォーカリストだった。その後は、ファーギー・フレデリクセン(デニス・フレデリクセン)が短期間メイン・ヴォーカルを務めた後、ジョセフ・ウィリアムズがフロントを務めたものの、『第七の剣』の後に脱退。南アフリカ出身のジャン=ミシェル・バイロンがその後釜となるも、短期間しか続かず…といった具合であった。バンドの顔というよりは“声”としてのヴォーカリストが安定しないにもかかわらず、トップを張り続けるというのは、決して容易ではなかったことだろうと思う。 そんな中、1992年に発表された本盤『キングダム・オブ・デザイア~欲望の王国~(Kingdom of Desire)』では、従前からのメンバーだったスティーヴ・ルカサーがヴォーカルを務めた(ちなみに、その後は1990年代末からボビー・キンボールが復帰、さらに2010年代のラインアップでは、ジョセフ・ウィリアムズが再合流している)。1980年代を通じてポップ化あるいは産業ロック化の波に乗ったTOTOであったが、本盤では、シンセがなりを潜め、全体としてはロックへの回帰と言えるようなサウンドに仕上がっている。 筆者のおすすめをいくつか挙げておきたい。まずは冒頭の1.「ジプシー・トレイン」。音の厚み、勢いともに本盤中で必聴のナンバーの一つだと思う。もう一つ聴きどころを挙げておくと、アルバム表題曲の11.「キングダム・オブ・デザイア」が個人的にはお気に入りだったりする。もちろん、以前からの“聴かせるTOTO”とでも言える曲もある。9.「オンリー・ユー」なんかは、正直なところを言えば、ボビー・キンボールカジョセフ・ウィリアムスで聴きたかったと思ってしまう。 なお、本盤が発売されたのは1992年9月のことであったが、その前月の8月5日に、メンバーのジェフ・ポーカロが急死した。殺虫剤散布に伴っての心臓発作だったとされるが、このバンドの要とされていたドラマーの突然の死は当時非常にショッキングな出来事だった。[収録曲]1. Gypsy Train2. Don't Chain My Heart3. Never Enough4. How Many Times5. 2 Hearts6. Wings of Time7. She Knows the Devil8. The Other Side9. Only You10. Kick Down the Walls11. Kingdom of Desire12. Jake to the Bone13. Little Wing [日本盤ボーナス・トラック]1992年(米では1993年)リリース。 【中古】 キングダム・オヴ・デザイア〜欲望の王国 /TOTO 【中古】afb 【中古】キングダム・オヴ・デザイア−欲望の王国 / TOTO 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2021年03月02日
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ソロ・アーティストとしての90年代の成熟を示すライヴ盤 ニルス・ロフグレン(Nils Lofgren)が1997年にリリースした『アコースティック・ライヴ(Acoustic Live)』は、その名の通り、アコースティックのライヴ盤である。1997年1月のウィーンでのステージを収めたもので、1970年代以来の“ギター小僧”という、彼のイメージから想像されるエレキ・ギターではなく、アコースティック・ギターを使い、落ち着いて歌を聴かせるといった風情の盤である。 冒頭の1.「ユー」からして、いま述べたとおりのギターよりも歌に重きを置いた感じが強い。同じような流れでは、4.「リトル・オン・アップ」もいい。6.「ワンダーランド」では、元はいくぶんポップ調のロックナンバーを、小気味よくアコースティックで聴かせている。同じく、アコースティックかつ歌もの的な流れという意味で聴き逃がせないのは、11.「マン・イン・ザ・ムーン」、12.「アイル・アライズ」、13.「ブルー・スカイズ」(特にこの曲は、元のアルバムのものとはかなり違ってアコースティックな雰囲気に仕上がっている)といったナンバー。 結論めいたことを少し述べるならば、ロック調のナンバーをアコースティックに聴かせるというのは、単発の曲レベルでは比較的容易にうまく行くかもしれない。けれども、アルバム(つまりは、まとまった楽曲群)というレベルではきっと簡単ではないのだろうと思う。たくさんの曲を並べると、つい単調になり、ワンパターンに陥るということも大いにあるだろう。けれども、ロック・ギタリストの典型だったニルスによるこれら17曲を聴く限り、演奏者の力量次第では、そのようになってしまうことが必然ではないというのがよくわかる。アコースティックなギター演奏ながら抑揚に富み(これはギタリストとしての力量)、年齢と共に熟したヴォーカルの歌も聴かせる。“そういう大人に私はなりたい”と思わず言ってみたくもなるが、こればっかりは、普通の人にはそうそうなれないか…(笑)。[収録曲]1. You2. Sticks and Stones 3. Some Must Dream 4. Little on up5. Keith Don't Go6. Wonderland7. Big Tears Fall8. Believe9. Black Books10. To Your Heart11. Man in The Moon12. I'll Arise13. Blue Skies14. Tears on Ice15. All Out16. Mud in Your Eye17. No Mercy 1997年リリース。 Nils Lofgren ニルスロフグレン / Acoustic Live 輸入盤 【CD】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年02月24日
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円熟を迎えてもなお攻めの一枚 ボブ・シーガー(Bob Seger)は、1945年生まれのアメリカン・ロッカー。1970年代から表舞台で活動を展開し、シルバー・バレット・バンドなどを率いて、とりわけ1980年代には一世を風靡した。その後、1990年代半ばとなり、50歳に達する円熟期を迎えたこのアーティストが発表した本盤は、まだまだ現役そのものの“攻めの一枚”だったという風に思う。 1995年にリリースされた『イッツ・ア・ミステリー(It’s A Mystery)』というのがその盤であるが、リリース当時、筆者は本当に繰り返し聴いた(既にCDの時代だったが、LP盤の頃なら“レコード盤が擦り切れるほど”と形容してもいいくらいだった)。 冒頭の1.「ライト・オブ・パッセージ」は、そうした攻めの姿勢がよく表れている。意外に気に入っているのが、2.「ロック・アンド・ロード」で、べったりいかにもアメリカン・ロックな曲調と演奏がいい。上述した攻めの姿勢がさらによく表れている曲としては、表題曲の6.「イッツ・ア・ミステリー」がある。 あとついでにもう1曲挙げておくと、10.「シックスティーン・シェルズ」ではさりげなくトム・ウェイツのナンバーがカバーされている。「ダウンタウン・トレイン」でも証明済みのように、ボブ・シーガーは、トム・ウェイツの楽曲をアメリカン・ロック調で見事に演じられるアーティストでもある。 この頃のボブ・シーガーの音楽は、70年代の彼のイメージとは少し違ってきているのは確かだと思う。けれども、80年代の『ライク・ア・ロック』で発揮されたアメリカン・ロックの直球の延長線上いったような観点からすると、なかなかの好盤に仕上がっており、上で述べたように、筆者にとっては繰り返し聴いたお気に入り盤となっている。[収録曲]1. Rite of Passage2. Lock and Load3. By the River4. Manhattan5. I Wonder6. It's a Mystery7. Revisionism Street8. Golden Boy9. I Can't Save You Angeline10. 16 Shells from a Thirty-Ought Six11. West of the Moon12. Hands in the Air1995年リリース。 ↓ベスト盤です。↓ 【輸入盤CD】Bob Seger & The Silver Bullet Band / Greatest Hits(ボブ・シーガー) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年02月08日
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新メンバーで商業的成功を収めた第10作 フリートウッド・マック(Fleetwood Mac)の10枚目のオリジナル・スタジオ作(シカゴでのセッション盤を含めると12作目)で、大きなセールスを上げて初の全米1位となったのが、本盤『ファンタスティック・マック』である。日本語では、このような名称になっているが、原題はバンド名の“Fleetwood Mac”となっており、つまりはセルフタイトル盤である。バンドの初期、ピーター・グリーン在籍時のファースト作と同名のため、白色の背景のジャケットに因んで“ホワイト・アルバム(White Album)”と呼ばれることもある。 本盤は2つの点でフリートウッド・マックというバンドの大きな転機になった。一つはメンバーの改編である。前作『クリスタルの謎』を最後にボブ・ウェルチが脱退し、ミック・フリートウッドとジョン・マクヴィーは新たなメンバー探しを行う。そして、浮上したのが、“バッキンガム・ニックス”としてデュオを組んでいたリンジー・バッキンガムとスティーヴィー・ニックスであった。リンジーに話を持ち掛けたところ、ニックスもセットでという話になったらしいが、スティーヴィー・ニックスの存在は、まもなく新生フリートウッド・マックにとって欠かせないものとなった。 もう一つの転換は、セールス面での大成功である。新メンバー加入によって、バンドは音楽的に大きく変化し、ポップな方向へと向いた。この音楽性の変化は賛否両論あるけれど(筆者も二択でどちらか選べと言われれば、ブルース・ロックなフリートウッド・マックを選ぶのだけれど)、バンドとしては大成功だった。クリスティン・マクヴィーに加え、新加入のリンジー、スティヴィーという3人がソングライティングとヴォーカルの両面で引っ張っていくという体制は、三者三様の魅力を曲ごとに引き出すことにつながった。少し大げさに喩えてしまうと、男女混合でビートルズ(ジョン、ポール、ジョージ)の魅力と同じようなことをやってのけたわけである。アルバムはバンドとして初の全米1位を記録し、全英では23位だったものの、カナダ、オーストラリアでもそれぞれ2位と3位になった。シングルとしては、イギリスでの先行シングルも含めると都合4曲がシングルカットされた。これのうち、4.「リアノン」と7.「セイ・ユー・ラヴ・ミー」は全米11位のヒットとなったのだけれど、ここでも上記の特徴が反映されていた。4.「リアノン」はスティーヴィー・ニックスがヴォーカルを務める洒落たポップな曲調。一方、7.「セイ・ユー・ラヴ・ミー」は、それまでのフリートウッド・マックらしさを残していて、クリスティン・マクヴィーの曲作りのよさとヴォーカルが光る。 これら2つのヒット曲以外にも注目したいナンバーに少し触れておきたい。1.「マンデイ・モーニング」はリンジー・バッキンガムのナンバーで、このバンドの新たな色合いを冒頭から示している。クリスティン・マクヴィーのナンバーとしては、上記の有名曲7.「セイ・ユー・ラヴ・ミー」に加え、シングルカットもされた5.「オーヴァー・マイ・ヘッド」がいい。6.「クリスタル」や8.「ランドスライド」は、もはやそれまでのこのバンドからすっかりかけ離れている気もするが、最終的にメンバーがばらばらでちぐはぐな音楽という方向に行かなかったのは、クリスティンとリンジーが共作し、ともにヴォーカルとなっている9.「ワールド・ターニング」に垣間見られるように思う。[収録曲]1. Monday Morning2. Warm Ways3. Blue Letter4. Rhiannon5. Over My Head6. Crystal 7. Say You Love Me8. Landslide9. World Turning10. Sugar Daddy11. I'm So Afraid 1975年リリース。 ファンタスティック・マック (2017リマスター・エディション) [ フリートウッド・マック ] FLEETWOOD MAC(2017 REMASTERED)【輸入盤】▼/FLEETWOOD MAC[CD]【返品種別A】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2021年02月01日
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第2作に込められた“次の展開” ファースト・ソロ作(過去記事)でスワンプ・ロックのスタイルを打ち出したレオン・ラッセル(Leon Russell)の第2作となったのが、この『レオン・ラッセルとシェルター・ピープル(Leon Russell & The Shelter People)』。結論から言うと、筆者自身はこちらの方が断然お気に入りなのだが、このアルバムは実によく考えられ練られたものだったと思う。 第1作のリリース(1970年3月)からこの第2作のリリース(1971年3月)にかけてとその前後、レオン・ラッセルは精力的に動いていた。様々なミュージシャンとの交流、自身が中心になってゲストを迎えたTV放送向けセッション、バッド・フィンガーのアルバムへの参加…。アーティストが忙しい時期を過ごすと次の作品ができなくなるなどと言われたりもするが、ツアーで出突っ張りというのとは違い、この時期のレオン・ラッセルは、周りや自身の活動から刺激を得る“生産的な忙しさ”を送っていたのだろう。ボブ・ディランの曲をレコーディングするセッションをやってみたというのもその一環ではなかったかと想像する。 こうして、次の展開を考えてたどり着いたのが本セカンド作だったのではないだろうか。“スワンプ・ロック”とか“ルーツ音楽”と言っても、前作ではそのベクトルがどうも多方向に向いていた。それに対し、本作では向かっていくべき方向がだいぶ定まってきたというのが、筆者の印象である。 注目したい曲をいくつか挙げておきたい。2.「オブ・ジー・アイ・シング」と6.「アルカトラス」の演奏は筆者のお気に入り。また、5.「ホーム・スウィート・オクラホマ」は、レオン・ラッセルのソングライティングの力量が発揮された好ナンバーである。カバー曲も複数収められていて、3.「激しい雨が降る」と8.「悲しみは果てしなく」がボブ・ディランのカバーである(ディラン曲は他にボーナストラックとして3曲収録されている)。さらに、11.「ビウェア・オブ・ダークネス」はジョージ・ハリスンのカバー。いずれのカバーもワンパターンに陥ることなくそれぞれに独自色が出ていて、個人的にはいずれも気に入っている。[収録曲]1. Stranger in a Strange Land2. Of Thee I Sing3. A Hard Rain's a-Gonna Fall4. Crystal Closet Queen5. Home Sweet Oklahoma6. Alcatraz7. The Ballad of Mad Dogs and Englishmen8. It Takes a Lot to Laugh, It Takes a Train to Cry9. She Smiles Like a River10. Sweet Emily11. Beware of Darkness~以下、CDボーナス・トラック~12. It's All Over Now, Baby Blue13. Love Minus Zero/No Limit14. She Belongs to Me1971年リリース。 レオン・ラッセル&ザ・シェルター・ピープル/レオン・ラッセル[SHM-CD]【返品種別A】 【国内盤CD】レオン・ラッセル / レオン・ラッセル&ザ・シェルター・ピープル 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年01月26日
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カントリー・ロックの金字塔 フライング・ブリトー・ブラザーズ(フライング・ブリトウ・ブラザーズ,Flying Burrito Brothers)というバンド名は、かつては“フライング・バリット・ブラザーズ”なんて日本語表記されていた。ブリトーがコンビニエンスストアで売っている今となっては、隔世の感である。バンド名の意味するところは、“空飛ぶブリトー兄弟”。以前にも述べたように、ブリトーという食べ物を簡単に想像できる今の世に至り、このバンド名がいかにぶっ飛んでいたかも実感できるようになった。 ところで、バンド名はこのように“斬新”だったわけだけれど、彼らの音楽性もまた新たな境地を切り開く性質のものだった。その源流は、ザ・バーズ(The Byrds)での活動にある。バーズの初期からのメンバーだった(1965年のデビュー以来在籍していた)クリス・ヒルマンと、後から加入した(1968年発表の『ロデオの恋人』のみ参加した)グラム・パーソンズは、バーズを脱退し、新バンドを結成する。それがこのフライング・ブリトー・ブラザーズであり、本ファースト作『黄金の城(The Gilded Palace of Sin)』は、1969年にリリースされた。 結果、彼らは“カントリー・ロック”と呼ばれるジャンルの確立や普及に大いに寄与した。1970年代に入り、主に西海岸系のミュージシャンが商業的成功を収めていったけれども、その土台の重要な部分を提供した主要アーティストという意味で、フライング・ブリトー・ブラザーズが果たした役割は大きかったと言えるだろう。 何と言っても、カントリーのどこか大らかで長閑な雰囲気を残したロックというのが、本盤の身上と言えるだろう。この観点からすると、カントリー・デュオ特有のクロス・ハーモニーの歌唱が印象的な2.「シン・シティ」は必聴。他の曲としては、個人的には、6.「ホイールズ」や7.「愛をもどして」のような、ほのぼのした感じのカントリー調がお気に入りだったりする。さらにあと一つだけ付け加えておくと、バンド名をそのまま反映させた8.「ホット・ブリトー#1」と9.「ホット・ブリトー#2」も注目曲だと思う。“温かいブリトー”というタイトルにも関わらず、エモーショナルなラヴ・ソングの8.とややファンキーな部分を含む9.というこれら2曲は、カントリー調に頼りすぎるワンパターンに陥ることなく、バンドとして新たなサウンドへのチャレンジという意識が表れているのではないかと思う。[収録曲]1. Christine's Tune2. Sin City3. Do Right Woman4. Dark End of the Street5. My Uncle6. Wheels7. Juanita8. Hot Burrito #19. Hot Burrito #210. Do You Know How It Feels11. Hippie Boy1969年リリース。 黄金の城 +1 [ ザ・フライング・ブリトウ・ブラザーズ ] 黄金の城 +1/フライング・ブリトウ・ブラザーズ[SHM-CD]【返品種別A】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2021年01月09日
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クリスマス・アルバムの“お手本” ナタリー・コール(Natalie Cole)は、かのナット・キング・コールの娘で、1970年代にデビューしてヒットを飛ばすものの、その後は麻薬中毒で活動休止、1980年代末には再びヒットを生み出すなど、不安定な活躍をした。偉大な父というプレッシャーもあったかもしれないが、結局は病で体調を崩し、2015年に65歳で亡くなっている。 そんな彼女は1991年に父ナットのカバー曲集を発表し、シングルとなった「アンフォーゲッタブル」では、オーバーダブによる亡き父との共演が大ヒットを記録した。ナット・キング・コールと言えば、「ザ・クリスマス・ソング」などクリスマス曲でも知られるが、上記の“デュエット”の成功後に、彼女もクリスマス・アルバムを複数制作している。その一つが1994年発表の本盤『ホリー・アンド・アイヴィ~ナタリーとクリスマス(Holly & Ivy)』ということになる。 一言で言えば、本盤は“お手本”とも言えるようなクリスマス盤だと思う。選曲も王道であれば、歌唱も本人の得意分野でのアレンジが中心で個性が出ている。個人的に気に入っているナンバーをいくつか挙げてみると、1.「ジングル・ベル」は個性が実にうまく発揮されたアレンジであると思う。3.「まきびとひつじを」のような曲が合間にさらりと挟まれているのもよい。その一方で、スタンダードではないナンバーも上手に収められている。4.「ノー・モア・ブルー・クリスマス」なんかはなかなかの好ナンバーだと思う。続く5.「クリスマス・メドレー」は定番中の定番の有名曲のメドレーで、こういうのが雰囲気を盛り上げる役割を果たす。かと思うと、6.「メリー・クリスマス・ベイビー」のブルージーでソウルフルな演奏は、いい意味で予想を裏切るものである。10.「きよしこの夜」のような定番も着実にこなし、何よりも聴きどころは父ナットの有名曲11.「ザ・クリスマス・ソング」。アルバム表題の12.「ホリー・アンド・アイヴィ」でアルバムは幕を閉じるが、こうした伝統的キャロルを表題曲に選んでいるのも好感が持てる。 実は近年、日本の12月の街に出かけて不満なことがあったりする。「ラスト・クリスマス」みたいな、いかにもな曲ばかりを耳にするのである(これはこれでいい曲なのだけれど)。言ってみれば“画一化”が目に余るというか、果ては“クリスマスだからこれを流しておけ”という風潮なのか…。そんなことを考えるにつけ、それぞれの個性のクリスマス・アルバムを落ち着いて聴く、そんな機会がもっとあってもいいのかななどと思ってみたりしている(無論、本盤もそうした盤の一つということだったりする)。[収録曲]1. Jingle Bells2. Caroling, Caroling3. The First Noel4. No More Blue Christmas5. Christmas Medley: Jingle Bell Rock, Winter Wonderland, Little Drummer Boy, I'll Be Home for Christmas6. Merry Christmas Baby7. Joy to the World8. The Little Boy That Santa Claus Forgot9. A Song for Christmas10. Silent Night11. The Christmas Song (Chestnuts Roasting On An Open Fire)12. The Holly and the Ivy1994年リリース。 【輸入盤CD】Natalie Cole / Holly & Ivy【K2019/11/8発売】(ナタリー・コール) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ 人気ブログランキング
2020年12月19日
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セカンド作にしてクリスティン在籍のラスト作 チキン・シャック(Chicken Shack)は、1968年にファースト作『40ブルー・フィンガーズ』を発表し、アルバムチャートで全英12位を記録した。その勢いのまま、翌年に発表されて全英9位となったセカンド作が、この『O.K.ケン?(O.K. Ken?)』という盤である。 スタン・ウェブ(ギター、ヴォーカル)とクリスティン・パーフェクト(キーボード、ヴォーカル)の中心に、アンディ・シルヴェスタ(ベース)、デイヴ・ビドウェル(ドラムス)という4人のメンバー編成は前作と同様だが、クリスティンはジョン・マクヴィーとの結婚により、本盤を最後にバンドを脱退することとなった。前作との違いとしては、ホーン・セクションが拡充されている。実際、収められた楽曲の演奏は、トランペットやサックスといった楽器の演奏が比較的目立つ。あと、曲間(トラックとしては各曲の冒頭)には、メンバーによる“会話”が挿入され、曲の説明らしきことを行っているが、個人的にはひたすら曲だけを聴かせるスタイルでもよかったのではないかという気もする。 収録曲に目を向けると、前作よりも自作曲(ウェブ、パーフェクトおよびこれら2人の共作)が増え、カバー中心のファースト作よりもオリジナル色が濃くなっている。以下、本盤収録曲の中から、個人的好みに基づいて推奨曲をいくつか挙げてみたい。まず、スタン・ウェブのギターを堪能したい向きには、4.「ポニー・アンド・トラップ」、8.「レミントン・ライド」といったインスト曲がお勧め。ただし、8.の方から感じられる雰囲気に比べ、アルバム全体としてはもっと演奏が分厚いという印象が強い。自作のナンバーで特にいいと思うのは、アップテンポで分厚い演奏の2.「ザ・ライト・ウェイ・イズ・マイ・ウェイ」、ウェブとパーフェクトの共作でパーフェクトが歌う3.「ゲット・ライク・ユー・ユースト・トゥ・ビー」。クールで、何よりもカッコよさが光る6.「ア・ウーマン・イズ・ザ・ブルース」。もちろん、しっかり(そして、べったり)とブルースを聴かせる部分も健在で、そうした点では、11.「スウィート・シックスティーン」が特にお勧めである。[収録曲]1. Baby's Got Me Crying2. The Right Way Is My Way3. Get Like You Used to Be4. Pony and Trap5. Tell Me6. A Woman Is the Blues7. I Wanna See My Baby8. Remington Ride9. Fishing in Your River10. Mean Old World11. Sweet Sixteen1969年リリース。 O.K.ケン? [ チキン・シャック ] [期間限定][限定盤]O.K.ケン?/チキン・シャック[CD]【返品種別A】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年12月05日
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安心して聴ける安定した演奏 スティーヴン・スティルス(Stephen Stills,スティヴン・スティルス)は、バッファロー・スプリングフィールドを経てCS&Y(クロスビー、スティルス&ナッシュ)、CSY&N(クロスビー、スティルス、ヤング&ナッシュ)で名を馳せ、ソロ作やマナサスといったバンド・プロジェクトでも活動を重ねていった。そして、1975年にソロとしての第3作として世に出されたのが、本盤『スティルス/孤高の世界(Stills)』であった。 1970~71年にソロとしての最初の2作品をリリースした後、スティルスは新バンドのマナサスの作品を2つリリースしている。1973年にこのバンドは解散したが、こうした経緯の後に制作され、リリースされたのが本盤であった。レコーディングの参加メンバーには、マナサスゆかりのジョー・ララ、ダラス・テイラー、ケニー・パサレリの名が見られ、CSN&Yのクロスビーとナッシュ(7.と9.のバッキング・ヴォーカル)、さらにはリンゴ・スター(9.のドラムス)がゲスト参加している。 この盤のスティルスの音楽は、どこか柔らかい物腰に変わってきたような部分があり、それが従来のスティルス節と組み合わさっているような印象を受ける。バンドではなくソロに戻ったという状況と、マナサス活動中に結婚し子どもが生まれたといった私生活とも関係していたのかもしれない(ただし本盤発表後に離婚している)。 感覚的な言い方で恐縮だが、この人の作りだす音楽は、個人的に妙に波長が合う。本盤もその例外ではなく、そうした“感覚的”な観点から何曲か挙げてみたい。1.「君の面影(ターン・バック・ザ・ペイジズ)」は、やや肩の力を抜いた雰囲気でありながら、びしっと決まっているのがいい。6.「ママに捧げるお伽話(トゥ・ママ・フロム・クリストファー・アンド・ジ・オールド・マン)」は上記の通り家族ができたことから作られた曲とされるが、確かにいい感じのリラックス度で曲が進行する。もっとソリッドでコアなスティルス節を楽しむという意味では、10.「バッド・シャッフル(シャッフル・ジャスト・アズ・バッド)」や11.「冷酷無情の世界(コールド・コールド・ワールド)」なんかがいい。 それにしても、本邦ではこのスティーヴン・スティルスという人が話題に上ることがどうも少ない。曲もヴォーカルも筆者的にはツボにはまっていて、様々な楽器も器用に操って自分の音楽を作り上げることができ、実に稀有なアーティストだと思うのだけれど…。[収録曲]1. Turn Back the Pages2. My Favorite Changes3. My Angel4. In the Way5. Love Story6. To Mama from Christopher and the Old Man7. First Things First8. New Mama9. As I Come of Age10. Shuffle Just as Bad11. Cold Cold World12. Myth of Sisyphus1975年リリース。 Stephen Stills スティーブン スティルス / Stills / Illegal Stills / Thoroughfare Gap (2CD) 輸入盤 【CD】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年11月26日
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バンド力が発揮されたライヴ演奏盤 トラフィック(Traffic)は、スペンサー・デイヴィス・グループで頭角を現したスティーヴ・ウィンウッド(Steve Winwood)が1967年に結成したバンドだった。当初は彼のワンマン・バンドのような色合いが濃かったが、1969年にブラインド・フェイス(エリック・クラプトンらと合流したいわゆる“スーパー・グループ”で、この年のうちにあえなく解散)に参加した後、様子が少し変わった。トラフィックの活動は、これを境に第一期(結成から1969年の解散まで)と第二期(1971年の再結成から1974年の解散まで)に分けられる。本盤はちょうど後者の時期にあたるライヴ盤で、バンドとしてのまとまりやアンサンブルが存分に発揮されている。 もう少し細かな事情を見ておくと、本盤ではデイヴ・メイスン(Dave Mason)の参加が鍵になっている。メイスンは、1968年に一時期的にバンドを抜けているが、その際は数か月後に復帰、そして最初のバンド解散時にはバンドを再び脱退していた。要するに、彼はウィンウッドとは折り合いが悪かった(2000年代の殿堂入りに至っても、そのステージを巡って仲たがいしていた)のだろうけれど、1971年の再結成時にもこの人物の姿はなかった。しかし、ほんの一時期だけ(たった6公演だけだったらしい)、彼はこの第二期に合流した。本盤にはその時の演奏が収められている。 この盤のジャケットには、バンド名ではなく、メンバー名が列記されている。上記のようなわけで、スティーヴ・ウィンウッド(ヴォーカル、ピアノ、ギター)とデイヴ・メイスン(ヴォーカル、ギター)に加え、ジム・キャパルディ(パーカッション)、クリス・ウッド(サックス、フルート、ピアノ、オルガン)、リック・グレッチ(ベース)、リーバップ・クワク・バー(コンガ、ティンバル、ボンゴ)、ジム・ゴードン(ドラム)という全員の名が記されている。収録内容は、全6曲のうち、4曲がLP時代のA面、残る2曲がB面となっている。つまりは、最初の4曲は通常の尺(といっても6分超の演奏も含まれるのだけれど)で、アルバム後半は長尺の演奏(約11分と約9分)の2曲という配分になっている。 聴きどころは、やはり後半の長尺の2曲。5.「ディア・ミスター・ファンタジー」は、トラフィックのデビュー盤(『ミスター・ファンタジー』)に収録のナンバー。6.「ギミー・サム・ラヴィン」は、トラフィック結成前にウィンウッドが属していたスペンサー・デイヴィス・グループの代表曲。どちらも元の尺よりも大幅に長く、ライヴ演奏向けの長尺構成の意図が明確で、緊張感と盛り上がりが存分に楽しめる。他に注目したい曲としては、4.「欲ばりすぎたネ(シュドゥント・ハヴ・トゥック・モア・ザン・ユー・ゲイヴ)」で、2.「サッド・アンド・ディープ・アズ・ユー」と並んで、デイヴ・メイスンのアルバムからの曲で、メイスン自身がヴォーカルを担当している。[収録曲]1. Medicated Goo2. Sad and Deep as You3. Forty Thousand Headmen4. Shouldn't Have Took More Than You Gave5. Dear Mr. Fantasy6. Gimme Some Lovin'1971年リリース。 Traffic トラフィック / Welcome To The Canteen 輸入盤 【CD】 【輸入盤CD】Traffic / Welcome To The Canteen (トラフィック) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年11月22日
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聴き続けたい、地味な好盤 マイク・フィニガン(Mike Finnigan)は、1945年オハイオ州出身のキーボード(主にハモンド・オルガン)奏者、ヴォーカリスト。デイヴ・メイスン・バンドの一員として活躍したほか、ジミ・ヘンドリクス、CSN&Y、タジ・マハール、マリア・マルダー、リンゴ・スター、レナード・コーエンなど様々な大物ミュージシャンのレコーディングやツアーへの参加経験を持つ。 ジェリー・ウッドとの共作を先に残していたとはいえ、彼にとって初めてのソロ作品となったのが、1976年リリースのセルフ・タイトル作『マイク・フィニガン(Mike Finnigan)』であった。いわば“隠れた名手”的なセッション・ミュージシャンが、三十路にして出したソロ作品といったわけだったが、特にヒットというわけでもなく、日本でもこの作品は発売もされなかったという。だからといって聴く価値のない盤かというと、まったくもってそんなことはない。“こういう地味な好盤こそ聴き継がれてほしい”思う作品の典型例の一つと言っていいように思う。 ジャケットのイメージからは、カントリーか何かのアルバムと思ってしまう人もいるかもしれないが、実際には米国ルーツ音楽に根ざした泥臭さとソウルフルさが同居する楽曲を軸とし、さらにはジャズの影響も窺い知れる作品に仕上がっている。全体的には、様々な曲のカバーが中心だが、その選曲にもセンスが感じられる。以下、個人的好みを元に、注目曲をいくつか挙げてみたい。 冒頭の1.「グレイス・オブ・ユア・ラヴ」や2.「パフォーマンス」を聴くとすぐにわかるように、いくつもの曲でそのヴォーカリストとしての素質が発揮されている。さらには4.「ザ・ルーム・ノーバディ・リヴズ・イン」なんかも併せて聴くにつけ、ふとしたきっかけでボズ・スキャッグスのようなAORヒット・メイカーになれたのではなかろうかと想像してしまう(実際、彼は後にAOR風なアルバムを制作している)。5.「ニューヨークの想い」は、言わずと知れたビリー・ジョエルの名ナンバー。7.「サザン・レイディ」は、リタ・クーリッジで知られる曲だが、ここではマリア・マルダーがコーラスに参加している。8.「エヴリシング・ウィル・ワーク・アウト・ライト」は、演奏面でもヴォーカルに関しても、本盤の中で特に筆者の一押しのナンバー。ついでながら、ギターにエイモス・ギャレットが参加しているのも目を引くが、上記5.や8.のギタープレイもなかなかカッコいい。上にも記したとおり、こういう“地味な好盤”こそ、長く聴き続けられるべきと思う。もちろん、自分でもまだまだ聴き続けたい。 [収録曲]1. Saved by the Grace of Your Love 2. Performance3. Baby, I Found Out 4. The Room Nobody Lives in5. New York State of Mind 6. Ace in the Hole7. Southern Lady8. Everything Will Work Out 9. Misery Loves Company10. Holy Cow11. Mississippi on My Mind1976年リリース。 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年11月19日
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壮大なる20世紀ロック曲のオンパレード盤 ステイタス・クオー(Status Quo)は、イギリスのロック・バンドで、すでに半世紀を超える活動歴を持つ。ブギー・ロックの代名詞的なバンドで、本邦ではなぜだか知名度が低いものの、とりわけ1970年代~80年代にかけて多くヒットを放った。 2000年発表の本盤『フェイマス・イン・ザ・ラスト・センチュリー(Famous in the Last Century)』は、何とも爽快な作品である。“ミレニアム”騒ぎに沸き、21世紀を迎えようというタイミングで出された本盤の表題にある“前世紀(Last Century)”というのは、もちろん、リリース当時に終わりを迎えつつあった20世紀のことを指している。 そして、演奏されている曲は、文字通り20世紀を代表するナンバーのオンパレード的な内容である。ロバート・ジョンソンの8.「スウィート・ホーム・シカゴ」もあれば、チャック・ベリーの5.「ロール・オーバー・ベートーヴェン」もある。エルヴィス・プレスリーでよく知られる13.「ハウンド・ドッグ」もあれば、ボブ・シーガーで知られる2.「オールド・タイム・ロックン・ロール」も取り上げられている。 バンドのメンバー(ヴォーカル、リードギター)であるフランシス・ロッシは本作のことを“やりたくなかった最悪の盤”と述べている。ジャケット写真に目をやると、エリザベス女王やジョン・レノン、プレスリーらに並んでメンバーも一緒にモノクロ写真で載せられている。確かに“やり過ぎ”感もなくはないのだけれど、筆者的にはこれはこれで結構よかったのではないかと思う。何より有名曲が次から次へとあのブギー・ロック調で登場するわけだから、聴き手としては素直に楽しむことができる。しかもこれを60分も70分もやらると、聴く側は疲れるだろうが、従来のLP時代以来のアルバム1枚分の時間(実際の本盤の収録時間は44分弱)に収められているのも楽しめるポイントと言えるように思う。[収録曲]1. Famous in the Last Century2. Old Time Rock and Roll3. Way Down4. Rave On!5. Roll Over Beethoven6. When I'm Dead and Gone7. Memphis, Tennessee8. Sweet Home Chicago9. Crawling from the Wreckage10. Good Golly Miss Molly11. Claudette12. Rock'n Me13. Hound Dog14. Runaround Sue15. Once Bitten Twice Shy16. Mony Mony17. Famous in the Last Century2000年リリース。 Status Quo ステイタスクオー / Famous In The Last Century 輸入盤 【CD】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2020年11月16日
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ハイペースでアルバム発表が続いた時期のスタジオ第4作 クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル(CCR, Creedence Clearwater Revival)は、ジョン・フォガティ(ギター、ヴォーカル)を中心とした4人組のロック・バンド。1960年代末から1970年代初頭にかけて、短い活動期間ながらも、彼らはヒットを連発した。 1968年にファンタジー・レーベルからデビューし、その後もこのレーベルからアルバムを連続して発表した。デビュー盤はサイケ色も強かったが、まもなくストレートなロックへと傾いてゆく。1969年は彼らにとってキーとなる年だった。年頭には前年に録音した『バイヨー・カントリー』を発表、夏には同年前半に録音した『グリーン・リヴァー』を発表、そして、11月には本作『ウィリー・アンド・ザ・プア・ボーイズ(Willy and the Poor Boys)』を発表した。このように、年に3枚もオリジナル・アルバムを発表し続けられるほど制作意欲が高く、活力に溢れていた。 実際、彼らの作品はハイペースで発表されたものの、急いで作った感じはせず、どれも充実度が高い。本盤に関していくつか注目したい曲を挙げてみたい。CCRの最大の魅力は、“3分間のレコード芸術”で、短い時間にロックのエッセンスをコンパクトに詰め込んで楽曲として提示できていた点にある。彼らのシングルが次々にヒット(不運にも全米2位が最高位で、全米1位は生まれなかったのだが)した理由でもあったのだろう。そのような観点からすると、2.「青空の死者(イット・ケイム・アウト・オブ・ザ・スカイ)」、3.「コットン・フィールズ」、6.「フォーチュネイト・サン」は特に聴き逃がせない。 その一方、多くの曲が3分以内という彼らの楽曲演奏の傾向の中で、少し長めのものにも触れておきたい。8.「ザ・ミッドナイト・スペシャル」は4分ちょっとなので、特段長いわけでもないのだけれど、トラディショナル曲で、かつてカントリーでヒットした曲とは思えないカッコいいロック調に仕上がっていて必聴。それから、6分越えで、彼らとしてはかなり長尺な10.「エフィジー」もじっくり聴く価値のあるナンバー。CCRの活動は長く続かなかったものの、もしそのまま続いていたらこの路線を掘り下げてほしかったとひそかに思っていたりする。[収録曲]1. Down on the Corner2. It Came Out of the Sky3. Cotton Fields 4. Poorboy Shuffle5. Feelin' Blue6. Fortunate Son 7. Don't Look Now (It Ain't You or Me)8. The Midnight Special9. Side o' the Road10. Effigy1969年リリース。 ウィリー・アンド・ザ・プアボーイズ +3 [ クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル ] ウィリー・アンド・ザ・プアボーイズ+3/クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル[SHM-CD]【返品種別A】 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2020年11月12日
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1977年、ドイツでのライヴ盤 トム・ウェイツ(Tom Waits)のスタイルは年代と共に変化していったが、1970年代の“弾き語り詩人”的なパフォーマンスは多くの人たちを魅了してきた。筆者もそれに憑りつかれた一人である。もともと初期のライヴ盤としては、1975年の『娼婦たちの晩餐』があったが、この1977年のドイツでのライヴ盤は、どうやらブートレグとして出回っていたものが一般に出回ったものということのようである(正式リリースではないみたいだけれど、音質はちゃんとしたものである)。 ジャジーな演奏、しゃがれた声、自由なマイク・パフォーマンス…とこの当時のトム・ウェイツのいい部分がそのまんまにしっかりと収められているライヴ盤である。彼のデビューから、『土曜の夜』や『ブルー・ヴァレンタイン』などを経て、『ハートアタック・アンド・ヴァイン』までの辺りを好きな人にはぴったりはまる盤ではないかと思う。 個人的な独断と偏見で好みの演奏を何曲か挙げておきたい。1.「スペア・パーツ」は上記の名ライヴ盤『娼婦たちの晩餐』でも重要な役どころだったナンバー。4.「ピアノが酔っちまった」は、『スモール・チェンジ』の所収曲で、表題からして“酔いどれ”な感じだが、歌詞にもあるように、元々のタイトルには、末尾に“(Not Me)”とあり、正確には「ピアノが酔っちまった(俺ではなくて)」というもの。いくつもの曲に言えることだけれど、10.「エモーショナル・ウェザー・リポート」なんかに見られるように、自由でインプロヴィゼーショナルな雰囲気がいい。『土曜の夜』所収の12.「ニュー・コート・オブ・ペイント」を聴いてもわかるように、アルバムの演奏の再現という気は、おそらくはさらさらなくて、その場の雰囲気の方がはるかに重視されて演奏されたというのが、このライヴ感を醸し出す最大の源になっていたのだろうと思う。 それにしても、この辺の時期まで(厳密には1980年の『ハートアタック・アンド・ヴァイン』までというのが最も適切かと思う)のトム・ウェイツの演奏は、本当に“酒場”に似合う音楽だった。その酒場というのは、静かで小さなバーだったり、猥雑な雰囲気のする酒場そのものであったり、広いスペースで酒が提供されている場所だったりと様々なものを含む意味で言っているのだけれど、1970年代に本当にそういう場で一杯いただいてみたかった。まあこのトム・ウェイツの演奏の時点で筆者は未成年で、日本の外にも行ったこともなかったわけで、どだい無理な話ではあったのだけれど(笑)。[収録曲]1. Spare Parts2. Invitation to the Blues3. Depot, Depot4. The Piano Has Been Drinking5. Pasties & A G-String6. Step Right Up7. Semi Suite8. Fumblin' with The Blues9. Midnight Lullaby10. Emotional Weather Report11. I Can't Wait to Get off Work12. New Cort of Paint13. Nobody but You14. Diamonds on My Windshield15. Everytime I Hear the Melody16. The One that Got Away2008年リリース(1977年録音)。 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年11月02日
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1枚きりの名作 フィフス・アヴェニュー・バンド(The Fifth Avenue Band)は、1969年に本盤『フィフス・アヴェニュー・バンド(The Fifth Avenue Band)』だけを残し、シーンから姿を消した。この唯一の盤は、ロックにフォーク、カントリー、ジャズといった要素を取り込んだ良質な作品だった。 フィフス・アヴェニュー・バンドは、2つのグループ(エイヴォン・ハーバーとストレンジャーズ)が元になり、1968年に結成された。メンバーは、前者出身のジョン・リンド(ヴォーカル)、マレイ・ウェインストック(キーボード)、そして後者のバンドから合流したピーター・ゴールウェイ(ヴォーカル、ギター)、ケニー・アルトマン(ギター、ベース)、ジェリー・バーナム(ベース、フルート)、さらにはピート・ヘイウッド(ドラムス)の加入によって6人のメンバーとなった。 本盤のレコーディングは、ニューヨークからはるばるロサンゼルスに移動して行われた。その訳は、ラヴィン・スプーンフルのメンバーだったジェリー・イエスターとザル・ヤノフスキーが同地を活動拠点にしていたためという。1968年の末から数か月にわたってLAで録音が行われ、最後はニューヨークで残った曲のプロデュース(エリック・ジェイコブセンによる)が完成し、1969年10月にリリースされた。その内容は起伏やヴァラエティに富んだ親しみやすいロック・ナンバーのオンパレードと言える。 とにかく全編にわたってレベルが高く好曲揃いなのだけれど、敢えて何曲か聴きどころを筆者の嗜好で選んでみたい。まずは、冒頭の1.「ファースト・フレイト」。演奏にキレとメリハリがあり、この曲を含めて本盤の過半を占めるピーター・ゴールウェイの曲作りのよさも光っている。2.「ワン・ウェイ・オア・ジ・アザー」はケニー・アルトマンの作風のセンスの良さとジョン・リンドのヴォーカルが魅力的。これと同じ観点でいいのが、4.「イーデン・ロック」や9.「フェイスフル・ビー・フェアー」で、とくに4.は1969年時点でこの洗練度の高い都会感ただようナンバーが録音されていたこと自体からして見事というほかない。冒頭曲以外にピーター・ゴールウェイ作の注目ナンバーとしては、6.「カラミティ・ジェーン」(この曲は『オハイオ・ノックス』で再録されている)が特にお勧め。それから、ラストの11.「エンジェル」は唯一のジョン・リンドのペンによるナンバー。 よく言われるように、本盤はジャパニーズ・ポップ&ロックの源流の一つ(山下達郎なんかが愛好していたことがよく知られる)ともなった。しかし、残念なことに、その当時、本盤は広く受け入れられることがなく、フィフス・アヴェニュー・バンドの人気に火が付くことはなかった。徐々にメンバーが入れ替わり始め、1970年には解散してしまった。その後、ピーター・ゴールウェイは、オハイオ・ノックス(参考過去記事)やソロの作品を出すことになるが、それらと併せて本盤ももっと再評価されていい。とにかく有名ではないからという理由で聴かれることが少ないのなら、本当にもったいない話と思える代表的な盤の一つである。 [収録曲]1. Fast Freight2. One Way or the Other3. Good Lady of Toronto4. Eden Rock5. Country Time Rhymes6. Calamity Jane7. Nice Folks8. Cockeyed Shame9. Faithful Be Fair10. In Hollywood11. Angel1969年リリース。 フィフス・アヴェニュー・バンド [ フィフス・アヴェニュー・バンド ] 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2020年10月30日
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華やかな“全盛期”の集大成作 ピーター・グリーン擁する活動初期にはブルース・ロック色の強かったフリートウッド・マック(Fleetwood Mac)は、1970年代半ば以降、ポップでソフトなロックへと路線を明確に変え、『噂』(1977年)、『ミラージュ』(1982年)などといったヒット・アルバムを世に送り出した。 こうした“全盛期”のメンバーで臨んだ5枚目(バンドとしては通算18枚目)のアルバムが、1987年発表の『タンゴ・イン・ザ・ナイト(Tango in the Night)』であった。その内容をひとことで表すならば、この時までのバンドの10数年の方向性を集大成したアルバムになったと言えるように思う。実際、リンジー・バッキンガムは、本盤リリース後にバンドを脱退している(その後、1997年に復帰し、2018年まで再在籍)。 注目したい曲としては、まず1.「ビッグ・ラヴ」や7.「リトル・ライズ」が挙げられる。前者はリンジー・バッキンガム、後者はクリスティン・マクヴィー(名前がマクヴィーのままだが、この当時には既に再婚しており、この7.の共作者エディ・キンテラがクリスティンの夫である)がヴォーカルを務めている。他にもいくつかの曲がシングル・リリースされたが、これら2曲は全米・全英ともに10位圏内にチャートインした。同じくクリスティンの3.「エヴリホエア」も好曲で、全英のシングルチャートで4位を記録している。さらに、9.「ウェルカム・セーラ(ウェルカム・トゥ・ザ・ルーム…セーラ)」は、スティーヴィー・ニックスのナンバーで、コカイン中毒のリハビリ施設での体験を歌にしたものとのこと。あと、注目しておきたいのは、10.「ミッドナイト・ラヴ(イズント・イット・ミッドナイト)」。筆者の贔屓目も入っているかもしれないけれど、クリスティン・マクヴィーのカッコよさが光るナンバーだと思う。 ありきたりなまとめ方にはなってしまうが、このフリートウッド・マックの“全盛期”のよさは、やはり3人のヴォーカル体制が肝だったという風に思う。リンジー・バッキンガムのポップで洒落たセンス、スティーヴィー・ニックスの妖艶な魅力、クリスティン・マクヴィーの地道で優れた力量が絶妙のバランスで混じり合っていた。結局、本盤は全米で最高位7位、全英で1位となり、『噂』に次ぐこのバンドのビッグ・セールスを上げたアルバムとなった。余談ながら、筆者は本作のジャケットがなかなか気に入っている。ブレット・リヴィングストーン・ストロングというオーストラリア出身のアーティストによる作品なのだけれど、怪しさと明るさが同居する不思議な絵だったりする。[収録曲]1. Big Love2. Seven Wonders 3. Everywhere 4. Caroline5. Tango in the Night 6. Mystified7. Little Lies8. Family Man9. Welcome to the Room…Sara10. Isn't It Midnight 11. When I See You Again 12. You and I, Part II 1987年リリース。 タンゴ・イン・ザ・ナイト 2017リマスター・エディション/フリートウッド・マック[SHM-CD]【返品種別A】 【輸入盤CD】Fleetwood Mac / Tango In The Night (リマスター盤)【K2017/3/10発売】(フリートウッド・マック) 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2020年10月27日
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メンバーが入れ替わり、移ろいゆく中での第5作 フリートウッド・マック(Fleetwood Mac)のスタジオ第5作として1971年に発表されたのが、『フューチャー・ゲーム(Future Games)』というアルバムだった。当時のフリートウッド・マックはメンバーの入れ替わりが続き、ピーター・グリーンが脱落したのに加えて、ジェレミー・スペンサーも脱退してしまう。ブルース・ロックのバンドから次のステージへの変容過程の最初が、ピーター・グリーンの去った後の前作『キルン・ハウス』だとすれば、ジェレミー・スペンサーが抜けた後、変容過程の第2弾がこの『フューチャー・ゲーム』ということになろう。本盤では、新たなメンバーとしてボブ・ウェルチが加入し、さらには、前作においてコーラスなどで加わったクリスティン・マクヴィー(Christine McVie,クリスティン・パーフェクト)が正式メンバーとしてフル参加している。 過渡期の作品ということで、この前後の作品は影の薄い扱いを受け、ブルース・ロック色全開のバンド初期や、1970年代半ばから後半にかけての“全盛期”の作品みたく、頻繁に取り上げられることもない。けれども、筆者個人としては、どうしても無視できない親しみが本作やその前後の盤にはあったりする。 その理由は何なのかを考えてみると、本盤に関しては以下の2つの特徴から来るものだという気がする。一つめは、そこかしこに漂う“暗さ”や“まったり感”である。引き締まった派手な演奏は期待できない。かといって、後の“全盛期”のしゃきっとした完成度のようなイメージもしない。以上は悪い意味で言っているのではない。本盤は、決して作品としてぼやけているわけでもなく、どこか掴みどころのなさとでも言えるような部分が不思議な魅力になっている。 そしてもう一点は、新加入のボブ・ウェルチとクリスティン・マクヴィーの活躍である。収録の8曲のうち、出色は表題曲の4.「フューチャー・ゲーム」。ウェルチの作のナンバーで、8分超の長尺ながら、上述の“掴みどころのなさ”を象徴している曲と演奏である。次に、クリスティン作の2.「モーニング・レイン」。曲調もクリスティンのヴォーカルも、本盤で最も“カッコいい”ナンバーと言える(ちなみに、同じくクリスティンによる8.「微笑(ショウ・ミー・ア・スマイル)」もおすすめ)。もちろん、これら2人だけが活躍しているわけではない。この頃のフリートウッド・マックの音楽性を主導したのはダニー・カーワンだったが、カーワンの魅力が特に出たものとしては、1.「千年の女(ウーマン・オブ・ア・サウザント・イヤーズ)」。このナンバーのまったり感と浮遊感は、独特のものというだけでなく、本盤を象徴するものだと言える。[収録曲]1. Woman of 1000 Years2. Morning Rain3. What a Shame4. Future Games5. Sands of Time6. Sometimes7. Lay It All Down8. Show Me a Smile1971年リリース。 輸入盤 FLEETWOOD MAC / FUTURE GAMES [CD] ↓本盤を含む複数盤のセット↓ 【送料無料】ORIGINAL ALBUM SERIES[輸入盤]/FLEETWOOD MAC[CD]【返品種別A】 ↓こちらはLP盤です。↓ 【輸入盤LPレコード】Fleetwood Mac / Future Games(フリートウッド・マック) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 “ぽち”応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年10月15日
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天才少女のデビュー盤 ケイト・ブッシュ(Kate Bush)は1958年イギリス生まれの女性アーティスト。16歳の時、デモテープがピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモアの目に留まり、その後、1978年、19歳の時点でこのデビュー盤を発表するに至った。 本盤の内容は、“天才少女登場”といったキャッチフレーズでかなり言い表されているように思う。レコーディングが始まったのは、1975年。すなわち、本人が17歳直前の頃で、2年ほどかけてデビュー作の録音を進めたという。その結果が本盤なわけであるが、よく作り込まれているのみならず、やはりこの少女のヴォーカルが人並外れていたのだという点も印象的なのである。 特に注目したい曲としては、まずは、1.「天使と小悪魔」、そして、3.「奇妙な現象」。いずれも一本調子ではないヴォーカルの豊かさが早速発揮されている。このヴォーカル力の頂点と言えるのが、ヒット曲(かつ日本では明石家さんま司会の某番組のテーマ曲として知られている)である「嵐が丘」である。同じようにこのヴォーカルの真髄が特に感じられるナンバーとしては、10.「ラムールは貴方のよう」や表題曲の13.「キック・インサイド」も外せない。 ところで、本盤は時期や地域によって異なるジャケットで発売されてきた。オリジナルは凧に乗ったケイト・ブッシュをあしらったものだが、日本盤については、当初は上半身のポートレート写真だった。余談ながら、このポートレート写真、見るたびにドキッとさせられるのだが、筆者のとある友人に似ている。似ていると言っても顔の話ではなくて、目が似ているのである。どこか妙な焦点の場所を見つめているような、理知的というよりは“不思議系”の人の視線。それでいて、かの友人は、仕事において人並外れた天才的な能力を発揮する。きっと、これって“天才肌”の人が持つ目だったりするのだろうか。[収録曲] *( )内は邦盤の日本語の曲表題1. Moving(天使と小悪魔)2. The Saxophone Song3. Strange Phenomena(奇妙な現象)4. Kite(風に舞う羽根のように(カイト))5. The Man with the Child in His Eyes(少年の瞳を持った男)6. Wuthering Heights(嵐が丘)7. James and the Cold Gun8. Feel It9. Oh to Be in Love(恋って何?)10. L'Amour Looks Something Like You(ラムールは貴方のよう)11. Them Heavy People(ローリング・ザ・ボール)12. Room for the Life(生命のふるさと)13. The Kick Inside1978年リリース。 FOREVER YOUNG::天使と小悪魔 [ ケイト・ブッシュ ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2020年09月21日
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“時代の遺産”は、輝かしき過去の英雄の記録でもある… ゲイリー・US・ボンズ(Gary U.S. Bonds)といっても、本邦ではあまり知られた存在ではないかもしれない。フロリダ出身で、ヴァージニアを拠点にして1950年代に音楽活動を始め、1960年代初頭に複数の曲をヒットさせたアーティストである。当時、まだまだ黒人向けの音楽だったR&Bを白人リスナー向けに紹介したり、黎明期にあったロックンロールを若者向きに広めていく役割を担ったりしたシンガーの一人と言える。ちなみに、本名はゲイリー・リーヴォン・アンダーソン(Gary Levone Anderson)というそうだけれど、ウケ狙い(?)で“アメリカ国債”(U.S.bonds)という芸名にしたらしい。 本盤『クオーター・トゥ・スリー(Dance 'til Quarter To Three with U.S.Bonds)』は、1961年に発売されたLPで、彼のヒット曲である8.「ニューオーリンズ」(1960年、全米6位)、1.「クオーター・トゥ・スリー」(1961年、全米1位)、12.「スクール・イズ・アウト」(1961年、全米5位)といった楽曲が収められている。 上記3曲について少し見ていくと、8.「ニューオーリンズ」は何か南部の深遠な音楽かというとそんなことはなく、ミシシッピやニューオーリンズをキーワードに、お決まりのホーンも含んだダンシングなロックンロールを披露している。1.の「クオーター・トゥ・スリー」という曲のタイトルは、“3時15分前”の意味だけれど、要するに、“明け方の3時前まで踊りまくったぜ”という何ともわかりやすい内容の曲。12.「スクール・イズ・アウト」は、学校が休み期間になるので万歳(冒頭に喜ぶ子どもたちの歓声が入る)という内容で、明らかにティーンをターゲットにしたような内容の楽曲といった具合である。 そのようなわけで、何か本格的に音楽面での開拓をしたとかいうタイプの音楽を披露しているわけではない。音楽的過渡期の遺産に過ぎないと見る向きもあるだろうが、こうしたアーティストたちによる若者への新たな音楽の普及は、次世代を着実に生み出したという側面もあることは心に留めておいてよいように思う。ブルース・スプリングスティーンなどはこうした音楽に胸をときめかせた少年の一人だったようで、実際、彼のライヴでも「クオーター・トゥ・スリー」は定番のレパートリーとなった。そんな意味では、時代の遺産と化した音楽であると同時に、往時の子どもたちにとっての輝かしい過去の英雄の記録でもあったと言えるのだろう。ちなみに、“時代の遺産”なら仕方ないのかもしれないのだけれど、それにしても、もうちょっとクリアで籠っていない音でこの音楽を聴けないものだろうか…。[収録曲]1. Quarter To Three2. A Trip To The Moon3. Cecilia 4. That's All Right5. I Know Why Dreamers Cry6. Minnie The Moocher7. What A Dream *CD追加曲?8. New Orleans9. One Million Tears10. Not Me 11. Please Forgive Me12. School Is Out13. Don't Go To Strangers14. Time Old Story *CD追加曲?1961年リリース。 【輸入盤】Dance 'til Quarter To Three / Twist Up Calypso [ Gary Us Bonds ] 【輸入盤CD】Gary U.S. Bonds / Very Best Of 【K2016/6/24発売】( ゲーリー・U.S.ボンズ ) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年09月17日
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ロック色を強めた名曲揃いのソロ第2作 いきなりだけれど、個人的にはロックに政治色を被せるというのはあまりよろしくないと思っている。ベトナム戦争などの反戦も、黒人問題などの人種問題も、ロックの題材として、あるいはロックそのものの推進に意味を持ってきたことは十分分かっているつもりだけれど、特に若者に聴かれる大衆音楽の政治性は、間違った使われ方をされると恐ろしいことになり得る。どこかでそんなことをつい考えてしまうからだ。 そんな風に思っているにもかかわらず、セカンド作になって政治性とロック性を一気に高めたリトル・スティーヴン(Little Steven)の『ヴォイス・オブ・アメリカ(Voice of America)』は私的愛聴盤である。メンバーは、ファースト作(過去記事はこちら)の“ディサイプルズ・オブ・ソウル”の面々をそのまま引き継いでいるものの、音楽的にはロック色をぐっと強めている。 個人的な好みで言うと、ベストは次の3曲。表題曲の1.「ヴォイス・オブ・アメリカ」、スペイン語で“失踪者たち”を意味する6.「ロス・デサパレシードス」、そして、8.「明日を夢見て(アイ・アム・ア・パトリオット)」。1.と6.の2曲はロック・アーティストとしてのリトル・スティーヴンの本領発揮曲で、8.はレゲエ調のカッティングが印象的だが、これら3曲はいずれもヴォーカリストとしての彼らしさ(といっても、癖のあるヴォーカルなので、好き嫌いが分かれるだろうけれど)が際立っている。 これらに次いで外せないと思うナンバーは、2.「ジャスティス」。上記の1.や6.がいいと思う人はこの曲や5.「真夜中の疾走(アウト・オブ・ザ・ダークネス)」も気に入ることだろう。また、8.同様に裏カッティングが印象的な4.「ソリダリティ」もいい。この4.のほか、上記5.と10.「生還の誓い(アンディフィーテッド)」がシングルとしてもリリースされているがチャートアクションはなかった。とはいえ、アルバム自体はファースト作の全米118位に対し、本作は全米55位と前進した。[収録曲]1. Voice of America 2. Justice3. Checkpoint Charlie4. Solidarity5. Out of the Darkness6. Los Desaparecidos (The Disappeared Ones) 7. Fear8. I Am a Patriot (And the River Opens for the Righteous) 9. Among the Believers10. Undefeated (Everybody Goes Home)1984年リリース。 【輸入盤CD】Little Steven / Voice Of America (w/DVD)【K2020/7/17発売】(リトル・スティーヴン) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年09月14日
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“オールド・タイム・レイディ”のソロ・セカンド作 マリア・マルダー(Maria Muldaur)の盤を一枚挙げろと言われると、ほとんどの人がファースト・ソロ作の『オールド・タイム・レイディ(原題:Maria Muldaur)』を挙げるんじゃないかと思う。けれども、その一方で、この人の作品は、その後のものもどれも好盤揃いである。代表作一枚を聴いておしまいというにはもったいないアーティストの典型例であると思ってみたりもする。 上記のソロ作は1973年にリリースされたが、続いてその翌年に発表されたのがセカンド・ソロ作の本盤『ドーナッツ・ショップのウェイトレス(Waitress in the Donut Shop)』であった。タイトルも、演奏されている音楽も、そして何よりも彼女の声そのものが、主にアメリカ人のおじさんたちのリスナーを虜にするものだったんだろうと思う。“おじさんたち”というのは、聞こえは悪いが、別に悪い意味で言っているわけではない。雲の上な感じではなく、ある種、身近に感じられる女性シンガーが、音楽的バックグランドに裏打ちされた楽曲をしっかりと聴かせる。当然ながら、アーティスト側に相当な実力がないとできない芸当を、マリア・マルダーはさらりとやってのけているようにも見える。 本盤では、カントリー、ジャズ、ブルースといった伝統的音楽要素が、前作よりも前面に出ているという風に感じる。おそらくこれは制作時の意図だったのだろう。彼女のパフォーマンスを支えるミュージシャンが豪華なのは、前作と同様で、ローウェル・ジョージ、ポール・バターフィールド、エイモス・ギャレット、ドクター・ジョン、ジム・ゴードン、ジョニ・ミッチェル(クレジットはなし)、リンダ・ロンシュタット、ハリー・スウィーツ・エディソン、バド・シャンク、サヒブ・シハブなどが客演に名を連ねている。 個人的に特に気に入っている点をいくつか挙げてみたい。2.「メキシコのグリンゴ(グリンゴ・エン・メヒコ)」や5.「スウィートハート」(アルバム表題になっているドーナツ屋のウェイトレスは、この歌の詞に登場する)を筆者は結構気に入っている。これらにも見られるオールディーズ感や一種ののどかさは、幅広いリスナー層に訴えかける最大の要素である。そのため、自分でも思わずそういうところにまず親しみを感じてしまう。さらにカントリー調の演奏は随所に織り込まれているが、6.「ハニー・ベイブ・ブルース」が特にいい。そして、何と言っても最後はマリア・マルダー自身の歌声の魅力である。個人的にベストは、8.「オー・パパ」で、それに次ぐのが1.「スクウィーズ・ミー」。もちろん各人の好みによるのだけれど、筆者的にはとにかく“魅惑の声”なのである。[収録曲]1. Squeeze Me2. Gringo en Mexico3. Cool River4. I'm A Woman5. Sweetheart6. Honey Babe Blues7. If You Haven't Any Way8. Oh Papa9. It Ain't The Meat It's the Motion10. Brickyard Blues11. Travelin' Shoes1974年リリース。 【国内盤CD】マリア・マルダー / ドーナッツ・ショップのウェイトレス 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年09月11日
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ジェファーソン・エアプレインから独立して初の作品 1960年代半ばに結成されて時代のアイコンとなったジェファーソン・エアプレイン。そのメンバーであったヨーマ・カウコネンとジャック・キャサディが中心となり、サイド・プロジェクト的に展開したのがホット・ツナ(ホット・トゥナ、Hot Tuna)だった。そのため、最初のうちはポール・カントナーやマーティ・バリンも参加していたが、やがてホット・ツナは上記2人のバンドとして、ジェファーソン・エアプレインから独立を果たしていく。 最終的に、カウコネンとキャサディは1973年にジェファーソン・エアプレインを脱退した(その結果、ジェファーソン・エアプレインは解散することになり、これに続く再編でジェファーソン・スターシップが1974年に誕生する)。その一方で、ホット・ツナは独自の作品を1974年初頭にリリースした。それがホット・ツナ名義での4枚目となった本盤『フォスフォレッセント・ラット(The Phosphorescent Rat)』である。 ホット・ツナの特徴というと、ブルースというイメージが強いだろう。とはいえ、本盤は、確かにカウコネンのギターが冴えていて目立つのだけれど、全体としては、かなりロックなサウンドに仕上がっている。注目したい曲をいくつか挙げてみたい。前半(LP時代のA面)で聴き逃がしてはならないと思うのは、3.「イージー・ナウ」。ジェファーソン・エアプレインっぽい曲ではあるのだけれど、曲調も演奏も文句なしで、本盤の私的一押しナンバーである(ちなみに、この曲は2011年の『ステディ・アズ・シー・ゴーズ』で新録が収められた)。 一方、後半(LPのB面)で注目したいのは、インスト曲が2曲含まれている点。7.「シーウィード・ストラット」と10.「サリー、ホエアド・ユー・ゲット・ユア・リカー・フロム」がその2曲であるが、“渾身の”というよりは“さらりと”彼らのイメージしていた音楽の一部を披露しているのがよい。他に筆者のお勧め曲としては、4.「出口のない片すみ」、5.「デイ・トゥ・デイ・アウト・ザ・ウィンドウ・ブルース」なんかも挙げたいところだが、そうやって挙げていくと、結局はほぼ全曲ということになってしまいそうな気がする。 ホット・ツナの音楽というのは、実のところ、筆者にとって“波長の合う音楽”なんだろうと思う。そんなこともあり、チャートアクションとしては、本盤はようやく全米150位以内に入ったぐらいだったものの、筆者的には1970年代の名盤選を作るなら、このアルバムはそのリストの候補に挙がる1枚だと内心思っていたりする。[収録曲]1. I See the Light2. Letter to the North Star3. Easy Now4. Corners Without Exits5. Day to Day Out the Window Blues6. In the Kingdom7. Seeweed Strut8. Living Just for You9. Soliloquy for 210. Sally, Where'd You Get Your Liquor From?1974年リリース。 Hot Tuna ホットツナ / Phosphorescent Rat 【CD】 【輸入盤CD】HOT TUNA / PHOSPHORESCENT RAT (RMST) (ホット・ツナ) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年09月01日
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“ギターリスツ・ギターリスト”の代表ライヴ盤 ロイ・ブキャナン(Roy Buchanan)は、1939年アーカンソー州生まれのギタリスト。ロックだけでなくブルースやカントリーまで幅広い演奏を身上とし、テレキャスター(フェンダー社のギター)をテクニカルに操る演奏を、スタジオ・ミュージシャンとしても、サイドマンとしても発揮した人物である。歌よりもギターを聴かせるミュージシャンであるため、大衆的な人気というよりは、ミュージシャンの間での人気が高く、ミュージシャンズ・ミュージシャン、ギターリスツ・ギターリストとしてその名を目にすることが多い。実際、彼の影響を受けたとされるアーティストには、ロビー・ロバートソン、ゲイリー・ムーア、ジェフ・ベックなどがいる。 そんな彼の代表作に数えられるに相応しい作品の一つが、本盤『ライヴ・ストック(Live Stock)』である。表題が示す通り、ライヴ演奏盤で、1974年のライヴ・パフォーマンス(リード・ヴォーカルはニュージャージー出身のビリー・プライスが担当)が収録されている。曲の内容としては、ブルースのスタンダード・ナンバーが中心で、一部に自作曲(4.および7.)も含んでいる。 リード・ヴォーカルがいるとはいえ、ブキャナンはヴォーカル(本盤では上記2つの自作曲のリード・ヴォーカル)も担当するが、何と言っても聴かせどころはギターの演奏である。テレキャス特有のクリアな高音とソリッドなサウンドで、テクニックいっぱいの演奏を披露している。どの曲の演奏にも聴きどころとなるギター・プレイが含まれているので、どれがお勧め曲というのは困難なのだけれど、敢えて1曲だけ挙げるとすれば、自作曲の4.「ロイズ・ブルーズ」。自身のギター演奏を余すことなく披露するために準備されたナンバーとでも言えばよいだろうか。余談ながら、この人の作品を聴いていると、ギターでコピーしてみたくなるフレーズが満載である。とはいっても、高度なものも多くてしばしばちゃんとコピーできないのだけれど、個人的にはそんなブキャナンの聴き方も楽しんだりしている。[収録曲]1. Reelin' and Rockin'2. Hot Cha3. Further on Up the Road4. Roy's Bluz5. Can I Change My Mind6. I'm a Ram7. I'm Evil1975年リリース。 【輸入盤CD】Roy Buchanan / Livestock (ロイ・ブキャナン) ↓こちらはベスト盤↓ DEFINITIVE COLLECTION[輸入盤]/ROY BUCHANAN[CD]【返品種別A】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間のある方は、“ぽちっと”応援よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2020年08月30日
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1983年のデビュー盤 1980年に結成され、翌年にインディー・レーベルからシングル「レディオ・フリー・ヨーロッパ」を出したR.E.M.は、1983年に本デビュー盤『マーマー(Murmur)』を発表した。I.R.S.というレーベルから出たアルバムだが、カレッジ・ロックやニュー・ウェーヴ、オルタナティヴ・ロックといったジャンルのアーティストを輩出していたA&M傘下(当時)のレーベルである。 全米36位、全英100位というのがこのアルバムのチャートの最高位だった。けれども、本盤は高く評論される盤でもあり、『ローリング・ストーン』誌の年間ベスト・アルバムにも選出れた。その当時としては新鮮さをもったサウンドでなおかつ完成度の高い作品だったのがその理由と言えるように思う。マイケル・スタイプの独特のヴォーカル・スタイル(ただし何と言っているのかよくわからない歌い方だけれど)、メロディックなベースライン、当時のロックの主流に乗るというよりは、パンクやサイケなど一巡したロック音楽の動向を消化し、自分たち独自の音楽に仕上げている。 注目曲をいくつか挙げておきたい。1.「レディオ・フリー・ヨーロッパ」は、最初にインディーズで火が付くきっかけとなったナンバー。4.「トーク・アバウト・ザ・パッション」、6.「パーフェクト・サークル」、12.「ウエスト・オブ・ザ・フィールズ」といったあたりは、既にR.E.M.の音楽スタイルが出来上がっていたことを如実に示す曲と演奏と言えるように思う。その一方、9.「9-9」なんかに顕著に見られるように、実験的要素も随所に取り入れていて、その後の進化の布石になっていたのだろう。2011年にバンドとしての歩みを止めたR.E.M.だけれども、出発点となった本作は、繰り返し評価され続けて然るべき1枚と言うことができるように思う。[収録曲]1. Radio Free Europe2. Pilgrimage3. Laughing4. Talk About the Passion5. Moral Kiosk6. Perfect Circle7. Catapult8. Sitting Still9. 9–910. Shaking Through11. We Walk12. West of the Fields1983年リリース。 マーマー [ R.E.M. ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2020年07月18日
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ジャズ/フュージョン路線を押し進めた1枚 1972年の『キャラヴァンサライ』でジャズ寄りのアプローチを示したサンタナ(Santana)は、しばしその路線を推し進めていくことになった。この路線変更によってバンドのメンバーの入れ替わりも生じたものの、ジャズ・ロックあるいはフュージョン路線はあらたにサンタナというバンドのイメージを定着させるには十分に特徴的だった。ラテンの熱さは秘めたまま、ロック界というよりはジャズのようにその外側に位置づけられる音楽ジャンルを巻き込んだ音楽界の地殻変動に対応した内容の作品制作をしばし推し進めていったわけである。 そうした結果、『キャラヴァンサライ』に続く『ウェルカム』(1973年)、『ロータスの伝説』(日本限定ライヴ盤)、そして、今回取り上げる『不死蝶(Borboletta)』(1974年)といったあたりのサンタナ盤(あと同時期のカルロス・サンタナとジョン・マクラフリンの共演盤も)は実に面白いし、何よりもクオリティが高い。この時期の諸作は、その当時だけでなく、現在に至るまで“後聴き”でハマる人を生み出し続けているのではないかという風に思う。 長短とり混ぜて12曲が収録されているが、過半の7曲がインスト曲である。イントロ的な1.「春の訪れ」に続く2.「花の歌」の幻想的な雰囲気がいい。11.「シナモンの花(フロール・デ・カネーラ)」は精緻な完成度の高さが個人的にお気に入り。 “歌もの”で注目したいのは、3.「新たなる旅立ち」で、レオン・パティロがヴォーカルをとるナンバー。ラヴ・ソング風なヴォーカル曲として終わるのかと思いきや、終盤にオルガン・ソロで一気に盛り上げてギター・ソロが入ってくる。また、5.「太陽のもとへ」はギターとヴォーカルの両方がメインになったような演奏で、キレがありながら幻想的な雰囲気を残しているところがいい。同じくヴォーカル曲としては、聴き進まないとヴォーカルが出てこない(冒頭だけだとインスト曲かと思ってしまいそう)7.「君の教え」も気に入っている。 余談ながら、本盤のジャケット(LP発売当時)は、特殊紙(アルグラス)使用の光るジャケットだったとのことだけれど、残念なことに筆者は現物を見ていない(後に紙ジャケでも再現されたそうだが、それも未見)。いつかLPでその姿を見てみたいと思うのだけれど、それだけのために中古LP売り場に入り浸る余裕もなく、実現していない。[収録曲]1. Spring Manifestations2. Canto de los Flores3. Life Is Anew4. Give and Take5. One with the Sun6. Aspirations7. Practice What You Preach8. Mirage9. Here and Now10. Flor de Canela11. Promise of a Fisherman12. Borboletta1974年リリース。 不死蝶 [ サンタナ ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2020年07月15日
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シカゴを脱退し、ソロ・アーティストとしての挑戦 ピーター・セテラ(Peter Cetera)は、シカゴのオリジナル・メンバーで、このバンドの中ではヴォーカリストとしても次第に成長し、成功を収めていた。そんな彼は、1981年に初のソロ作品をリリースしていたが、第2作となった本盤『ソリテュード~ソリティア(Solitude/Solitaire)』は、シカゴを脱退してのソロ作としては最初のものとなった。シカゴはその後、彼に似た声質のジェイソン・シェフを公認ヴォーカルに迎えているが、それまでの“シカゴの声”がそのままにやりたい楽曲をやっているのは、きっと当時のファンにとっても楽しめる1枚だったのではないかと思う。 収録曲は自作(共作)曲が中心で、アレンジは当時の感覚での“今風”なサウンド色が強い。マイケル・オマーティアンのプロデュースというのもなるほどといった雰囲気である。 筆者的に本盤のベストは、ヒット曲の3.「グローリー・オブ・ラヴ」。上記のようなシカゴのイメージから抜け出せないリスナーの意見ということになるかもしれないのだけれど、実に彼らしいナンバーであり歌唱でもあると思う。この曲は、映画『ベスト・キッド2(THE KARATE KID PART II)』の主題歌にもなった。 他の注目曲としては、まずは1.「ビッグ・ミステイク」が挙げられる。シカゴ時代との差異を出そうという意図が感じられるナンバーだけれど、この高音はなかなか真似できなさそう、などと素人的なことも考えてしまう。それから、外せないのは、エイミー・グラントとのデュエット曲で、全米1位に輝いた6. 「ネクスト・タイム・アイ・フォール(Next Time I Fall)」。ある種、わざとらしいバラード曲ではあるけれども、ピーター・セテラ、エイミー・グラントのどちらのヴォーカルも絶品のデュエットである。さらにもう1曲挙げるとすれば、アルバム表題曲の8.「ソリテュード~ソリティア」だろうか。これもまたシカゴでのピーター・セテラとは違ったテイストを意図的に狙ったものと思われ、80年代らしい曲と呼んでしまえばそれまでなのかもしれないけれど、筆者的としては、その変化球な感じを評価したい。 彼の特徴は“ハイトーン・ヴォイス”であるが、年齢と共にハイトーンの維持が難しくなるのは宿命ではある(今現在、彼は既に75歳で、多くの曲を元のキーで歌うのはだいぶ前から困難である)。筆者はまだそうした年齢ではないので、想像しかできないけれど、“かつてできたことをできない”というのに、ある時期、人は苦しむのかもしれないが、人生の先輩方の話を聴いていると、それを過ぎるとそうでもなくなるらしい。そういう意味では、現在の彼とは関係なしに、当時のこれはこれで聴けばよいのかもしれない。そう、これは確かに澄んだハイトーン・ヴォイスをうまく生かした80年代的なポップ・アルバムなのだと言えるのだろう。[収録曲]1. Big Mistake2. They Don't Make 'Em Like They Used To3. Glory of Love4. Queen of the Masquerade Ball5. Daddy's Girl6. The Next Time I Fall (w/Amy Grant)7. Wake Up to Love8. Solitude/Solitaire9. Only Love Knows Why1986年リリース。 【輸入盤CD】【ネコポス100円】Peter Cetera / Solitudo/Solitaire (ピーター・セテラ) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年07月09日
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酔いどれ詩人、デビュー作 トム・ウェイツ(Tom Waits)は、1949年、ロサンゼルス郊外で生まれたシンガーソングライター。1970年代にロサンゼルスを拠点とし、その後、1980年代にはニューヨークに拠点を移して活動した。今も現役だが、2011年にロックの殿堂入りを果たしている。 そんなトム・ウェイツのデビュー盤となったのが、1973年発表の『クロージング・タイム(Closing Time)』である。当時はまだ新興のレーベルであったアサイラムと契約して制作されたデビュー盤であったが、ヒットはしなかった。とはいえ、聴きどころは多い。収録曲の大半は、アサイラムとの契約前の1971年にデモ録音をした楽曲の再録である。初作というせいかいくぶんきれいに収まっている感はあるものの、初期トム・ウェイツの魅力が満載の盤と言っていいように思う。 有名なナンバーとしては、冒頭の1.「オール'55」。これが彼のデビュー・シングルであったが、有名になったのは、翌1974年にイーグルスがカバーしたことによる。目立った感じはしないかもしれないが、アルバム前半では、3.「ヴァージニア・アヴェニュー」や6.「マーサ」が筆者としては好みであったりする。さらに、アルバム後半(アナログB面)では、密かな名曲の11.「グレープフルーツ・ムーン」(後にサウスサイド・ジョニーがトム・ウェイツのカバー・アルバムを制作しその表題にもなっている)、そして、表題曲の12.「クロージング・タイム」が特に聴き逃がせないナンバー。あともう一つぐらい挙げてよければ、10.「愛の翼(リトル・トリップ・トゥ・ヘヴンーオン・ザ・ウィングス・オブ・ユア・ラヴ)」もこれらと並ぶ好曲である。 本盤の後、1974年の『土曜の夜』を皮切りに、1970年代後半にかけて、『娼婦たちの夜』(ライヴ盤)、『スモール・チェンジ』、『ハートアタック・アンド・ヴァイン』など必聴の名作が目白押しのため、このデビュー作の影が薄いことは否めない。けれども、曲のよさという意味では上で挙げた何曲かのように突出したナンバーが含まれていて、トム・ウェイツの1970年代作を新たに聴き進む人には、ぜひ聴いてもらいたい一枚だと思う。[収録曲]1. Ol' 552. I Hope That I Don't Fall in Love with You3. Virginia Avenue4. Old Shoes (& Picture Postcards)5. Midnight Lullaby6. Martha7. Rosie8. Lonely9. Ice Cream Man10. Little Trip to Heaven (On the Wings of Your Love)11. Grapefruit Moon12. Closing Time1973年リリース。 【輸入盤CD】【ネコポス送料無料】Tom Waits / Closing Time 【K2018/3/9発売】(トム・ウェイツ) 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2020年07月06日
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北欧メタル/ハードロック有名バンドの有名ヒット作 スウェーデン出身のバンド、ヨーロッパ(Europe)最大のヒット作が、この『ザ・ファイナル・カウントダウン(The Final Countdown)』である。1986年に発売され、その当時780万枚(通算では1500万枚)を売り上げている。ヨーロッパは、1979年に結成されたバンドに由来し、1982年にこの名称にバンド名を改称後、1983年のファースト作、1984年のセカンド作と順調に作品を吹き込み、人気を集めていった。 そんな中、音楽性のポップ化が進み、大ヒットとなったのが、このアルバムだった。この年から翌年にかけてシングルも次々に発表され、表題曲の1.「ザ・ファイナル・カウントダウン」は、全米8位となり、母国スウェーデンを含めヨーロッパでは8か国でシングルチャート1位を記録した。また、3.「キャリー」は全米3位のシングル・ヒットとなったほか、都合、アルバム収録曲のうち計5曲がシングル・リリースされた(加えて、日本限定で10.もシングル・カットされた)。 聴きどころとしては、日本でもCM曲などで親しみのある1.「ファイナル・カウントダウン」(参考過去記事はこちら)、万人受けしやすそうなロック調の2.「ロック・ザ・ナイト」、そして、名バラードの3.「キャリー」といったところになるだろうか。とはいえ、有名ヒット曲だけでは面白くないので、他の曲も少し触れておくと、5.「ニンジャ」は、タイトルこそ一昔前の日本のステレオタイプ像を反映しているようでなんだかなという感じではあるが、曲の演奏としてはなかなかよくできている。さらに個人的に聴き逃がせないと思うのは、6.「チェロキー」。曲の展開もいいし、アメリカのバンドでもないのにこういう詞のテーマ(19世紀、アメリカ先住民族強制移住のいわゆる“涙の旅路”)を取り上げる思い切りにも脱帽する。 このアルバムの発売後、ジョーイ・テンペスト(ヴォーカル)とともに中心メンバーだったジョン・ノーラム(ギター)はバンドを脱退してしまう。ある意味ではこのヒット(音楽のポップ化、バンドのアイドル的人気)が原因でバンドは安定しなくなっていき、1990年代初頭に解散してしまう(ただし、2003年に復活)。“ヒットし過ぎがバンドを殺す”の典型例になってしまったヨーロッパだが、往時が遠い過去となった今となっては、この作品、これはこれで悪くなかったどころかよかったようにも思うのだけれど。[収録曲]1. The Final Countdown2. Rock the Night3. Carrie4. Danger on the Track5. Ninja6. Cherokee 7. Time Has Come8. Heart of Stone9. On the Loose10. Love Chaser1986年リリース。 [期間限定][限定盤]ザ・ファイナル・カウントダウン/ヨーロッパ[CD]【返品種別A】 Europe ヨーロッパ / Final Countdown 【CD】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年06月25日
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1980年代にクラプトンが積み重ねたもの 一人のアーティスト(あるいは一組のバンド)の“最盛期”や“ベストな時期”というのは、その活動期間が長ければ長いほど多様な見解が出てきて厄介な問題になる。音楽が市場に放たれたとたん、その解釈は聴き手に委ねられる。また、その“聴き手”というのも、世代や個々の音楽遍歴によって、どの時期にそのアーティストの作品を集中的に聴くのかが変わってくる。そんなことを考えるにつけ、エリック・クラプトン(Eric Clapton)は、様々な評価がなされるアーティストの典型かもしれないと思ったりする。“神童”や“スローハンド”といった文言に象徴されるコアでシリアスなギタリストとしての側面を見る人からすると、“シンガー”と化したクラプトンは酷評の対象となり得る。しかし、どちらかというと“歌もの”的な彼の楽曲に先に慣れ親しんだ人からすると、ヤードバーズやクリームでの演奏を耳にすると“へえ~、昔はこんなのだったんだ”と思うかもしれない。 そんな風に少し客観視することを念頭に置きつつ、1989年発表の『ジャーニーマン(Journeyman)』を見直してみたい。1970年代に“レイドバック”してヴォーカルを聴かせるようになり、おそらくは自らを“商品化”することに目覚め(この点は筆者の偏見も入っているかもしれない)、1980年代以降はとくに“歌もの”でヒット曲も残すようになっていった…。そのような時の流れの中で、1980年代のクラプトンはとりわけポップな方向へ進んだ時期だったように思われる。『ビハインド・ザ・サン』(1985年)、『オーガスト』(1986年)でフィル・コリンズをプロデューサーに迎え、音楽的にはポップな方向に傾いた。この『ジャーニーマン』では、プロデュースはラス・タイトルマンを起用しているが、フィル・コリンズもミュージシャンとしては参加している。 注目したい曲を独断と偏見でピックアップしてみると、1.「プリテンディング」、4.「ラニング・オン・フェイス」、6.「ハウンド・ドッグ」、7.「ノー・アリバイ」、9.「オールド・ラヴ」、12.「ビフォー・ユー・アキューズ・ミー」といったところだろうか。いずれも、良くも悪くも“スマート”に仕上がっていると思う。言い換えると、泥臭かったりマニアックだったりしないのである。ギターを聴かせる場面(かつてのブラッキーの音ではないけれど)はあるし、ブルースをちゃんと入れていたりもするのだけれど、トータルでは万人受けしそうな演奏にサウンドとなっている。そして、何よりも歌メインなつくりがはっきりしている。 とまあ、このように、1980年代に進んだ“クラプトンのポップ化”が結実したのがこの作品と言っていいのかもしれない。そして、このアルバムの発表時点で、クラプトンは44歳。もはや若者ではなく、年齢相応の円熟味が出てきている。そのようなわけで、結局のところ、この時期に彼自身が目指していた方向性がきちんと作品として打ち出されていて、その意味では成功した作品と言うべきなのだろう。そして、本作の頃と“昔の”クラプトンの作品群と比べての評価というのは難しく、結局は聴き手それぞれの好みでどっちがいいかという話にしかならないのかもしれない。[収録曲]1. Pretending2. Anything for Your Love3. Bad Love4. Running on Faith5. Hard Times6. Hound Dog7. No Alibis8. Run So Far9. Old Love10. Breaking Point11. Lead Me on12. Before You Accuse Me1989年リリース。 【輸入盤CD】【ネコポス100円】Eric Clapton / Journeyman (エリック・クラプトン) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年06月22日
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安定感のある歌唱と多様な楽曲 以前にも同じようなことを書いたような気もするのだけれど、マリア・マルダー(Maria Muldaur)の歌声には外れがないように思う。全作品を聴いたわけでもないので、あくまで聴いたことのある作品の範囲内でのことだが、どれも安定した歌唱であるだけでなく、聴き手を魅惑する歌声なのである。バンドやデュオ(ジェフ&マリア)を経て、1973年のソロ・デビュー盤を皮切りに自身の名義作を発表し始めた彼女だが、1~2年ごとにアルバム作品を積み重ね、5作目となったのが、1979年リリースの『オープン・ユア・アイズ(Open Your Eyes)』だった。 このアルバムの収録曲を見ると、なかなかヴァラエティに富んでいる。冒頭の1.「フォール・イン・ラヴ・アゲイン」はパワーポップ的なロック調だけれど(筆者はこういうマルダーが大好きだったりもする)、聴き進んで行くと、これがアルバム全体を支配する雰囲気というわけではないことに気がつく。どこかカントリー風の雰囲気を持った2.「あなたに賭けて」、さらにはスティーヴィー・ワンダーが参加している3.「バーズ・フライ・サウス」、そして、5.「ラヴァ―・マン」ではジャズ調をバックにスタンダードを歌い上げる。 アルバム後半に入っても、表題曲で、ドゥービー・ブラザーズ(初期のドゥ―ビーではなく、マイケル・マクドナルド以降のドゥ―ビー)らしさが溢れるナンバーの表題曲6.「オープン・ユア・アイズ」をさらりと歌い上げる。かと思うと、ロック調の7.「ダンシン・イン・ザ・ストリート」、さらには、再びジャズ・ヴォーカル風な雰囲気でバラード曲の8.「エローナ」が続く。そして、9.「クリーン・アップ・ウーマン」はファンキーなソウル調。このようにソウルやジャズなどの要素を取り入れながら、ロック調のナンバーも含み、多様な楽曲をとりあげつつも、結局はマリア・マルダーの安定した歌声で聴き手を魅了するといった仕上がりになっている。 蛇足ながら、筆者の私的な好みに基づいたお勧め曲を挙げておきたい。あくまで個人的な偏見いっぱいの選曲だけれども、1.「フォール・イン・ラヴ・アゲイン」、3.「バーズ・フライ・サウス」、6.「オープン・ユア・アイズ」が本盤収録曲のベスト3曲。とはいえ、上述のようにヴァラエティに富んだ楽曲が並んでいるので、全部聴くのもよし、好きな曲調のものをピックアップして聴くのもよし。そう思うと、なるほど幅広い聴き手に受けるつくりになっていたのかと妙に納得してしまう。[収録曲]1. Fall In Love Again2. Finally Made Love To A Man3. Birds Fly South (When Winter Comes)4. Heart Of Fire5. Lover Man (Oh Where Can You Be)6. Open Your Eyes7. (No More) Dancin' In The Street8. Elona9. Clean Up Woman10. Love Is Everything1979年リリース。 【輸入盤CD】【ネコポス送料無料】Maria Muldaur / Sweet Harmony/Southern Winds/Open Your Eyes 【K2016/6/3発売】(マリア・マルダー) 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2020年06月06日
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いわくつきのデビュー盤 1949年生まれのビリー・ジョエル(Billy Joel)は、ザ・ハッスルズやアッティラというバンドでの活動後、ソロ・デビューを果たす。1971年の本盤『コールド・スプリング・ハーバー~ピアノの詩人(Cold Spring Harbor)』は、そんな彼のデビュー盤だったが、成功したと言えず、セールスも振るわなかった。 何よりも、本盤は“いわくつき”の出来となった。有名な話なのではあるが、本盤は、テープの回転数が速いままマスタリングされ、レコードになってしまった。つまりは、本人の“生声”とは明らかに違う、“テープ早回し”による実際よりも高い声なのである。今の時代の感覚からすると、こんなお粗末な事態はあり得ないだろう。でもって、どうなったかというと、実際に完成したレコードを聴いたビリー・ジョエル本人は、怒ってレコードを地面に投げつけたとか。 確かに、全体を通して聴くと、いくぶんパンチが足りない気がする。才能は感じるのだけれど、個々の楽曲は悪くないのだけれど、どこか作品としての洗練度や完成度が足りないようにも思う。とはいえ、注目すべき楽曲もある。とりわけ、1.「シーズ・ガット・ア・ウェイ」は、1981年のライヴ作『ソングズ・イン・ジ・アティック』からシングル・カットされて全米23位となり、あらためて世に知られるようになった。他の楽曲も、違うタイミングで、違うアレンジで、(そしてもちろん回転速度を変えずに、)世に出ていたらどうなっていたのだろう、と想像しながら聴くのも面白いのではないだろうか。[収録曲]1. She's Got a Way2. You Can Make Me Free3. Everybody Loves You Now4. Why Judy Why5. Falling of the Rain6. Turn Around7. You Look So Good to Me8. Tomorrow Is Today9. Nocturne10. Got to Begin Again1971年リリース。 コールド・スプリング・ハーバー 〜ピアノの詩人/ビリー・ジョエル[CD]【返品種別A】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2020年05月30日
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大編成によるラテン・ロックの進化系 カルロス・サンタナ率いるバンドであるサンタナ(Santana)に参加経験のあるメンバーらが名を連ね、大編成でラテン・ロックにジャズやソウルといった要素をミックスして提示するという壮大な試みが、このアステカ(Azteca)というバンドだった。中心メンバーは、パーカッショニストのコーク・エスコベードとピート・エスコベード兄弟で、メキシコ系の彼ららしく、メキシコ(同地の古代文明のアステカ)をモチーフとしたのだろう。 1972年に彼らの第1作として発表されたのが、この『アステカ(Azteca)』というアルバムであった。実際、曲の内容やモチーフにも、メキシコやラテンといった要素が濃い。 1.「太陽の石(ラ・ピエドラ・デル・ソル)」は、有名なアステカ文明の巨大彫刻モニュメント(俗にいう“アステカ・カレンダー”)そのままの表題。その彫刻は、アルバムのジャケットに再現されているが、よく見ると細部にはミュージシャンや楽器があしらわれている。独特のリズムと展開が印象的な10.「アステカ」は、バンド名そのままの楽曲である。また、上記の1.は、リプライズ的な11.「テーマ~太陽の石」とセットになってアルバムを締めくくる役割も担っている。 他には、2.「マミータ・リンダ」、6.「ピース・エヴリバディ」など、いかにもラテンなリズムの楽曲が印象に残る。 “マンボの王様”ことティト・プエンテの楽曲である8.「アー、アー」も収録されている。 その一方で、特に聴きどころと言えそうなのは、3.「エイント・ガット・ノー・スペシャル・ウーマン」。ボレロ調、アフロ調といった雰囲気の中でヴォーカルをしっかり聴かせながら進行するが、何と言っても聴きものはニール・ショーンの疾走感のあるギター・ソロ。あと、9.「ラヴ・ノット・ゼン」はボレロ調ではあるものの、やや唐突なバラード風ナンバー。通して聴いて飽きないというべきか、はたまた統一性がよく見えないというべきか…。 インストあり、歌ものあり、ラテンあり…といった具合で、統一感が十分かと言うと決してそうでもないのだろう。とはいえ、ラテン・ロック/ジャズなどと言われる音楽がサンタナだけで完結するわけではないという意味で、なかなか面白い作品と言うことができるのではないだろうか。[収録曲]1. La Piedra del Sol2. Mamita Linda3. Ain't Got No Special Woman 4. Empty Prophet 5. Can't Take the Funk Out Of Me6. Peace Everybody7. Non Pacem8. Ah! Ah!9. Love Not Then 10. Azteca11. Theme: La Piedra del Sol1972年リリース。 【国内盤CD】【ネコポス送料無料】アステカ / アステカ[初回出荷限定盤(完全生産限定盤)] 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2020年05月19日
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アコースティック演奏、自宅録音の異色作 ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)のイメージはと言えば、圧倒的に“アメリカン・ロッカー”ということになるのだろう。1980年の『ザ・リバー』、大ヒット作となった1984年の『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』の狭間で1982年にリリースされた異色作が、この『ネブラスカ(Nebraska)』という作品だった。 大部分の曲は、1982年1月3日にスプリングスティーンの自宅の寝室で録音された。いくつかの曲(「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」、「ピンク・キャデラック」、「ダウンバウンド・トレイン」、「ワーキング・オン・ザ・ハイウェイ」―デモ録音時のタイトルは「チャイルド・ブライド」―)は、後にバンド録音でレコーディングされたが、この録音は、いわゆる弾き語りのシンプルなレコーディングだった。そのようなわけで、“アメリカン・ロッカー”のイメージとはまったく異なるサウンドである。 それにもかかわらず、ビルボード3位というのは、スプリングスティーンの底力というべきか。アーティストたちがリスペクトするアルバムにしばしば挙げられるのに加え、アコースティックで録音されたこれら楽曲のいくつもが、後々のライヴでバンドでも演奏されている。 個々の曲を挙げ始めると全曲になってしまいそうなのだけれど、少しは触れておきたい。1.「ネブラスカ」は無為な殺人を犯した死刑囚を主人公にした歌で、こういう描写はスプリングスティーンの身上でもある。彼のファンにとってライヴ等で外せないのは、2.「アトランティック・シティ」、4.「ジョニー99」、10.「生きる理由(リーズン・トゥ・ビリーヴ)」といったところか。個人的に外せないのは、5.「ハイウェイ・パトロールマン」、7.「ユーズド・カー」、9.「僕の父の家(マイ・ファーザーズ・ハウス)」。いずれも、シンプルに個々のシチュエーションと心情を紡ぐといった内容の曲である。 蛇足ながら、本作には続編的作品がある。1995年リリースの『ザ・ゴースト・オブ・トム・ジョード』である。内容的に直接的つながりはないのだけれど、ストーリーテラーとしてのブルース・スプリングスティーンという観点に立った時、華々しいロッカーとしての彼のもう一つの顔を知るには、この2枚が必須ということになるだろうか。[収録曲]1. Nebraska2. Atlantic City3. Mansion on the Hill 4. Johnny 99 5. Highway Patrolman6. State Trooper7. Used Cars 8. Open All Night9. My Father's House 10. Reason to Believe1982年リリース。 【輸入盤CD】【ネコポス100円】Bruce Springsteen / Nebraska(ブルース・スプリングスティーン) ネブラスカ [ ブルース・スプリングスティーン ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2020年05月11日
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“残った3人”が作り上げたヒット作 デュラン・デュラン(Duran Duran)は、1980年代前半にシーンに登場し、“ニュー・ロマンティック”と呼ばれる流れやMTVの交流に乗って一躍スターダムにのし上がったイギリスのバンドである。1980年代半ばには複数のメンバーがかかわるサイド・プロジェクト(パワー・ステーションおよびアーケイディア)も展開するが、5人編成だったバンドは、ロジャー・テイラーとアンディ・テイラーが脱退することになる。そして、残った3人―サイモン・ル・ボン、ニック・ローズ、ジョン・テイラー―が作り上げた(厳密には数曲でアンディ・テイラーも参加した)アルバムが、1986年リリースの『ノトーリアス(Notorious)』だった。 アルバムは、全米12位、全英16位のセールスを上げ、2曲のヒット・シングルも生み出すことになった。個人的にもよく聴いたアルバムで、1980年代前半のヒット・アルバム(『リオ』や『セブン・アンド・ザ・ラグド・タイガー』)以上に、妙な愛着のあるアルバムだったりする。 いくつか収録曲を挙げてみたい。表題曲の1.「ノトーリアス」と3.「スキン・トレード」が上記の2つのシングル・カットされたヒット・ナンバー。前者は、静けさの中のコーラスから始まるのが妙に印象的で、後者はファルセットのヴォーカルが特徴的だが、いずれも個性的なナンバーに仕上がっている。他に注目したいナンバーとしては、まずは、2.「アメリカン・サイエンス」。ヴォーカルとメロディラインに思わず引き込まれる不思議な魅力を持ったナンバーである。4.「ア・マター・オブ・フィーリング」もサビが頭から離れないナンバーだったりする。前半に注目曲が集中してしまうのだけれど、これは筆者が当時にA面を聴いた回数が圧倒的に多かったからなのかもしれない。ともあれ、メンバー脱退の危機を乗り越えたデュラン・デュランはこの後も活動を続けていくことになった。その意味では、一つの転機となった作品だったと言えるのかもしれない。[収録曲]1. Notorious 2. American Science3. Skin Trade4. A Matter of Feeling5. Hold Me6. Vertigo (Do the Demolition)7. So Misled8. Meet El Presidente9. Winter Marches On10. Proposition1986年リリース。 【輸入盤CD】【ネコポス100円】Duran Duran / Notorious (デュラン・デュラン) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年05月06日
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天才少年から天才アーティストへと踏み出したきっかけの1枚 一般に、スティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)が本格的なアーティストへと変貌していったのは、プロデュースを手掛けられるようになった1970年(この年にアルバム『涙をとどけて』をリリース)からと言われる。その結果、1970年代前半から半ばかけて、『トーキング・ブック』、『インナーヴィジョンズ』、『キー・オブ・ライフ』といった名作群が生み出されていった。 本盤『アップタイト(Up-Tight)』は、それに先立つ1966年の作品である。『涙をとどけて』が本格的にアーティストへと向かった第一歩だとするならば、そのきっかけを生み出したのは、実は本盤だったとも言える。11歳で見いだされ、12歳でデビューした天才少年には、声変わりが訪れ、数年後には契約打ち切りも検討され始めていたという。けれども、本盤は、そうした発想を否定することにつながった。 表題曲でもある6.「アップタイト」は、R&Bチャートで1位のヒットとなり、さらには、初めてグラミー賞にもノミネートされることになった。また、この曲はスティーヴィーの共作曲でもあり、共作者はシルヴィア・モーイ(彼の芸名から“リトル”を取るようレーベルに提案した人物だったと言われる)、ヘンリー・コズビー(本盤のプロデューサーの一人)だった。さらに、本盤には他にもいくつかの共作曲が含まれている。ちょうどこの時期のスティーヴィーは、作詞作曲者としても頭角を現し、他のアーティストのソングライティングも手掛けるようになっていった時期だった。 本盤からは上記6.の他にもヒットが生まれた。ボブ・ディランのカバーである3.「風に吹かれて」である。これもシングルとしてリリースされ、全米チャート9位、R&Bチャート1位のヒットとなった。本盤自体も全米チャートで33位、R&Bアルバムのチャートで2位の売り上げを残すことになった。 このように、成功を収めたアルバムとなったものの、本盤全体を見ると、統一感のない部分もあるにはある。例えば、11.「コンタクト・オン・ラヴ」は1962年のシングル曲の採録だし、9.「プリティ・リトル・エンジェル」も1964年の録音曲である。それ以外の曲の並びにもどこかちぐはぐに感じる曲配置が感じられないわけでもない。とはいえ、個々の楽曲の演奏や歌唱は確かによくできているし、上で見たような経緯を踏まえると、何かまだまだ模索をしている部分もあったのかと想像させられる。そうした中でも個人的に立ち止まって聴きたい曲として特に推したいものとしては、上記2つのヒット曲に加えて、1.「ラヴ・ア・ゴー・ゴー」、5.「今夜教えて(ティーチ・ミー・トゥナイト)」、10.「ミュージック・トーク」といったところ。後々の堂々たるアーティストとしての完成作には負けるとしても、結局のところ、天才ぶりがこの盤にもしっかり収められている。[収録曲]1. Love a Go Go2. Hold Me3. Blowin' in the Wind4. Nothing's Too Good for My Baby5. Teach Me Tonight6. Uptight (Everything's Alright)7. Ain't That Asking for Trouble8. I Want My Baby Back9. Pretty Little Angel10. Music Talk11. Contract on Love12. With a Child's Heart1966年リリース。 ↓今回の盤はこちら↓ アップタイト [ スティーヴィー・ワンダー ] ↓以下は今回の記事で触れたその他の盤↓ 【輸入盤CD】【ネコポス100円】Stevie Wonder / Signed Sealed & Delivered (スティーヴィー・ワンダー) インナーヴィジョンズ/スティーヴィー・ワンダー[SHM-CD]【返品種別A】 トーキング・ブック [ スティーヴィー・ワンダー ] 【国内盤CD】【ネコポス送料無料】スティーヴィー・ワンダー / キー・オブ・ライフ[2枚組][期間限定盤(期間限定(2017/8/17まで))]【K2017/5/17発売】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年05月03日
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ソウル感のあるロックを聴かせる初ソロ作 ブルース・スプリングスティーンのE・ストリート・バンドのメンバーとして活動してきたリトル・スティーヴンことスティーヴ・ヴァン・ザント(Little Steven, Steve Van Zandt)は、1984年にソロに専念すべくバンドを脱退した。けれども、その前の段階で実はソロ名義のファースト作を発表していた。そのアルバムというのが、1982年発表の本盤『メン・ウィズアウト・ウィメン(Men Without Women)』である。 録音を開始したのは1981年末のことで、E・ストリート・バンド(B・スプリングスティーン自身も3., 4., 8.の3曲にコーラスで参加している)やアズベリー・ジュークス(盟友サウスサイド・ジョニーのバンド)、さらにはマイアミ・ホーンズのメンバーが参加した。さらに、1982年に入るとそれ以外のミュージシャンも集められ、夏には“ディサイプルズ・オブ・ソウル(ソウルの使徒たち)”としてライヴも行った。そして、上記の通り、“リトル・スティーヴン&ザ・ディサイプルズ・オブ・ソウル(Little Steven & The Disciples of Soul)”という名義で秋にリリースされたのが本盤ということになった。 全体としては、B・スプリングスティーンやS・ジョニーのアメリカン・ロック然とした作品群とは毛色が異なり、ソウルフルなロックといった印象の盤である。もともと彼らの楽曲を手掛けていただけあって、収録の全曲がリトル・スティーヴンのペンによるものとなっている。 個人的な趣味も含めつつ、もっともお勧めなのは、1.「ライイン・イン・ア・ベッド・オブ・ファイヤー」と7.「プリンセス・オブ・リトル・イタリー」。前者はスティーヴ節が全開のロック・ナンバーで、粘っこいヴォーカル(好みは分かれるかもしれないが、筆者はこれが大好きだったりする)が印象的である。対して、後者は叙情性のあるスロウ・ナンバーで、本盤特有のソウル感もよく出ている好曲だと思う。これら2曲に顕著に表れているが、アルバム全体を通じて、サウンドづくりと全体の中でのギターの使い方がうまいと個人的には強く感じている。本来的にはギタリストであるリトル・スティーヴンだが、“ギターを聴かせる”ことにはさほど執着せず、むしろ、“ギターを効果的に使う”ことを考えていたのではないかと思う。その結果、上記1.(特にエンディング)のようにギター・サウンドが強く出る曲もあれば、7.のようにおとなしく、しかし印象的カッティングは聴き手の印象に残るようにするなどの工夫をしたのだろう。 他を見ても捨て曲はほとんどないのだが、敢えて聴き逃がせないナンバーをあといくつか挙げておきたい。3.「アンティル・ザ・グッド・イズ・ゴーン」は、ホーンが効果的に使われていて、ヴォーカルもじっくり聴かせる好曲。5.「アンダー・ザ・ガン」は、サウンド的にも内容的にも次作以降(『ヴォイス・オブ・アメリカ』や『フリーダム―ノー・コンプロマイズ』)に続いていく内容と言えるように思う。10.「アイヴ・ビン・ウェイティング」は、ソウルフルなヴォーカル・ラインながらわかりやすいサビというバランスが気に入っている。[収録曲]1. Lyin' in a Bed of Fire2. Inside of Me3. Until the Good Is Gone4. Men Without Women5. Under the Gun6. Save Me7. Princess of Little Italy8. Angel Eyes9. Forever10. I've Been Waiting1982年リリース。 【中古】 【輸入盤】Men Without Women /Little Steven & The Disciples Of Soul 【中古】afb 【輸入盤CD】【ネコポス送料無料】LITTLE STEVEN / MEN WITHOUT WOMEN / VOICE OF AMERICA (RMST) 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2020年04月21日
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フィンランド発のバンド、デビュー作 北欧はフィンランド発のハノイ・ロックス(Hanoi Rocks)。1980年にマイケル・モンローのバンドにアンディ・マッコイ(この人は既にスウェーデンで別のバンドでデビューしていた)が加入して結成されたパンクおよびグラム・ロックのバンドであった。結成の翌年、彼らは本盤『白夜のバイオレンス(原題:Bangkok Shocks, Saigon Shakes)』でデビューを果たした。 全米に売り込むのは、これよりもさらに3年後のことだったので、本盤を制作した時点ではまだまだローカルなバンドであったことも確かだろう。なので、演奏に粗削りな部分があるのも事実なのだけれど、そうした垢抜けない部分も含めてハノイ・ロックスの魅力という風に思うのは、筆者だけではないように想像する。つまりは、決して悪い意味ではなくて、“ちゃちさ”や“雑さ”もぜんぶひっくるめて彼らの魅力だったと言えるんじゃないだろうか。 収録曲の中でやはり目立っているのは1.「白夜のトラジディ」。北欧だからって、とりあえずアルバム名もシングル曲も “白夜”っていう日本語タイトルの案直さはいかがなものかと思うけれど、粗削りで、必ずしも完成度が高いわけではないことがかえって勢いがあることにつながっている。 このナンバー以外に、個人的好みで何曲か注目したいものを挙げておきたい。カッコいいワウが印象的な2.「ヴィレッジ・ガール」は、このバンドの将来性が窺えたナンバーだと思う。4.「ネバー・リーブ・ミー(ドント・ネヴァー・リーヴ・ミー)」は、後にリメイクされるのだが(正直、出来は後のヴァージョンの方がよい)、アンディ・マッコイの曲作りのセンスの良さが見てとられる。ハノイ・ロックスらしさが典型的に表れたロック・ナンバーとしては、5.「ロスト・イン・ザ・シティ」や7.「涙のサンシャイン」が特にいいと思う。 周知の通り、何よりも残念なのは、ドラマーのラズルの急死(1984年、自動車事故による)によってバンド活動が止まり、その翌年には解散して、文字通り“伝説のバンド”と化してしまったことであった(ただし、本盤制作時はまだドラムはラズルではなく、前任のジップ・カジノだった)。ちなみに、後の2001年、バンドは再結成し、『トゥエルヴ・ショッツ・オン・ザ・ロックス』など数作を残したものの、結局は2009年に解散してしまっている。[収録曲]1. Tragedy 2. Village Girl3. Stop Cryin’4. Don't Never Leave Me5. Lost in the City6. First Timer7. Cheyenne8. 11th Street Kidzz9. Walking With My Angel10. Pretender1981年リリース。 【中古】 白夜のヴァイオレンス /ハノイ・ロックス 【中古】afb 【輸入盤CD】【ネコポス送料無料】Hanoi Rocks / Bangkok Shocks Saigon Shakes 【K2016/10/28発売】(ハノイ・ロックス) 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーを“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2020年04月19日
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結局は“つなげて”演奏したアメリカン・ロック界のボスのアンプラグド盤 1990年代、広範なリスナー層に大うけした企画が“MTV Unplugged”なるライヴ演奏だった。厳密に言うと、1989年あたりから始まったものだったが、文字通り、楽器の電気プラグを抜いて、アコースティックで演奏する、というのがその趣旨だった。エリック・クラプトンなんかに代表されるように、こうした“アンプラグド”のライヴ企画は、いくつものヒットを生み出す現象になった。 こうした流れの中、アメリカン・ロック界のボス、ブルース・スプリングスティーンも1992年に“アンプラグド”盤を録音している。しかし、その結果は“つないだまんま”のライヴとなってしまった。それゆえ、アルバム作品(および映像作品)としてリリースされたものの、ジャケットや表題の“Unplugged”の“Un”の部分にはバツ印が付けられた。 アメリカン・ロックの代表格だからアコースティックになれなかったというのは、少々言い過ぎで、実際にはこの数年前には弾き語りメインのアコースティック・ライヴ・ツアーも行っている。けれども、ちょうどこの演奏の年は、『ヒューマン・タッチ』と『ラッキー・タウン』の2枚同時リリースの時期と重なり、従来のE・ストリート・バンドとは異なる新たなメンバーでの演奏に本人の関心が集中していたのだろう。実際、13曲中8曲がこれら2作に収められた楽曲となっている。さらに、アコギを使った冒頭の1.「レッド・ヘッデッド・ウーマン」は未発表曲、10.の「ライト・オブ・デイ」は映画用の提供曲をセルフカバーしているが、10.の8分を超える長尺の演奏はこのメンバーでのライヴを象徴する盛り上がりになっている。 9.「涙のサンダーロード」など過去のナンバーも演っているが、リリース当時に筆者が繰り返し聴いたのは、2.「ベター・デイズ」、6.「ヒューマン・タッチ」など上記2枚同時リリースのアルバムの代表曲群だった。後にE・ストリート・バンドが復活したが、演奏の一体感や安定度ではかなわないかもしれない。けれども、この頃の新たな気分で新たなチャレンジをしている姿と演奏は、既にベテラン・アーティストであるにもかかわらず、フレッシュな印象だったように思う。そういう点では、上記10.とともに、5.「マンズ・ジョブ」の演奏にもぜひ注目していただきたい。[収録曲]1. Red Headed Woman2. Better Days3. Atlantic City4. Darkness on the Edge of Town5. Man's Job6. Human Touch7. Lucky Town8. I Wish I Were Blind9. Thunder Road 10. Light of Day11. If I Should Fall Behind12. Living Proof13. My Beautiful Reward1993年リリース。 【中古】 MTV UNPLUGGED〜プラグド /ブルース・スプリングスティーン 【中古】afb ↓こちらはDVD(輸入盤)です。↓ イン・コンサート: MTV プラグド [輸入盤][DVD] / ブルース・スプリングスティーン 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年04月07日
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最もアンプラグド向きのアーティストによるアンプラグド盤 ニール・ヤング(Neil Young)のイメージはというと、アコースティック・ギターを片手にステージで歌っている姿を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。そういう意味では、わざわざ“アンプラグド”を銘打つ必要があるのかという、疑問の声も上がりそうなほどアンプラグド向きのアーティストによるアンプラグド盤が、ニール・ヤングの『アンプラグド(Unplugged)』だと言えるのかもしれない。 1989年に始まり、レギュラーの企画としては10年ほど続いたMTVアンプラグドには、幾多の大物アーティストが参加し、ヒット盤も生まれた。本盤もそうした大物による成功盤と言える。全英4位が最高位(全米チャートでは23位)で、英米双方でゴールドディスクとなった。 1993年リリースなので、既に四半世紀以上前の作品だが、全体としてはこのライヴ・コンセプトに合った選曲であるように思う。ただし、実際の演奏時のセットリストとは曲順が大幅に異なっている。結果、アルバムを聴くと、前半(1.~7.)に弾き語りスタイルの演奏が集められたという風になっている。 筆者の好みが存分に反映されそうだけれど、注目ナンバーを中心にざっと全体を見渡しておきたい。2.「ミスター・ソウル」は、1960年代後半、バッファロー・スプリングフィールドの一員だった頃の名曲。3.「ワールド・オン・ア・ストリング」は、名盤『今宵その夜』所収のナンバー。4.「優しきポカホンタス」は、1979年の『ラスト・ネヴァー・スリープス』の収録曲で、筆者のお気に入りの1曲。5.「ストリングマン」は、本盤で初披露となったナンバーで、本来は未発表となった1977年のアルバム『クローム・ドリームズ』に収録されていた曲。6.「ライク・ア・ハリケーン」は、個人的フェイバリット。7.「ダメージ・ダン」は、1972年の『ハーヴェスト』収録のこれまた私的お気に入り曲。 CSN&Y(元の盤はこちら)の8.「ヘルプレス」では、所縁の深いニルス・ロフグレンのゲスト参加が注目に値する。9.「ハーヴェスト・ムーン」は、このライヴ当時にはリリース後間もなかった同名アルバムの表題曲で、これまた名曲(なお、同じアルバムからは、11.、14.のほか、本盤に収められなかったナンバーも当日セットリストに見られた)。13.「太陽への旅路」は盟友スティルスと組んだ1976年発表のアルバムの表題曲である。 アンプラグド盤というと、本来のそのアーティストの演奏とは一味違った側面を見せるという印象がある。このニール・ヤングについては、いろんな側面があることを無視するわけではないのだけれど、ある種、“イメージ通り”の盤でもあるとも言えるだろう。そういう意味では、ニール・ヤングを初めて聴く人にも手を伸ばしやすいアンプラグド盤ではないかと思ったりする。[収録曲]1. The Old Laughing Lady2. Mr. Soul3. World on a String4. Pocahontas5. Stringman6. Like a Hurricane7. The Needle and the Damage Done8. Helpless9. Harvest Moon10. Transformer Man11. Unknown Legend12. Look Out for My Love13. Long May You Run14. From Hank to Hendrix1993年リリース。 【輸入盤CD】【ネコポス送料無料】Neil Young / Unplugged (ニール・ヤング) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年04月04日
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1980年代半ば、アイランド期の代表盤 トム・ウェイツ(Tom Waits)は、1949年カリフォルニア州出身のシンガーソングライター。時代の推移と共に彼の音楽性は変化してきたが、個人的には、おもに1970年代のアサイラム・レコード所属期、1980年代~90年代初頭のアイランド・レコード期に愛聴盤が集中している。 1985年発表の本盤『レイン・ドッグ(Rain Dogs)』は、アイランド期の代表作で、トム・ウェイツのキャリア全体を見渡しても代表盤の一つに挙げられるに相応しいと思う盤である。その当時の実際のセールスは振るわなかったが、評論家やミュージシャンの間では評判の高い盤と言える。筆者が最初に聴いたのは80年代の末にライヴ盤『ビッグ・タイム』とセットだったように記憶しているが、最初に聴いて以来、現在まで愛聴盤であり続けている。 1970年代からの“言葉”を武器にする魅力に加え、本盤では前衛的かつ融合的な音楽のミクスチャーが実現されている。ジャズや後に“オルタナ”と括られるようなサウンドが巧みに織り込まれている一方、ギターのサウンドが重視されているのも本盤の特徴と言える(この点に関しては、キース・リチャーズの参加が特筆される)。 聴き逃がせないナンバーをいくつかピックアップしておきたい。1.「シンガポール」は、冒頭曲に相応しく、この緊張感が何とも言えないよさを出している。2.「クラップ・ハンズ」は、カウベルが怪しく響き、ギターが前に出ている雰囲気がいい。8.「ハング・ダウン・ユア・ヘッド」は、さりげなく流れていくメロディックな部分を含んでいるのだけれど、2分半ではもったいなく、5分は聴いていたいナンバー。9.「タイム」は、過去記事でも取り上げたとおりで、文句なしの名曲。 アナログ時代のB面に移り、表題曲の10.「レイン・ドッグ」は、印象的なアコーディオンのイントロに続き、ギターが明確な力強い曲調が特徴である。これと似た緊迫感は14.「ユニオン・スクエア」でも表現されているが、続く15.「ブラインド・ラヴ」のような、ある種、長閑な雰囲気も同じアルバムの中で表現されているのが、単調にならず飽きさせない展開になっている理由なのかもしれない。17.「ダウンタウン・トレイン」はトム・ウェイツ作の名曲の一つで、後の1989年にロッド・スチュワートがカバーしてヒットさせている。筆者的には同時期のボブ・シーガーによるカバーもお気に入りだったりするが、原曲を聴けば、そもそも曲が素晴らしかったのだと納得させられる。アルバムを締めくくる19.「レイ・マイ・ヘッド」も、最後のビッグバンド風の締めを除いて同じく超名曲だと思うのだけれど、なぜかこちらはそうしたカバーがない。ともあれ、これを聴かずしてトム・ウェイツは語れない、そんな必聴盤だと言っていいように思う。[収録曲]1. Singapore2. Clap Hands3. Cemetery Polka4. Jockey Full of Bourbon5. Tango Till They're Sore6. Big Black Mariah7. Diamonds & Gold8. Hang Down Your Head9. Time10. Rain Dogs11. Midtown12. 9th & Hennepin13. Gun Street Girl14. Union Square15. Blind Love16. Walking Spanish17. Downtown Train18. Bride of Rain Dog19. Anywhere I Lay My Head"1985年リリース。 レイン・ドッグ [ トム・ウェイツ ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年03月29日
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マニア向けの盤にしておくにはもったいない好盤 1960年代末、アルバム1枚を残して消え去ったバンドに、フィフス・アヴェニュー・バンドがあった(ただし、後に再結成している)。そのメンバーだったピーター・ゴールウェイが1971年に新たな面々を集めて吹き込んだのが、この『オハイオ・ノックス(Ohio Knox)』であり、このオハイオ・ノックスもまた、本盤だけを残して消え去ってしまった。ゴールウェイ自身はその後も活動を続けていくことになったものの、フィフス・アヴェニュー・バンドも、オハイオ・ノックスも1枚だけで姿を消したというのは、今となってはもったいない存在だったように思う。 本盤『オハイオ・ノックス』は、過去に、再発されずレア盤となっていたこともあり、“マニアのみぞ知る隠れ名盤”のように扱われてきたが、当時はセールスに結びつかなかったのだからどうしようもない。けれども、時が流れ、本盤を後聴きした筆者にとっては、このよさが受け入れられなかったのは残念だったと思う。 本盤のよさは“音楽を演ることの楽しみの具現化”である。きっとやっている本人たちは楽しくて仕方なかったのだろうと思う。ニューヨークからロスに居を移し、ハリウッドを見下ろす“農場”で気の合う仲間たちとやりたいように音楽をやる。その結果は、作られた感じがなく、自然にあふれ出てきたという印象を与えるサウンドであり演奏である。 聴き逃がせないと思うナンバーを少し挙げておきたい。2.「ランド・オブ・ミュージック」がその筆頭である。どこか「ライク・ア・ローリング・ストーン」と似ているのだけれど、流れるようで骨がある曲調と演奏は何度か繰り返し聴けば、頭から離れなくなることだろう。4.「カラミティ・ジェーン」は、フィフス・アヴェニュー・バンドのアルバムで披露した曲の再演だけれど、厚みのあるアレンジはオリジナル(元のものも好ナンバーに仕上がっていた)の上を行く見事な出来である。7.「ベイビー・ソックス・ノックス」はもはやタイトルからして遊んで楽しんでいるようだが、この曲にも見られるようなファンキーでソウルな部分は本盤の中心ではないが、欠かせない要素になっている。あと、個人的な好みが多分に含まれるものの、9.「ノー・スリープ・フォー・ザ・ウィキド」に代表されるゴールウェイのヴォーカルの魅力にはついつい惹き込まれてしまう。以上の文面で何をどれだけ伝えられているかはわからないけれど、ロック好きなら一度は試してもらいたい好盤である。[収録曲]1. Taking It Easy2. Land of Music3. That Lady4. Calamity Jane5. There Comes A Time6. Give Me John Ford7. Baby Sox Knox8. Pound or My Dog Dad for Robert Downey9. No Sleep for The Wicked10. Abigail Archer11. North Country Laura1971年リリース。 【国内盤CD】【ネコポス送料無料】オハイオ・ノックス / オハイオ・ノックス 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2020年03月01日
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70年代のクラプトンを締めくくる盤 1970年代のうちかなりの間、エリック・クラプトン(Eric Clapton)のバンド・メンバーは固定されていた。ジョージ・テリー(George Terry,ギター)、ジェイミー・オールデイカー(Jamie Oldaker,ドラム)、ディック・シムズ(Dick Sims,キーボード)、カール・レイドル(Carl Radle,ベース)というのがその中心となる布陣であった。結果的にこのメンバーでの最後の録音となったのが、1978年発表の本作『バックレス(Backless)』である。成功を収めた『スローハンド』に続く盤としてリリースされ、クラプトンのスタジオ・アルバムとしては1970年代最後の作品となった。 一言でいうと、本盤は、全体的に“地味”である。神がかりなギターを聴きたいのなら、ブルースブレイカーズやクリームなどもっと昔の盤を聴けばよいし、いかにも“レイドバック”したクラプトンを聴きたいのなら、『安息の地を求めて』や『461オーシャン・ブールヴァード』をお先にどうぞ、となってしまう。とはいえ、本盤のクラプトンは何ともマイペースに我が道を行っている。 そんな中、聴きどころになりそうな曲をいくつか挙げてみたい。B・ディランの1.「ウォーク・アウト・イン・ザ・レイン」は本盤のマイペースぶりがよく表れているナンバーと思う。4.「ロール・イット」や8.「プロミセス」は、以前に「レイ・ダウン・サリー」などでも共作・共演しているマーシー・レヴィ(Marcy Levy, 出生名Marcella Levy)の参加が光る。3.「アイル・メイク・ラヴ・トゥ・ユー・エニイタイム」のように、クラプトンの“レイドバック”のお手本であるJ・J・ケイルのナンバーや、7.「アーリー・イン・ザ・モーニング」のようなトラディショナル曲もいい味を出している。 そんなわけで、さほど派手さはないし、突出した特徴を求めるなら他の盤に行ってしまいがちではあるものの、個人的には憎めない、時折思い出してはついつい浸ってしまう、そんな盤だったりする。[収録曲]1. Walk Out in The Rain2. Watch Out for Lucy3. I'll Make Love to You Anytime4. Roll It5. Tell Me That You Love Me6. If I Don't Be There by Morning7. Early in the Morning8. Promises9. Golden Ring10. Tulsa Time1978年リリース。 バックレス/エリック・クラプトン[SHM-CD]【返品種別A】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年02月26日
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驚愕のアウトテイク集~4枚目 CD4枚組という、かなりのヴォリュームで1998年に発売されたのが、アメリカン・ロック界のボスことブルース・スプリングスティーンのアウトテイク集『トラックス(Tracks)』だった。今となっては、デラックス版とか〇〇周年記念エディションとか、果ては未公開音源をありったけ収録したような蔵出しのリリースが、様々なアーティストによって相次いで発売されたけれど、このアウトテイク集の量と質はそこいらの未発表音源発掘盤にはない高いレベルをいまだに誇っていると思う。 さて、今回取り上げるのは、その『トラックス』4枚組のうちの4枚目である。大部分が1992年リリースの『ヒューマン・タッチ』のアウトテイクから成る。同盤およびそれと同時発売だった『ラッキー・タウン』のところにも書いたように、この頃の創作意欲というか勢いは凄まじいものだったが、このアウトテイク集を見ると、1.~9.、11.と12.が『ヒューマン・タッチ』のアウトテイクで、1990~91年にかけてじっくりと腰を据えてアルバムの準備が進んでいたことがわかる。一方、『ラッキー・タウン』は最後になってアイデアが湧き出てきて一気に制作されたとされるだけあって、アウトテイクの数は少ない(10.のみが同盤のアウトテイクとして収録されている)。中にはシングルのカップリングとなった曲も含まれているが、ほとんどが当時未発表のナンバーだった。 1990年代初頭のスプリングスティーンらしいナンバーとしては、1.「リーヴィン・トレイン」や4.「サッド・アイズ」が特にいい。シングルB面の既発表曲としては、「57チャンネルズ」にカップリングされていた11.「パート・マン・パート・モンキー」が印象に残る。あとは、末尾の2曲に触れておきたい。これらは1995年にE・ストリート・バンド再結成による吹き込みで、13.「バック・イン・ユア・アームズ」は貫禄のバラード。そして、14.「ブラザーズ・アンダー・ザ・ブリッジ’95」は、80年代にアウトテイクとなっていた(『トラックス』では3枚目に収録)ナンバーの新テイクとなっている。 本ブログで最初にこのアルバムのことを書いたのは、10年近くも前のことだった(参考過去記事前編・同後編)。スローペースゆえ、最終的に4枚分ぜんぶを取り上げるまでに長い時間がかかってしまったけれど、それは中身の濃さゆえと言い訳しておきたい。ともあれ、これでようやくCD4枚分すべてを見たことになるので、ご関心の向きはぜひ過去記事もご覧いただきたい。[収録曲]1. Leavin' Train2. Seven Angels3. Gave It a Name4. Sad Eyes5. My Lover Man6. Over the Rise7. When the Lights Go Out8. Loose Change9. Trouble in Paradise10. Happy11. Part Man, Part Monkey12. Goin' Cali13. Back in Your Arms14. Brothers Under the Bridge '951998年リリース。[参考過去記事]Tracks ~disc 1~Tracks ~disc 2~(前編)・同(後編)Tracks ~disc 3~Tracks ~disc 4~(本記事) 【輸入盤CD】【送料無料】Bruce Springsteen / Tracks(4CD Boxset)(ブルース・スプリングスティーン) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年02月05日
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初期レインボーの2枚組ライヴ盤 レインボー(Rainbow)は、ディープ・パープルのギタリストであるリッチー・ブラックモア(Ritchie Blackmore)が発足させたバンドで、1975年にファースト作(『銀嶺の覇者』)を発表した。翌年のセカンド作(『虹を翔る覇者』)に続き、3枚目のリリースにして最初のライヴ作となったのが、1977年リリースの『レインボー・オン・ステージ(Rainbow On Stage)』であった。 レインボーは、実質的にブラックモア主導のバンドということもあり、メンバーの出入りが激しかった(その上、演奏スタイルも変化していった)。本ライヴ盤は、ヴォーカルがロニー・ジェイムズ・ディオだった時期の来日公演(1976年)の音源が中心となっている。全6曲(後にメドレーの3曲が別々のトラックと扱われたので全8曲となっており、下記の曲目データは8曲収録の表記にあわせる)から成っていた。6曲という数からは一見わかりづらいが、長尺の演奏が多く、発売当時はLP2枚組というヴォリュームであった。実のところ、筆者もそのレコードだった時の曲配置のイメージに愛着があったりする。 収録内容は2.~5.が日本公演の音源(5.は大阪公演で、他は東京公演)、残りは西ドイツ(ケルン、ニュルンベルク、ミュンヘン)の音源が使用されているが、元のライヴそのままではなく手が加えられている(複数の音源からミックスされたり編集されてたりしている)箇所が多い。収録曲は、ファースト作の曲を中心に、セカンド作や、さらにはディープ・パープル時代の曲も収録されている。さらに、ちょっと珍しいところでは、本ライヴ盤発売時にはまだリリースされていなかった次作(『バビロンの城門』)に収録された曲(1.に含まれている「キル・ザ・キング」)が収められている。 とにかく演奏に一体感があるという点が、本盤の最大の特徴と言える。昔聴いていた時にはあまり深く考えずにただ酔い、没頭していたけれど、今あらためて考えれば、1976年段階でこの演奏内容というのがすごい。ハード・ロック/ヘヴィー・メタルという名で括られる音楽が作られ、広まっていった過程を考えれば、確実に将来を先取りしていた。個人的な体験による贔屓もあると言われると確かにそうかもしれないのだけれど、ライヴ盤に残されたこの演奏で、その当時の熱さも、いま述べた先駆性も追体験できる、そんな作品だと思う。[収録曲]1. Intro: Over the Rainbow/Kill the King2. Man on the Silver Mountain3. Blues4. Starstruck5. Catch the Rainbow6. Mistreated7. Sixteenth Century Greensleeves8. Still I'm Sad*LP(2枚組)では、1.と2~4.(LPではメドレーとして1曲の扱い)がA面、5.がB面、6.がC面、7.と8.がD面に収録。1977年リリース。 レインボー・オン・ステージ [ レインボー ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年01月27日
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独特の音楽スタイルの吟遊詩人 J・J・ケイル(J. J. Cale)はオクラホマ出身のギタリスト、シンガー・ソングライター(1938年生まれ、2014年没)。J・J・ケイルというアーティスト名は、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのジョン・ケイルと混同しないように付けられた芸名(この人の本名はジョン・ウェルドン・ケイル)である。本盤『トルバドール(Troubadour)』は、1976年にリリースされた作品で、彼のスタイルが体現されたアルバムでと言えるように思う。 J・J・ケイルの音楽スタイルは、“タルサ・サウンド”(タルサはオクラホマ州にある都市の名称)などと呼ばれ、ブルース、ジャズ、カントリーなどが相混じったものである。彼のスタイルは、しばしば“レイド・バック”と言われ、エリック・クラプトンがソロ・アーティストとしてやっていく際に目標として言及していたものでもある。 実際、本盤には、クラプトンが本作発表の翌年にカバーして有名となった6.「コカイン」が含まれている。けれども、この曲だけを聴いておしまいというのでは、本盤はもったいない。個人的嗜好から何曲か触れておくと、まずは1.「ヘイ・ベイビー」。あくまで個人の感想だが、妙に病みつきになりそうなナンバーが多く、この曲はその筆頭である。本盤でぜひとも聴き逃がせないナンバーだと思うのは、2.「トラヴェリン・ライト」。そして、次点が8.「消えた女」。なんだか個人的思い入ればかりで曲を挙げているような気もしてきたが、とにかくどの楽曲・演奏も渋くてカッコいい。 J・J・ケイル自身は、残念なことに2013年に74歳で亡くなってしまっている。とはいえ、彼の作品、とりわけ本盤はずっと後世へと聴き継がれて欲しいと思う。[収録曲]1. Hey Baby2. Travelin' Light3. You Got Something4. Ride Me High5. Hold On6. Cocaine7. I'm a Gypsy Man8. The Woman That Got Away9. Super Blue10. Let Me Do It to You11. Cherry12. You Got Me On So Bad1976年リリース。 トルバドール/J.J.ケール[SHM-CD]【返品種別A】 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2020年01月24日
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