やっぱり読書  おいのこぶみ

やっぱり読書 おいのこぶみ

2005年02月02日
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カテゴリ: 読書感想
立花隆さんといえば、「田中角栄研究…」文春記事で有名、印象的が濃い。

フィクションが好きだし、ノンフィクションはあまり読んでいない私には面白くない、その、ノンフィクションライターの立花さんの読書論。だから皮肉っぽい気持ちで読んでいたのだが…。

やはり、現代小説は殆ど読んでいないとおっしゃる。調べるための読書であって、趣味のための読書ではないそうだ。当然だろう。

しかし、立花さんは学生時代は浴びるように文学書を読んでいる。<中学生・立花隆少年の読書記録>という実際、中学時代の校内誌に発表したその作文そのものを掲載してあるが、中学生の文章のうまさにもびっくりしたし、「小学三年生で漱石を読んで、六年になるとディケンズに熱中した」ように世界の文学書がほとんど網羅してある数々におどろいた。高校は受験勉強で読めなかったといっても、『決定版世界文学全集』(河出書房菊版)を半分以上読んでしまった。哲学書を含め、それが大学時代まで続いたそう。当時の日本の読み手の100人以内に入るのではと豪語?していらっしゃる。さすが!

その下地があって社会人となった立花さんは、文藝春秋社を本が読めないと30ヶ月で辞める。文学書が読めないのではない。ノンフィクションの面白さに気がついて、それが読めないというのだ。そして自分の興味のあるテーマを追えるとて、ノンフィクションライターになる。

章でいうと、

『「実戦」に役立つ十四ヵ条』(仕事と一般教養のための読書についての)
『僕はこんな本を読んできた』(対談風読書論、立花さんの姿勢『エコロジー的発想』とは、がわかる)
『僕の読書を顧みる<中学生・立花隆少年の読書記録>』(本名、橘隆志で書かれた中学時代の)



『立花式「実戦」に役立つ読書十四ヵ条―(1)本に金を惜しむな、(2)同テーマの類書を読め、(3)選択の失敗を恐れるな、(4)自分の水準に合わぬ本は途中で止めろ、(5)読むのを止めてもページだけは最後までめくれ、(6)速読術を身につけよ、(7)読みながらノートはとるな(8)ガイドブックに惑わされるな、(9)注釈に注意せよ、(10)書かれていることを疑え、(11)オヤと思った情報はチェックしろ、(12)?と思ったらオリジナルデータにあたれ、(13)難解な翻訳書は誤訳を疑え、(14)大学での知識はなにほどでもない―若いうちはとにかく読め!』(帯より)

本の種類はちがっても、目からうろこの読書論、参考になった。

実はこの本、ちょっと前(って、もう10年になるのか!発行年が1995年)本屋さんで興味引かれ、手に取りつつも買わなかったのに、例の100円で見つけて速読してしまったのだ。

はたと思ったのだが古本屋さんに売るときのため、読むのにはうるさいが帯を棄てないでおこう。何かと役立つ帯(笑)



立花隆さんが同世代だなーと思って読んだところがある。

マルタン・デュガールの「チボー家の人々」やロマン・ロランが当時もてはやされて、ご自分も読まれたけれど(私も忘れられない本)、今は全くでないにしろ読者がいなくなっている。名作はふるいにかけられる、やはり何百年と残らなければ本当の名作とはいえないだろう、というくだりがある。

『出版は本来“一過性”のもの』と活字文学の興亡の考察しているのだ。事情はともあれ、なにかもの寂しい。そこで立花さんはノンフィクションの出番だ、というのだろうが…。

しかし、「チボー家の人々」は同時代だ。





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最終更新日  2005年02月02日 13時25分41秒
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Re:「ぼくはこんな本を読んできた」立花隆(文藝春秋)(02/02)  
るり4241  さん
 なるほど~。。。

 現代の大学生で、ちボー家の人々を読もうとしている人を知っていますが、読書離れが激しい現代。

 軽くて読みやすい本がもてはやされるのは、仕方がないかもしれませんね。


 もしかして、今忘れられている作品も、また、100年後にもてはやされるってことはないでしょうか? もし、あったら、楽しいですね。w (2005年02月02日 14時17分40秒)

るり4241さんへ Re[1]:「ぼくはこんな本を読んできた」立花隆(文藝春秋)(02/02)  
ばあチャル  さん



なにかのきっかけでふたたび浮かび上がる芸術性とか普遍性があればですね。
本当に心に響く作品は100年ではわからなくて1000年だとすると1000年生きて見届けたい。それこそタイム・リープしかないです(笑) (2005年02月02日 19時15分26秒)

Re:「ぼくはこんな本を読んできた」立花隆(文藝春秋)(02/02)  
alex99  さん
私も立花隆の本はほとんど買います。
秘書日記を読むと、それほど好きな人とは思えないのですが、その知的好奇心は、雪(無知)を掻き分けるラッセル車のようです。

(2005年02月03日 18時25分38秒)

alex99さんへ Re[1]:「ぼくはこんな本を読んできた」立花隆(文藝春秋)(02/02)  
ばあチャル  さん
>それほど好きな人とは思えないのですが、その知的好奇心は、雪(無知)を掻き分けるラッセル車のようです。

その感じはTVで拝見しても、この本を読んでもわかります。しかし、「ラッセル車」とは言い得て妙です(笑) (2005年02月03日 20時44分17秒)

Re:「ぼくはこんな本を読んできた」立花隆(文藝春秋)(02/02)  
☆かよ  さん
『立花式「実戦」に役立つ読書十四ヵ条―(1)本に金を惜しむな、(2)同テーマの類書を読め、(3)選択の失敗を恐れるな、(4)自分の水準に合わぬ本は途中で止めろ、(5)読むのを止めてもページだけは最後までめくれ、(6)速読術を身につけよ、(7)読みながらノートはとるな(8)ガイドブックに惑わされるな、(9)注釈に注意せよ、(10)書かれていることを疑え、(11)オヤと思った情報はチェックしろ、(12)?と思ったらオリジナルデータにあたれ、(13)難解な翻訳書は誤訳を疑え、(14)大学での知識はなにほどでもない―若いうちはとにかく読め!』(帯より)
.......................

これって参考になりますよね。
ただ、図書館があるからどうしても借りて読んでしまうんですよね。
速読が出来ればよいな~☆
あと、50~100ページくらいまで我慢して読んでも、どうしても好きになれないものはリタイアする事にしてるんですが、それも最後までページをめくるのがよいのでしょうね~。
それで、皆さんが好きな作家さんで私の苦手な作家さんが結構居ます。

(2005年02月03日 23時14分01秒)

☆かよさんへ Re[1]:「ぼくはこんな本を読んできた」立花隆(文藝春秋)(02/02)  
ばあチャル  さん
>ただ、図書館があるからどうしても借りて読んでしまうんですよね。

私もこのごろ図書館のはしごをして蔵書の傾向を調べたりしています。結構読みたい本が揃っています。超人気をちょっと外れればね(笑)

>速読が出来ればよいな~☆

私もー!

>それで、皆さんが好きな作家さんで私の苦手な作家さんが結構居ます。

私も2~3冊で終わりっていう作家さんがあります。でも、時を経て又機会があると復活ということもある。不思議です。 (2005年02月04日 18時05分22秒)

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