やっぱり読書  おいのこぶみ

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2007年11月02日
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カテゴリ: 読書メモ

半島を出よ(上)

半島を出よ(下)




2011年の未来、北朝鮮の特殊戦部隊員の数名が福岡を占拠、テロリストに乗っ取られても日本政府はいつものパターン、後手後手の対応にがゆいったらない!

いくらほんとのことに近いって言ったって、こんな無様な日本だったか、日本の役人、いや日本人が危機管理にいかに甘いか、お気楽なのか。

愛国心めらめらと読み始めはそう思った。が、ストーリーの運びの視点が日本人だったり、北朝鮮人だったりくるくると変わって、だんだん高揚してくる。

つまりこの物語を北朝鮮のコマンド、政府の役人、ホームレスの少年たち、福岡市役所役人、新聞記者、テレビのキャスター、等々の側から見ることになり、なんとも不思議な臨場感。

ああ、北朝鮮のひとたちはこんな気持ちだったのね、とか、社会に溶け込めない少年達はこんな事を秘めていたのか、とか。可哀想になったり、怒ったり複雑な気分。

膨大な登場人物が織り成す、辛口の批判精神ばりばりの、リアルを通り越した叙事詩。フィクションであってほしい物語。

でも、よく出来ている。おもしろかった。ちょっと嫌だった。読み終わって、ぼーっとしてしまったのだった。そのわけはやっぱり愛国心。






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最終更新日  2007年11月02日 16時37分39秒
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Re:『半島を出よ』村上龍(11/02)  
きいぼ  さん
おぉ、ついに読まれたのですね。
私も夢中になって読みました。
フィクションであってほしい物語、ではあるけれど
役人のふがいなさ、子どもたちの危うさなど、すでに
リアルな気もしました。
(2007年11月02日 19時11分00秒)

きいぼさん  
ばあチャル  さん
そうなんですよ、文庫化されてやっと念願叶いました。

2年前に発表されてそれからもその通りな日本のありさまが悲しいですね。経済のゆきづまりなど予言的中だし、役人の悪事は昨日も今日も過去もずっとありっぱなしで、責任を誰も取らなくてもすむような卑怯なありかたで、これでは何かあったとき国民はどうなってしまうのだろうという不安な現実がのしかかっています。
(2007年11月02日 21時17分41秒)

Re:『半島を出よ』村上龍(11/02)  
かつきねえ  さん
愛国心。
なるほど。そうだわ。
私は北朝鮮や役人の現実に目が奪われていましたが、確かに戦争反対の愛国心を掻き立ててくれた作品ですね!
ばあチャルさんのおかげで、この作品の別の面を知りました。
(2007年11月03日 08時35分36秒)

かつきねえさん  
ばあチャル  さん
さんざん言われている(言われてないか?)日本人の欠点、「突出しない」「意見をすぐ出さない」「決定しない」「すぐ謝る」などなど、毅然としていないじゃないか、情けないじゃないか、と外交に対する日本の下手さに怒り心頭にもかかわらず自分も日本人その一人で、やっぱり愛してしまうのですよ日本民族を。

だってこんなにいい国はありません、治安、衛生面、気候、食べ物、等々ほんとに揃っています。逃してなるものかこの平和!

それには強さがいるんですよね。平和は与えられるものではなく、つくるもの、勝ち取るものでもあるんです。もちろん戦争するのではなく地球規模の共存で、英知をはたらかせて。(と、めらめらと 苦笑)
(2007年11月03日 12時55分32秒)

Re:『半島を出よ』村上龍(11/02)  
オーキリ  さん
視点がころころ変わる?
それはちょっと困るぅ~おバカには読み解けないなぁ~(汗

日本の役人の(日本人も)お気楽さには呆れてしまいますね。
そのくせ、欲だけは深いこと海のごとし...。

ちょっとおっかないけど読んでみたい気が...
1000頁超はツライかな。 (2007年11月04日 13時23分20秒)

オーキリさん  
ばあチャル  さん
>視点がころころ変わる?
>それはちょっと困るぅ~

いえ、いえ、それがかえってそれぞれの立場に感情移入できて分かりやすいのです。ただし北朝鮮人の立場になって語られてる部分は、異世界が想像ついたりしてそうだったのかと思うんですが、理解するのがなんだかあやうい…。でも太平洋戦争前の日本も重苦しかったのではないでしょうか。閉じ込められるとその中で必死に生きていかねばなりませんものね。
(2007年11月04日 21時31分51秒)

読んでみたい~  
ぞうりむしは、「村上龍」を読んだことがありません。でも一度読んでみたいです。一番最初に読むのは何がいいんでしょうか。ばあちゃるさんのオススメありますか?「半島を出よ」は始めから大作すぎますかねぇ・・ (2007年11月05日 00時29分06秒)

ぞうりむしやすよさん  
ばあチャル  さん
わたしも近年になって読み始めた作家です。

これの他は「限りなく透明に近いブルー」と「テニスボーイの憂鬱」のみ。前者は芥川賞作品、後者はわたしが横浜の郊外に住んでいたことがあったから興味引かれて。「テニス…」のほうが読みやすいかな。「半島…」が印象深いのでもっと読みたく、数多い村上龍作品のラインナップを眺めているところです(汗)
(2007年11月05日 15時07分14秒)

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