やっぱり読書  おいのこぶみ

やっぱり読書 おいのこぶみ

2008年06月15日
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カテゴリ: 読書感想

 むかし『欣求穢土(ごんぐえど)』という題の何だかわからないのを読んだきりで、TVにたびたび登場していらして、いかにも軽薄(失礼!)な様子をみるにつけ、もう読むことはないだろう作家であったのに。

 ずらずらっと続く文章を興深く読んだ。ほんと最初は読みにくかった。この書き方はなんじゃろ。でも内容が半端じゃない。

 登場する1960年代の作家達の生態がおもしろい。吉行淳之介、三島由紀夫、舟橋聖一、丹羽文雄、丸谷才一、立原正秋、...私の知っている読んでる作家が続々と出てくる。 そして、名のある編集者という職業の人たちとのやりとりが臨場感あふれる。

 「色川武大」という作家が中央公論新人賞を受ける(1961年)パーティーから始まって、本人がTV脚本家から小説家になって直木賞を取り(1968年)、文壇という良くも悪くも切磋琢磨の世界を泳ぎ切る、ひと時代を描いているのである。

 まあ、芥川賞直木賞、最近は権威が落ちたような趨勢だけれど、作家さんの登竜門、めざしてすさまじいものがあるのだろう。この賞によって文壇が誕生したと作家はと言いたいのかも。

 いろいろとおべっかをつかって大御所作家に取り入るような、色めき酒びたり、その姿は何処の世界も変らない。でも、すごい記憶力。ちゃあんと文学史になっているではないの。

 一読者としてはその小説(文学、本)がおもしろくて夢中になって読み切れればそれでいい。賞は関係ないと思うような。

 文章の特徴にも慣れ「樋口一葉」か現代の「町田康」か、ああ「宇野千代」もこういう文章だったと思い出した。野坂昭如、思わぬ発見であった。

 この『文壇』の最後は三島由紀夫、自衛隊での割腹自殺を知り、丸谷才一が『たった一人の反乱』を書いた、で終わっているがそんなこともあんなこともニュースとしては、わたしには臨場感おお有りであったこと。


文壇

 この『文壇』は読み応えがあったので、それではと『火垂るの墓・アメリカひじき』も続けて読んでしまったが高感度。


アメリカひじき改版






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最終更新日  2008年06月15日 20時15分54秒
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