もう何年になるだろう、読みたい、読みたいと思っていた『エデンの東』を読んだ!全四巻。ハヤカワのepi文庫の新訳で、やはり文字が大きいのがありがたい。
簡単にまとめれば、父と子、兄弟、家族との葛藤。母の存在、悪女。青春の光と影。若さゆえのいらいら。善と悪。暴力と叡智。老いの哀しみ。
聖書「創世記」の「カインとアベル」の物語が基調にあり、その物語の文がそのまま出てくる。そしてそのわかりかたがこの長い物語の骨子。個人的には人間は「カインの末裔」であるという意味がわかったのが感動だった。
ケイトすなわちキャシーという毒婦がすごい、だが惹かれてもしまう。この世のわけのわからないとんでもない事件の起こるわけが、少し解ったような気がする。
リーという中国人の召使がいい、賢い。アブラという乙女が大好きになったのもうなずける。ちょっと「日の名残り」を思い出すが訳者も同じとは...。
上記の人物は脇役。物語は、トラスク家とハミルトン家の人々の壮大な人間模様。作家スタインベックの自伝的要素も含まれ、圧巻である。
帯に「この物語であなたは変る」とあり、おおげさなと思えど看板に偽りなし。ひたひたと胸打つ文章に、人間のいとなみの不思議さをあらためて考えさせられる。訳がいいのかもしれない。
久しぶりに読書感想を書きたくなった 2025年03月21日
名作とは…『ジェーン・エア』シャーロット… 2024年08月10日
恋愛心理小説の古典 2023年01月30日
PR
カテゴリ
コメント新着
七詩さんサイド自由欄
フリーページ
カレンダー
キーワードサーチ