しゅんぼーの歳の頃、あすなろ物語の読書感想文書いたっけ。
あすはなろう、あすはなろう、檜に憧れるあすなろ。
だーいじょーぶよぉ、自分は自分じゃーーん! なんて言えない11歳の頃でございました・・・(爆)

山崎豊子さんは、読みたい作家の一人なんですが、
長い・・・というイメージがありなかなか手が出ません。不毛地帯も大地の子も、いつか絶対読んでやるぅぅ、と思ってるんですが。 (2010年02月18日 18時38分02秒)

やっぱり読書  おいのこぶみ

やっぱり読書 おいのこぶみ

2010年02月17日
XML
カテゴリ: 読書メモ

 去年の暮れからお正月にかけて『不毛地帯』5巻(山崎豊子)を読み、ちょうど高度経済成長期のいわば、わたしたちが通ってきた昭和の時代をたどるようで興味深く、山崎豊子さんの代表作だとは思いました。

 おもしろく読みふけった話は置いといて

 その主人公の「壱岐正」は「瀬島龍三」をモデルにしているらしいですが、それはそれで。

 その「壱岐正」や『沈まぬ太陽』の「龍崎一清」の人物像の描写が孤愁の影を宿していて印象深く、妙に気になったのであります。

 山崎豊子さんが若いころ大阪の毎日新聞に入り、『あすなろ物語り』の作家井上靖が上司だったのは有名で、しごかれた(?)話は作家紹介にあります。

 わが町の図書館がちょうど井上靖の作家展をしていたので、見に行きましたら井上靖は詩人でもあったと知りました。

 さっそく井上靖の詩篇をひもといてみましたら、冷たーく研ぎ澄ましたような詩が続いておりました。

 そのひとつに 「裸梢園」 という題の心象風景詩があり、こんな風な内容

氷雨がぱらぱらと過ぎ、梢と梢とは、刃の如く噛み合って、底知れない谷をなして行くところ、破れ傷ついた二月の隊列があてどなく落ちてゆく。

 (これは山崎豊子さんが要約しているもの)なかなかの印象です!そして

「一匹狼のもつ誰にも汚されない厳しく、烈しいそして純粋な野生に満ちた目が生きている。しかし、一匹狼には強靭な実力がいる。群を恃まずにして生きぬいて行ける実力と、いかなる時にも孤独に耐え得る厳しい精神がいる。」

 ははーん、師を敬い想いいれて作品に昇華させているのだなーと思いました。

 その井上靖の詩集 『北国』 「猟銃」 という詩もありまして、

 天城の山の中で出合った霜柱を踏みしだき、猟銃をかついで、孤独に行過ぎた男の後姿に人生の白い河床をのぞき見た、しみいるような重量感をうけ、自分も磨き光れる猟銃を肩にくいこませたい、都会の雑踏の中で、ゆっくりと、静かに、つめたく

 というのです。

 井上靖には 『猟銃』 という作家デビューの作品があります。読みたくなりました。

 やはり、小説はこの詩が冒頭にでてきまして、詩が取り持つ縁、その天城の男が作家に便りをくれるのです。

 孤愁色濃い男には過去のわけがありました。

 でも、はっきり言ってなんじゃらほい、美しい妻がありながら、離婚して一人娘と暮らしている妻の従姉と不倫。騙しだまされて三つ巴。あげくにその従姉は別れた元夫が忘れられない、とラジオ人生相談のよう。

 そんな小説を師、井上靖氏はお書きになったのですねぇ。はぁ~。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2014年01月14日 07時27分27秒
コメント(8) | コメントを書く
[読書メモ] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ

利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


Re:孤愁の影(02/17)  
bonbonus さん
ばあチャルさん

いよいよ佳境の域に達しましたね。

読書人の面目一新というところですか。

ブログを読む楽しみが倍増されました。

楽しみです。

作家の心理を比較検討し客観的に批評する。

いいですね。 (2010年02月17日 20時11分27秒)

Re:孤愁の影(02/17)  
alex99  さん




bonbonusさん
「面目一新」より
「面目躍如」とした方がいいのでは?

(2010年02月17日 23時27分09秒)

Re[1]:孤愁の影(02/17)  
bonbonus さん
alex99さん



>bonbonusさん
>「面目一新」より
>「面目躍如」とした方がいいのでは?
-----
ご教示有難うございます。

その面目躍如の漢字が思い出さなく(イメージは覚えているのですが
笑)ついつい安易な方向に流れました。

書面をもってここにお詫びと訂正を掲載いたします。


ごめんね。ばあチャルさん。 (2010年02月17日 23時46分30秒)

Re:孤愁の影(02/17)  
Rinn さん
「孤愁の影」って、本の題名かと思いました。それだけで十分詩的な言葉ですね。まさに「面目躍如」です。^^
ふとハードボイルドって言葉が浮かびました。
ハードボイルド小説の主人公って、タフでクールで情けに流されないイメージありますが、作品としてはそんな主人公がふと見せる弱さや人間らしさ、絶とうとして切りきれない情味が、一番の味になってると思うのです。非情なといいながら、それだけでは無味乾燥な話になってしまう。
「猟銃」という詩の男は、ハードボイルドそのもの。
その天城の男が小説の中では、人生相談のような過去をもっている、としたところに井上靖氏の優れた人間観察があるのではないでしょうか。
非情なだけで生きられない人間の本質。または、情だけでも生きられないのが「孤愁の男」。

女には過去も未来もなく、その時の生を楽しく哀しく生きるもの。鬼平さんは言いました。
男は「右手にピストル、心に花束、唇に火の酒、背中に人生を」と阿久悠さんは歌詞に書きました。
男の方が捨て去るのがヘタなようで、だから「孤愁」にあこがれるのでしょうかねえ?^^;
(2010年02月18日 01時26分00秒)

Re:孤愁の影(02/17)  
きいぼ  さん

Re[1]:孤愁の影(02/17)  
ばあチャル  さん
bonbonusさん
alexさん

「一新」でも「躍如」でもお褒め頂くと嬉しいものです!
面目をほどこしました(笑)

ひとくちに読書感想といっても、長く続けているとマンネリになりまして、まして素人のブログではどうしょうもなくなります。やめてしまいたいけれども好きなものは読書、これを取ったらわたしじゃない。

カテゴリー「読後つれづれ」はそんな反省からやっているつもり(笑)

だから嬉しかったです。

慢心しないようにして(そんな風にいうほどでもないか!)これから続けていく気力を頂きました♪
(2010年02月19日 12時21分40秒)

Re[1]:孤愁の影(02/17)  
ばあチャル  さん
Rinnさん

>ふとハードボイルドって言葉が浮かびました。
>「猟銃」という詩の男は、ハードボイルドそのもの。

(略)

>その天城の男が小説の中では、人生相談のような過去をもっている、としたところに井上靖氏の優れた人間観察があるのではないでしょうか。
>非情なだけで生きられない人間の本質。または、情だけでも生きられないのが「孤愁の男」。

すごい!「なんじゃ、これは」と思った先にRinnさんのおっしゃるような読みがあるのですねぇ。

『猟銃』にもこの過去をどう取るか、詩の作者つまり書き手に任されています。つまり読者に。

>女には過去も未来もなく、その時の生を楽しく哀しく生きるもの。鬼平さんは言いました。
>男は「右手にピストル、心に花束、唇に火の酒、背中に人生を」と阿久悠さんは歌詞に書きました。
>男の方が捨て去るのがヘタなようで、だから「孤愁」にあこがれるのでしょうかねえ?^^;
-----

ほんとです!わたしも男(男性)は妙にロマンチックなのだなぁ…とはようやくわかりはじめましたね(遅いってば 笑)
(2010年02月19日 12時33分32秒)

Re[1]:孤愁の影(02/17)  
ばあチャル  さん
きいぼさん

>しゅんぼーの歳の頃、あすなろ物語の読書感想文書いたっけ。
>あすはなろう、あすはなろう、檜に憧れるあすなろ。
>だーいじょーぶよぉ、自分は自分じゃーーん! なんて言えない11歳の頃でございました・・・(爆)

おお、いまでも青春の書なのですね。『しろばんば』など伊豆の風景が哀愁を呼びさまします。

山崎豊子さんはいつかは読むといいと思います。うまい作家ですよ。
女性らしからぬ骨太な構成とよくいわれますが、ロマンチックさも男性のようかもしれません(笑)
(2010年02月19日 12時43分05秒)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

プロフィール

ばあチャル

ばあチャル

コメント新着

ばあチャル @ Re[3]:白内障手術(06/11) todo23さんへ メガネの話題でもりあがる…
todo23@ Re[2]:白内障手術(06/11) ばあチャルさんへ 会社にいる頃は遠近両用…
ばあチャル @ Re[1]:白内障手術(06/11) todo23さんへ 「近く」を選択すると読書…
todo23@ Re:白内障手術(06/11) ばあチャルさんは「近く」を選択したので…
ばあチャル @ Re[1]:年賀状じまい(01/07) オーキリさんへ お互い元気で何よりです…

お気に入りブログ

「ダサい中年男性」… New! tckyn3707さん

吉田浩太「スノード… New! シマクマ君さん

小田原へ行ってきま… New! ひよこ7444さん

10/6-2:襟裳砂漠と… 天地 はるなさん

東京タワー 七詩さん

政界のジャンヌダル… alex99さん

フリーページ

耽溺作家の作品群


山本周五郎の世界


清張ワールド


クリスティの手のひら


時代物の神様正太郎


宝石箱


子供の頃の読書


作家別読了記録【あ】行


【あ】 日本文学


【ア】 外国文学


【い】 日本文学


【イ】 外国文学


【う】 日本文学


【ウ】 外国文学


【え】 日本文学


【エ】 外国文学


【お】 日本文学


【オ】 外国文学


作家別読了記録【か】行


【か】 日本文学


【カ】 外国文学


【き】 日本文学


【キ】 外国文学


【く】 日本文学


【ク】 外国文学


【け】 日本文学


【ケ】 外国文学


【こ】 日本文学


【コ】 外国文学


作家別読了記録【さ】行


【さ】 日本文学


【サ】 外国文学


【し】 日本文学


【シ】 外国文学


【す】 日本文学


【ス】 外国文学


【せ】 日本文学


【セ】 外国文学


【そ】 日本文学


【ソ】 外国文学


【た】行


【た】 日本文学


【タ】 外国文学


【ち】 日本文学


【チ】 外国文学


【つ】 日本文学


【ツ】 外国文学


【て】 日本文学


【テ】 外国文学


【と】 日本文学


【ト】 外国文学


【な】行


【な】 日本文学


【に】 日本文学


【ぬ】 日本文学


【の】 日本文学


【ノ】 外国文学


【は】行


【は】 日本文学


【ハ】 外国文学


【ひ】 日本文学


【ヒ】 外国文学


【ふ】 日本文学


【フ】 外国文学


【へ】 外国文学


【ほ】 日本文学


【ホ】 外国文学


【ま】行


【ま】 日本文学


【マ】 外国文学


【み】 日本文学


【ミ】 外国文学


【む】 日本文学


【メ】 外国文学


【も】 日本文学


【モ】 外国文学


【や】行


【や】 日本文学


【ゆ】 日本文学


【ユ】 外国文学


【よ】 日本文学


【ら】行 【わ】行


【ラ】 外国文学


【り】 日本文学


【リ】 外国文学


【ル】【レ】【ロ】 外国文学


【わ】 日本文学


【ワ】 外国文学


【共著】【マンガ・コミック】


「読みたい本・注目の本」記事録


『世界の「今」に迫る10冊』


吉屋信子『私の見た人』の昭和の作家


ウェヴスター『あしながおじさん』に出てくる本


日本の作家(ちくま日本の文学全集収録)


昭和の作家(1962年 朝日新聞記事より)


映画鑑賞会


2024年


2025年


カレンダー

キーワードサーチ

▼キーワード検索

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: