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そば時や月のしなのの善光寺一茶
2011.07.30
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母を奉じて信濃の國の古寺に遠来ましつる命をぞ思ふ 島木赤彦
2011.07.28
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「妻いわく、人には2種類ある。快楽を求める者と、痛みから逃れる者・・・その通りかもしれない。ただ私は確信している。快楽は記憶を消し去るが、痛みは・・・希望を抱かせる」本作は日本において劇場未公開であることや、雰囲気的にも地味めであることなどから、いわゆるB級モノなんだろうと思われる。クレジットでは一応主役のラッセル・クロウも実際は特別出演的で、本来の主役は若い男女の役者さん二人が物語の軸になっている。だがこの作品、なかなかどうしてコアなサスペンス好きを唸らせる、凄いストーリー展開だ。英語のタイトルは“Tenderness”で、敏感とか扱いにくさ、の意である。つまり、多感な思春期のとんがった部分を観念的に表現しているのだろう。少年エリックの特殊なフェティシズム。それはヒスパニック系の女性に異常な興奮を覚え、殺人と暴行に快楽を求めるものだ。 そういう精神異常を母親に悟られてしまった時、エリックの行動はもはや常軌を逸していた。一方、母子家庭に育った少女ローリは、母親の恋人から性的いたずらを受け、その事実を母親にも言えず、孤独に耐えながらも自虐的な日々を送っていた。そんな若い二人の異なる性質がぶつかりあった時、果たしてベクトルはどういう方向へ向かうのか。それが本作のテーマであろう。舞台はニューヨーク市の郊外。テレビでは、両親殺しの少年エリックが釈放された報道で持ちきりだった。というのも、エリックは血液検査の結果、抗うつ剤を服用していたことが分かり、情状酌量となったのだ。一方、母親とその恋人の男と暮らす16歳の少女ローリは、もう何もかもがイヤだった。 自分を変えたい、それが叶わないのならいっそ消えてなくなってしまいたいと思っていた。そんな中、ローリは山中で偶然見かけてしまった殺人現場のエリックの犯行を忘れることができず、こつこつと新聞の切り抜きなどをスクラップしていた。そして、エリックが出所の日を待ちに待っていたのだ。いろいろな見方があると思うが、単なる16歳の少女ローリの自殺願望なんかではない。 誰かに必要とされ、愛されたくて仕方のない少女が、殺人鬼エリックの手により殺害されることで、自分の存在価値を確かめたいのだ。だがエリックはローリなどは鼻にも掛けない。自分の快楽の対象ではないからだ。この辺りから少女ローリの複雑な心理が視聴者を驚かせ、混乱させる。本作は、もしかしたら思春期の若者の扱いにくさをテーマにしたかっただけなのかもしれない。だがそれさえも深く陰鬱で、青春の蹉跌に苦悩する人間の赤裸々な姿に絶句を禁じえないのだ。賛否両論ある作品であろう。2008年(米)公開 ※日本では劇場未公開【監督】ジョン・ボルソン【出演】ラッセル・クロウ、ジョン・フォスター、ソフィー・トラウブまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2011.07.25
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「申し訳ありませんでした」「謝ることなんて何もないぞ。君たちは十分ベストを尽くした。・・・次は私の番だ」 本作で思わず目を見張ったのは、“公安”の存在だ。ずい分前に、法曹界に片足を突っ込んだ友人から、公安の凄さは訊いていた。公安は、日本国家を守るための機関なので、警察組織からも独立し、その素顔をさらすことはない。国家に対し、不穏な動きがあれば、たとえそれが内閣総理大臣と言えども監視のターゲットと成り得る。電話は常に盗聴して分析し、暗号などを使った特殊な会話を24時間態勢で解析するのだ。さらに、作中にもあったように、公安は世間の日常に溶け込んで生活している。傍目に見れば、どこにでもある家族風景なのだが、実は何気なく町内に潜む要注意人物を監視するために、何年もかけて居住するのだ。それはもう見事な家族ごっこであり、連携プレーなのだ。そんな公安の潜入捜査がクローズ・アップされたのは、何と言ってもオウム真理教の一件であろう。だが、日本のCIAとも言える公安は、あまりドラマとしては成立しにくい。とにかく全貌が明らかにされていないので、ほとんど想像の世界だからであろう。それに比べると、SPの世界はドラマになり易い。命をかけて要人を警護するという行為は、何やらアクション映画の王道たるニオイがプンプンする。井上は警護課第4係のメンバーとともに、六本木ヒルズで行なわれている地雷撲滅キャンペーンの警護に当たっていた。そんな中、晴れているのにこうもり傘を持つ不審なスーツ姿の男を発見。すぐさま井上は、その男の追跡に乗り出す。一足先に仲間の笹本が男に声をかけたところ、一目散で逃走。井上は必死で追跡する。一方、第4係の係長である尾形は、公安から目をつけられていた。というのも、テロリストの背景に尾形が一枚かんでいることを掴んでいたからだ。尾形はSPでありながら、何やら不穏な動きを見せていたのだ。「SP」は、フジテレビ系列で放送されていたTVドラマの劇場版である。映画では、野望篇と革命篇の2部作があり、今回、吟遊映人は野望篇の方を鑑賞してみた。主人公井上の役を、V6のメンバーである岡田准一が熱演している。ルックス良し、演技良しで、まずまずの好評。他にも堤真一や香川照之らが脇を固めることで、単なるアクション・ドラマではなく、印象的で迫力のある演技を披露してくれている。ラストはやや消化不良に陥りぎみだが、おそらく革命篇への動員を促すための効果であろう。全体を通して、まずまずの作品であった。2010年公開【監督】波多野貴文【出演】岡田准一、堤真一、香川照之また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2011.07.21
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「古代!」「はい」「俺はあれを破壊することに決めた。援護してくれ」「無理です。とても向こうまで渡りきれません」「俺たちが向こうに渡ったのを確認したら、雪と一緒にヤマトに帰れ」「何を言い出すんですか?!」まず説明しておくことがある。昨今、ちまたでブームとなっている「機動戦士ガンダム」も「新世紀エヴァンゲリオン」も、「宇宙戦艦ヤマト」というSFマンガがアニメブームの先駆けとなっているのだ。「宇宙戦艦ヤマト」を生み出したのは、漫画家の松本零士で、代表作は他にも「銀河鉄道999」や「キャプテン・ハーロック」「千年女王」などがある。吟遊映人は正に、松本零士のオタクで、何回もマンガを読み直すうちにセリフも覚えてしまい、第〇巻のおおよそ△△ページにこんなセリフがあるとか、あんなシーンが出て来るとか、そういう次元のオタクだった。だが社会人になって、そういう憑き物がとれて、今は大半の内容を忘れてしまった。アニメの実写化というのは多大なリスクが生じ、下手をするとがっかり感ではすまされず、絶望的になってしまうことも少なくはない。ところが本作「ヤマト」はやってくれました! すごいですよ!音楽も故・宮川泰の作曲した“さらば~地球よ~♪”の、あの壮大なテーマ曲が使用されているし、登場人物にもほぼ変更はなく、なによりヤマトの内部が忠実に再現されていて本当に嬉しい!日本の誇るメイド・イン・ジャパンのSFアニメが母体となっているだけに、その内容は深く、日本人にとって一番要となる「御国(おくに)のために命を捧げる」崇高な精神性を垣間見ることが出来るのだ。西暦2199年、地球は放射能汚染により地上の生物は絶滅の危機に瀕していた。人類は地下都市を建設し、どうにかその日暮しを送っていたが、謎の異星人ガミラスによる遊星爆弾の攻撃を受け、もはや風前の灯となっていた。そんな中、マゼラン星雲のイスカンダルからメッセージカプセルが不時着する。そこには、波動エンジンの設計図とイスカンダルの正確な座標がインプットされているのだった。その後、イスカンダルには放射能除去装置を持ち合わせているとの情報も確認され、地球防衛軍はヤマトに乗って旅立つことになった。吟遊映人が注目していただきたいシーンは、とくに2点。一つは、空間騎兵隊隊長の斉藤がガミラスの攻撃を矢のように浴びる中、仁王立ちとなって絶命するシーンである。まるで「一歩たりとも近付くな、行きたければオレの屍を越えてゆけ」と言わんばかりの壮絶さだ。さらにもう一つ、技術班技師長の真田が、ガミラスの中枢部を破壊するため爆弾を仕掛けるシーンである。それもこれも仁王立ちとなって死守した斉藤のおかげなのだが、真田も爆弾のスイッチを押し、自爆する。無論、ガミラスの中枢は破壊される。このシーンは、正に神風特攻隊の再来を思わせる感動の場面だ。さて余談になるが、吟遊映人が幼いころ、「宇宙戦艦ヤマト」のテレビアニメにかじりついて観ていたが、主人公・古代進の声を担当していたのは故・富山敬であった。その富山敬が亡くなった時、記憶に間違いがなければ、スポーツ新聞か何かに「さらば、古代進」という大見出しのもと、富山敬の訃報が報じられた。それほど「宇宙戦艦ヤマト」というのは、若者に影響力を及ぼしたSFアニメだったのである。そんなすばらしい作品がこうして見事に実写化され、SF映画の可能性を感じることができ、この上もない喜びである。ぜひとも多くの皆さんに、ご覧になっていただきたい作品だ。2010年公開【監督】山崎貴【出演】木村拓哉、黒木メイサ、山崎努また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2011.07.17
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「恥じゃ・・・恥じゃ・・・!」「お家を潰して役職を解かれ、ご簡略となる方が恥。決意のほどを内外に示すのです」 「噂が立てば、表も歩けぬ」「人の噂も七十五日・・・あ、それからもう一つ」「まだあるのか?」「我が家はこれから細かく家計簿をつけることにいたします」武士というものは、刀を振り回してナンボの身分である、というのは間違いである。民間の会社組織にしろ、公的な官公庁にしろ、それぞれに担当するものがあり、細分化されている。中でも専門職に就く者はプロフェッショナルであり、他の追随を許さない。特に組織の要となるのは経理部門であろう。その企業が繁栄するも、奈落の底に突き落とされるも、この部署へいかに逸材を配置するかで大きく左右する。本作「武士の家計簿」は、加賀藩に代々仕える、御算用者(経理係)を務めて来た藩士の物語である。帳簿とにらめっこし、算盤をパチパチとはじく姿は決して華やかなものではない。むしろ、武士道からは対極したところにあるようにも思える。だがこの作品を観ると、なんとも崇高で汚れのない精神性を垣間見ることが出来るのだ。 天保13年。加賀藩御算用者、猪山家8代目当主直之は、あまりにも膨大になってしまった借財をどうするかで苦悩していた。しかし、代々御算用者を務めて来た猪山家にとって、帳簿の整理は朝飯前。まずは借金返済のために、一切の家財道具から衣類までを売り払うことに決めた。そうすることで、借金の約4割を減らすことに成功するのだ。一方、時代は幕末から明治維新にかけての動乱期。直之の嫡男、成之も優れた事務処理能力を発揮し、新政府方の大村益次郎のもとで、算盤をはじくことになった。この物語がおもしろいのは、時代性を感じさせる算盤や、質素倹約といった武家気質、現代にも通じる交際費や娯楽にかける金銭の出入が、事細かに触れられていることだ。実際、この作品の出所となった入払帳の古書は、現代になってから神田神保町の古書店で発見されたというのだから、江戸時代末期のほぼ正確な物価であろう。余談になるが、作中に登場する大村益次郎は、明治維新の十傑の一人にあげられる長州藩出身の人物だ。司馬遼太郎の著書である「花神」に詳しいので、興味のある方はぜひ一読をおすすめする。本作は終始一貫して、そのタイトルどおり、幕末の武士の懐具合が分かる作品であった。 2010年公開【監督】森田芳光【出演】堺雅人、仲間由紀恵また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2011.07.13
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向日葵を剪るみほとけの花ならず三橋鷹女
2011.07.12
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よそめには盛んなること太陽をしのぐと知らぬ向日葵の花与謝野晶子
2011.07.11
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「本気でブラウン氏が犯人だと思ってるのですか?」「病院に連絡したら、(彼は)抜け出したそうよ」「もう我々は担当外です」「彼は団地に戻るはずよ・・・ノエルを殺すために」「だから何だと? ノエルは生きてる価値もないヤツです。殺されたほうが好都合だ!」 イギリス映画は、正直なところ陰気なモノが多い。それだけにテーマはハッキリしているし、格調高いことは言うまでもないのだが、観終わった後の重い気分はいかんともしがたい。本作の冒頭部など、しょっぱなからショッキングなシーンで始まる。なんと、クスリでラリっている不良少年らがバイクに二人乗りして、ベビーカーを押す若い女性とすれ違ったところ、いたずら半分に銃を乱射するのだ。その際、誤って女性に当たってしまい、少年らはヤバイとばかりに逃走。ところがあわをくって大通りに出たところを逆に車に追突されてしまうのだ。ここは正にドキュメンタリータッチのカメラワークで、ちょっと気分が滅入る。これまでイギリスの治安状況について考えることはなかったが、この作品を観ると、いよいよ深刻な状況であることが想定される。ドラッグ中毒から引き起こされる犯罪は、今も昔も変わらないようだ。(60年代の米・英を席捲したサイケデリックは、社会問題にもなった)元英国海兵隊のハリー・ブラウンは、すでに退役し、公営団地で細々と余生を過ごしていた。入院中の妻は、すでにハリーのことを認識できておらず、明日をもしれない容態だった。 公営団地の治安は最悪で、不良少年らのたまり場となっていた。地下道では公然とクスリの売買が行なわれ、暴行や恐喝などの犯罪の巣窟と化していた。 ある晩、病院から緊急の電話が入り、ハリーは雨の中、駆けつけるが、例によって地下道は危険なため迂回して病院まで出向く。だがそのせいで、妻の死に目に間に合わなかったのだ。主人公ハリー・ブラウンは元英国海兵隊に所属し、北アイルランド紛争では修羅場をくぐって来た人物、という設定。この役に扮したのは、英国人俳優であるマイケル・ケインである。堂々とした風格で、存在感たっぷりだ。吟遊映人が個人的にカッコイイと感じたのは、不良グループの一人を捕まえて、ハリーの親友レンを殺害した主犯格を吐かせるシーンだ。これまで口にしたことのなかった海兵隊時代のことを話すのだが、戦友が目の前で死んでいく姿を淡々と語るのだ。この脅しは効果覿面で、男は縮み上がってしまう。本来の意図は全く違うところにあるかもしれないが、マイケル・ケインの他を寄せ付けない演技の魅力に、どっぷりと浸かるのも一興であろう。2009年(英)公開 ※日本では劇場未公開【監督】ダニエル・バーバー【出演】マイケル・ケイン、エミリー・モーティマーまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2011.07.09
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あかあかと 杏熟れたり 梅雨曇り内藤吐天
2011.07.08
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あんずの香の 庭深いふるさと室生犀星
2011.07.06
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「大石内蔵助様の血をひく可音様、茶屋家として触りはござりませぬか」「大石内蔵助様は武家の鑑、そのご息女に何の触りがあるものか」「ありがたき幸せ・・・では、大石可音様のお言葉をお伝え致しまする。“可音は茶屋修一郎様に嫁ぎたい”と」個人的なことで恐縮だが、先日、吟遊映人には縁のある人物が急逝した。生前の口癖は、「自分が死んだら、高野山に埋めてくれ」であった。おそらく故人の遺言は、四十九日が過ぎたところで実現されるに違いない。奇しくも、赤穂藩大石内蔵助以下四十七士も、高野山の奥ノ院に眠っている。本作「最後の忠臣蔵」は、これまで映画化、舞台化されたような、赤穂四十七士による吉良邸への討ち入りを扱ったものとは一線を画す。どちらかと言えば、もっとドラマチックでやや感傷的なものだ。本作の主人公である瀬尾孫左衛門と、大石内蔵助の忘れ形見である可音との関係は、いわば「羊たちの沈黙」におけるFBI訓練生クラリスと、ハンニバル・レクターとの関係にも似ている。それは、父と娘の関係のようでありながら、純愛を秘めたほのかなラブ・ロマンスなのだ。寺坂吉右衛門は大石内蔵助の命をもって、赤穂浪士の遺族を捜して全国を渡り歩いていた。ある時、吉右衛門は、討ち入りの前夜突如として逐電した瀬尾孫左衛門を京の町で見かける。命を惜しんで逃げ出した卑怯者瀬尾孫左衛門と罵られ、世間から武士の風上にも置けぬと揶揄された者であったが、実は大石内蔵助の忘れ形見である可音を、男手一つで育て上げていたのだ。しかしその可音も十六歳となり、天下の豪商に嫁ぐことになった。物語は、人形浄瑠璃の曽根崎心中と同時進行のようにして展開していくが、おそらく、道ならぬ恋の行く末を孫左衛門と可音にオーバーラップし、その効果をねらったものであろう。メガホンを取ったのは「北の国から」シリーズの演出家として著名な、杉田成道監督だ。 道ならぬ恋とか、ほのかな純愛を扱った演出は、この監督の十八番と言っても差し支えない。セリフを極力少なくし、充分な間を空け、目で訴える訴求力はなかなかのものである。 本作は、時代劇の形を取ってはいるが、現代では失われた純愛をテーマにした作品かと思われる。サムライとしての生き様、生き恥をさらさぬ気高さのようなものは、ほんのりと味わうぐらいが適当かもしれない。涙なくしては観られない、時代劇ドラマであった。2010年公開【監督】杉田成道【出演】役所広司、佐藤浩市また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2011.07.05
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見上げたる 目でかぞへ行く 杏の実 武原はん女
2011.07.04
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めづらしく 妻をいとしく 子をいとしくおもはるる日の 昼顔の花若山牧水
2011.07.03
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あはれとも あぢきなしとも 恋しとも云ひたげなりや ひるがほの花与謝野晶子
2011.07.02
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「あなたは彼女にタイーシャを演じさせたのね。そしてやらせ番組で賞を取った」「エラ・・・」「脅されてたんでしょ? バッファローから(彼女が)追って来て、ウソを暴くと脅され、口を封じるために始末した」「僕を愛してるだろ?」「何もかもウソだったのね・・・」どう言ったら良いだろう。本作に関して率直に言わせていただくと、B級モノに片足を入れたような・・・そういうスリラー作品である。なぜそんな言い回しをしたかと言うと、ラストのヒロインの一言、これはマズイ。品性も何もあったものではない。社会派サスペンスと謳っている宣伝文句も、説得力に欠けてしまった。さらに、主人公C.J.ニコラス(報道リポーター)とエラ(検事補佐官)との関係だが、深い関係になり、お互いをかけがえのない存在であると思えるほどに持って行くまでのプロセスが弱い。ここを丁寧な脚本に仕上げないと、エラが上司の目を盗み、命を狙われてまでC.J.ニコラスに尽くすシーンの辻褄が合わなくなってしまうのだ。しかし、そうは言ってもこういうどんでん返し的ストーリー展開を好む方々はたくさんいるだろう。スリラー作品としては、鑑賞に充分耐えられるかと思われる。報道リポーターとして第一線で活躍することを夢見るものの、C.J.ニコラスの思うようにはならず、苦悩していた。そんな中、地元の敏腕検事であり、次期知事選に出馬するとの噂の高いマーク・ハンターに目を付ける。ハンターは不思議にも、判決を勝ち取る最後の切り札として、証拠品をギリギリになってDNA鑑定に持ち込むという手法だった。C.J.ニコラスは、そこに何か漠然とした不自然さを感じた。そしてそれは的中し、捏造であったことが明らかになる。それもこれもC.J.ニコラスは、ハンターの下で検事補佐官として働くエラと懇意になり、事件現場の記録テープを入手することに成功したのだ。本作では、さすがに第一級の演技を見せてくれるマイケル・ダグラスに感謝しなくてはならないだろう。80年代では「危険な情事」そして「ウォール街」でその名を不動のものにし、90年代では「氷の微笑」で女性に翻弄される役がすっかり板についた。悪役なのに堂々としていてカッコイイ。観る人を引きつけ、キレのある演技で存在感のあるマイケル・ダグラスは、本作において唯一の救世主的存在かもしれない。ストーリー展開の上で、賛否両論の分かれるスリラー作品であろう。2009年(米)公開 ※日本では劇場未公開【監督】ピーター・ハイアムズ【出演】ジェシー・メトカーフ、アンバー・タンブリン、マイケル・ダグラスまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2011.07.01
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