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2008.07.13
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カテゴリ: 映画/時代劇

「は?」
「・・・いや、勝ったのはあの百姓達だ。わし達ではない。」

黒澤作品の晩年の作品、たとえば「影武者」や「乱」などは、全体を通して重くズシリと感じさせる内容に仕上げられている。
しかもラストは必ず視聴者に向け、何か問題を提示する余韻を残してエンディングタイトルが流れるのだ。
だが「七人の侍」を久しぶりに観たところ、どうやらその傾向は黒澤作品の晩年に限ったものではないことがわかった。
黒澤監督は、いつも何かを訴えようとしていた。
それが一体何であるかを想像しながら作品を鑑賞すると、さらに黒澤映画の奥の深さに驚かされるのだ。
「七人の侍」ではおそらく、したたかに生きる者の勝ちなのだ、と言わんとしているのだろう。

無敵を誇った武田騎馬軍団も、織田勢の用意した種子島(火縄銃)の前に惨敗したのだから。
「七人の侍」は、武家社会の終焉とも読み取れる作品であった。

盗人が子どもを人質に納屋に立てこもる中、剃髪し、にわかに僧侶に化けた武士が見事子どもを救出した。
その侍こそ勘兵衛である。
そのようすを一部始終見聞きしていた利吉たちは、急いで勘兵衛の後を追い、野武士退治を依頼する。
だが、勘兵衛は無理な頼みごとだと一蹴する。
まず、侍の人数が少なく見積もっても7人は必要だと言う。
結局、百姓たちの窮状に胸を痛めた勘兵衛は、利吉たちの懇願を受け入れ、野武士退治に立ち上がるのだった。

宮本武蔵や柳生十兵衛をモデルにしたと言われている久蔵というキャラクターは大好きだ。
背後から銃弾を受けた際、それでもなお果敢にもう一太刀ふりかかろうとする様は、武士の魂を見た気がした。
また、絶命するにしても前のめりで倒れる姿に、思わず目頭が熱くなった。

この撮影技法を見事に生かした編集により、ラストの決戦シーンは歴史に残る大掛かりなアクションシーンとなったのだ。
それは正に、ハリウッド映画を凌駕した一場の嵐だった。

1954年(日)、1956年(米)公開
【監督】黒澤明
【出演】志村喬、三船敏郎


See you next time !(^^)





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最終更新日  2008.07.13 06:54:56
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