吟遊映人 【創作室 Y】

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2008.12.05
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「神にはできぬこと? そんなことあり得ないよ。だって人はあたいらの一番偉い神が作ったのよ。神の思し召しでどうにでもなる虫けらと変わりないもんなのよ。」
(中  略)
「志のために死ぬことだ。」

今さら浅田作品について語るのも口幅ったい。
“平成の泣かせ屋”浅田次郎は、読者の望むストーリー展開を裏切ることなく披露してくれる。
心に残る言葉のプレゼンテーションは、ある種のセンスを必要とする。
表現力の豊かさは、この作家の最大の強みであろう。
お見事! 職業作家、浅田次郎バンザイ!

小説に最も重要な人生観が凝縮されている。
作者の抱いている哲学を、この作品からあますことなく吸収して欲しい。
しかし今回鑑賞したのは「憑神」である。
この作品もなかなかどうしてファンタジー的でありながら、訴える力が強い。
コメディ色に彩られていながら、ホロリとさせる場面も忘れていない。
おそるべし、浅田作品。

時は幕末、幼いころより文武に優れ頭脳明晰な別所彦四郎であったが、婿養子に行った先で離縁され、出戻りの身となる。
兄夫婦の家に居候という肩身の狭い立場でくすぶっていた。
そんな彦四郎を憐れんだそば屋の店主から聞くところによると、向島にある「三囲り稲荷」にお参りすることでご利益があるという。
酒に酔った彦四郎は帰り道で偶然にも「三巡り稲荷」を発見。
さっそく手を合わせてご利益にすがろうとしたところ、それは「みめぐり」違いで、貧乏神・疫病神・死神を呼び寄せるお稲荷様だった。


全体を通して、生きる意義を見出す下級武士の心の変化を表現したものであろう。
神仏に依存する人間の弱さは否定せず、それを受け入れたところに存在する精神の落ち着き、輪廻転生の理。
この作品を受け留める観客に任せられたファンタジックな世界観を、大切に育てて欲しい。

2007年公開
【監督】降旗康男


また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2008.12.05 05:39:22
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