吟遊映人 【創作室 Y】

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2010.06.01
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「・・・うん」
「そんな感じだった」

児童文学や幼児向け絵本を読まなくなって久しい。
だが、「かいじゅうたちのいるところ」は余りにも有名で、忘れようと思ったところで忘れられるものではない。
原作はモーリス・センダックで、緻密で古典的な画風を得意とする絵本作家である。
1964年に「かいじゅうたちのいるところ」でコールデコット賞を受賞した。
いわば、児童文学界の芥川賞みたいなものであろうか。
センダックの作品はどれも素晴らしく、心に残るものが圧倒的であるが、吟遊映人のおすすめはグリム童話でも有名なグリムの原作「ミリー~天使にであった女の子のお話~」に挿絵をつけたセンダックである。

そんなセンダックの「かいじゅうたちのいるところ」が、受賞から何年も経て、それも実写化されるなんて、正に夢のような奇跡である。
それもこれもCG技術の発達など、作品をより生き生きとファンタジックに仕上げるための充電期間であったのかもしれない。

8歳の少年マックスは、いたずら好きの暴れん坊。
姉のクレアやママにも、もっともっとかまってもらいたい年頃ではあるが、ママは仕事、姉は同級生たちとの付き合いで、マックスは寂しさを募らせる。
そんなある晩、マックスはママと大ゲンカして家を飛び出してしまう。
そして、磯部につながれた小舟に乗って旅に出る。
たどりついたのは、マックスがこれまでに見たことのないかいじゅうたちの棲むところであった。20100601b

本作は、原作から大きく逸脱することなく、実にストーリー性を重視している。
マックスの家庭環境や母親と大ゲンカして家を飛び出してしまう伏線が、8歳の少年の寂しさと幼さを上手く核心へと導いている。
マックスが孤独から逃れようとするかの如く、かいじゅうたちと愉快なダンスを始めるシーンは、どこか切なささえ感じさせる。
また、仲良しのキャロルにつれられて砂丘をてくてくと歩いて行くシーンは、実に幻想的だった。20100601c

さらに、砂丘からコロコロと砂だらけになって転がり落ちる場面も、原作にはないが、胸に染み渡るようなあどけなさと楽しさをかもし出していた。
「かいじゅうたちのいるところ」は、我々大人が忘れかけた無垢な気持ちと、自然の中に存在する生きとし生けるものの平等な在り方を問うている、崇高な作品であった。

2009年(米)、2010年(日)公開
【監督】スパイク・ジョーンズ
【出演】マックス・レコーズ


また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2010.06.01 06:56:25
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