吟遊映人 【創作室 Y】

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2010.07.18
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カテゴリ: 映画/時代劇

「美しい貝だ」
「こっちが月で、そっちがお日さん・・・あげる」
「なぜ?」
「お日さんの方、大事にしてんな」

この作品を観た時、激しいまでの作者のイデオロギーを感じたのは、吟遊映人だけだろうか?
本作の著者は白土三平氏で、そのマンガを実写化したものが「カムイ外伝」なのだ。
白土氏の父親というのはプロレタリア画家で、その影響もあるのか、被差別部落制度への疑問を投げ掛けているようだ。
基本的な人権もなく、人が人らしく生きることを否定された非人が、一体どんな思いを抱えて生きて来たのか。

自由、あるいは夢、そして希望を渇望する人々の魂の嘆きを聴いた時、人は尋常ではいられない。
それは、職人によって絵画となり、あるいは文学となって社会に訴えられて来た。
人はそれを芸術と呼ぶが、当事者にとっては神への糾弾であったのかもしれない。
我々は先人の魂の叫びを心して聞き遂げねばならない。
目を背けてはならないのだ。

江戸時代には様々な階級があり、中でも非人という部落出身者はとりわけ貧しい生活を強いられた。
非人出身のカムイは、貧しさ故に伊賀の忍びになるが、忍びの掟に馴染めず、抜け忍となる。
だが抜け忍となったカムイを追い忍達がどこまでも追って来て命を狙う。
そんな中、領主・水谷軍兵衛の愛馬“一白”の片足を切り落とした半兵衛という漁師に出会う。20100718b

本作のメガホンを取ったのは崔洋一監督であるが、この人物も元々朝鮮国籍で、平成に入ってから韓国籍を取得している。
在日という立場から様々な色眼鏡で見られて来たであろうことが想像出来る。

カムイの被ったような様々な艱難辛苦を、上辺だけでなくメンタルな部分からも表現するには、やはり崔監督でなければ不可能であったに違いない。
難しいとされた実写化を、よくぞここまで見事な作品に完成させてくれた崔監督と出演者の方々に、盛大なる拍手を贈りたい。

2009年公開
【監督】崔洋一
【出演】松山ケンイチ、小雪、小林薫


See you next time !(^^)





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最終更新日  2010.07.18 14:53:40
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