吟遊映人 【創作室 Y】

吟遊映人 【創作室 Y】

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

吟遊映人

吟遊映人

カレンダー

2011.08.28
XML
カテゴリ: 映画/バイオレンス

「(お願い)遅れないで!」

20110828e
回想で始まる映画というのは、どうしてこうも悲哀に終わるのだろうか。
この回想型の映画で有名なのは、「タイタニック」である。
冒頭で年老いたヒロインが登場することで、何やら豪華客船の夢の跡を連想させるのだから、この回想型スタイルの効果はスゴイ。
本作「カリートの道」も、いわゆるこのタイプ、回想で始まるのだ。
もう初っ端から主人公のラストが“死”であるという悲劇的な告知をされるのだから、ストーリーが展開しているうちでも、ずっと頭の片隅で死の影を感じ続けている。
そして、予想どおりの結末になったところでも、ある種の絶望的な悲哀観に襲われ、胸が締め付けられそうになる。
だが、こういうインパクトで視聴者の悲しみを誘おうとするテクニックだとすれば、それは正に、デ・パルマ監督の作戦勝ちであろう。
20110828b

カリート・ブリガンテは、グランド・セントラル駅でマイアミ行きの列車に乗ろうとしたところ、腹に数発、撃たれてしまう。
本当は、愛するゲイルとお腹の子とバハマでレンタカー会社を経営しながら余生を送ろうと思っていたのだ。
だが、元麻薬王であり、何人ものチンピラを始末して来たカリートが、簡単に堅気になれるはずもなかった。
死の直前、彼の脳裏には走馬灯のように、これまでの記憶がよみがえる。
彼は、駅の壁に飾られた“パラダイス”の看板を見ながら、一生を終えるのだった。

デ・パルマ監督の描く主人公のタイプとして多いのは、女・子供にはめっぽう弱い男だ。

だがその反面、喧嘩はめちゃくちゃ強く、裏切りには容赦なく、人を人とも思わないほどに打ちのめす、バリバリのワルな男でもある。
このギャップに魅了される視聴者も多いのではなかろうか。
特に、アル・パチーノは、デ・パルマ監督の描きたい主人公に持って来いの適役であろう。
「カリートの道」では、カリート・ブリガンテという役柄がアル・パチーノに限りなく追いついたような、あるいはその逆なのか、とにかくひと際異彩を放つ演技であった。
他にも、堕落した弁護士役にショーン・ペンが出演しているが、このキャスティングもすばらしい。20110828c

英国のミュージシャン、ジョー・コッカーが魂の歌声を奏でてくれる。
最初から最後まで、非の打ちどころのない作品であった。20110828d

1993年(米)、1994年(日)公開
【監督】ブライアン・デ・パルマ
【出演】アル・パチーノ、ショーン・ペン


See you next time !(^^)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2011.08.28 10:56:53
コメントを書く
[映画/バイオレンス] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: