吟遊映人 【創作室 Y】

吟遊映人 【創作室 Y】

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

吟遊映人

吟遊映人

カレンダー

2012.03.02
XML
カテゴリ: 映画/時代劇
20120302b


「きえ、俺といっしょに行ってはくれねぇか? お前と一緒だば、どげだつらいことでも我慢できる。俺がここさ来たなはの、それを言うためなんだ。どうだ、俺と夫婦になってくれねか。」
「私そげだこと急に聞かれても・・・。」
「何も難しいことはね。俺がお前を好きでお前が俺を好きだばそれでいいなや。・・・俺はお前を好きだ。」

うならされた。
さすがである。
監督はやはり山田洋次であったか。
無駄なセリフ、無駄なカット、無駄なBGMがなく、見事な完成度である。
ややもすれば陰鬱になりがちな藤沢作品を、ものの見事に山田ワールドに演出し、ほのぼのとしたラストに導いていくものであった。
また、それぞれの演技と個性を計算し尽したのか、キャスティングもすばらしかった。


主役を演じた永瀬正敏の朴とつとしたイヤミのない演技は、視聴者を心地良く惹き付ける魅力が感じられた。
実に好演であった。

東北の海坂藩、下級武士の片桐宗蔵は、16歳より女中として働いていたきえが伊勢屋に嫁いだ後、息災にしているか否か気になっていたところ、偶然にも町の小間物屋で再会する。
「幸せにしているか?」と問いかけたものの、きえはやつれ果てて顔色も悪く、寂しげな様子に思わず胸を痛める。
その後、宗蔵は妹からきえの嫁ぎ先での酷い近況を聞き、やつれ果てたきえを伊勢屋から背負い、連れて帰ることにする。
一方、江戸では一大事が起きていた。
なんと、宗蔵と竹馬の友であった狭間弥市郎が謀反を起こし、切腹も許されず江戸から郷入りし、山奥の牢に入れられることになったのだ。

やはり映画は、映像と演出とそしてストーリーの三位一体であろう。
この三つがバランスよく成立した時、初めて映画は最も完成度の高いものに仕上がるのではなかろうか。
突出した演技力は場合によってはイヤミに感じるし、大げさな挿入曲は作品を打ち消すことにもなりかねない。
さらに、むやみやたらな風景映像は退屈さを増長する。

吟遊映人としては、これまで映画化された藤沢作品中、一席をつけたいと思う。
実にすばらしい映画であった。

2004年公開
【監督】山田洋次
【原作】藤沢周平


また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2012.03.02 08:30:44
コメントを書く
[映画/時代劇] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: