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2013.10.20
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カテゴリ: 映画/犯罪
【ラスト・ターゲット】
20120325

「私はここで瞑想に耽るのです。私によくしてくださる神に心から感謝したり、罪深い友人たちをお救いくださいと頼んだり・・・」
「人は皆罪深い」
「より罪深い人々もいます。平安を求める者は、過去に多くの罪を犯しているのです」


犯罪モノと言うともっと血生臭くて、ストーリーよりはむしろアクションに重点を置いたものが多い。
だがこの作品は、イタリアのローマを舞台に、映像の美しさとは対極の殺人シーンや、神父と暗殺者、賑やかな聖体行列と主人公の孤独が見事に対比されている。
監督のアントン・コービンのプロフィールを調べたところ、もともと写真家で、スチール写真とビデオを組み合わせたミュージック・ビデオなども数多く手掛けているようだ。
それが影響してかどうかは想像だが、確かにワンカットワンカットが誌的で美しい。
冒頭から主人公のジャックが、彼女と一緒のところを狙撃され、見事、敵に撃ち返して事なきを得るのだが、その時、自分の傍らにいる彼女まで撃ち殺してしまうシーンがある。
つい今しがたまでベッドを共にしていたと思われる彼女に発砲するとは、なんて冷酷非情な男なのだろうと思ってしまう。
だがジャックは、これまでずっと暗殺を生業にして来た孤独な男で、誰に対しても疑心暗鬼になっているのだろう。
この辺りの心理描写、あるいは状況描写が難しいところかもしれない。

スウェーデンで女と一緒のところを狙われた、殺し屋のジャックは、ひとまず身を隠すためにイタリアのローマへ行く。

その後、ジャックは指示とは異なる町で、アメリカの写真家として小さなアパートを借りる。
そこで再び組織から仕事の依頼を受ける。
それは、減音器付きの狙撃ライフルの製作だった。
ジャックは町のカフェで組織の女と会い、詳細を訊くと、さっそくライフルの製作に取り掛かった。

この作品が魅力的なのは、最初から最後まで無駄なシーンがないところだ。
主人公ジャックが、孤独を癒すためか、度々出向く風俗店でのカットさえ、隠微で悲哀を誘う。
お気に入りの娼婦(クララ)がいない時など、さっさと風俗店を出てしまう一途な男の一面も見逃せない。
殺し屋として生きて来たジャックが、冒頭で連れの女に疑いを向けて殺害してしまうシーンで、ジャックの内面の戸惑いや嫌悪感をもっと効果的に表現できたら、さらに完成度は高くなったかもしれない。
いずれにしても、見事な犯罪サスペンスに仕上げられている。

2010年(米)、2011年(日)公開
【監督】アントン・コービン


20130124aisatsu





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最終更新日  2013.10.20 05:58:33
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