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2013.12.22
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【マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋】
20120329

「シェイクスピアのリア王の死の場面(を知ってるかい)。たった一言“彼は死んだ”と。たったそれだけ。何のドラマも何の美辞麗句もない。歴史に名をとどめる珠玉の名作のクライマックスが・・・“彼は死んだ”。天才シェイクスピアが記した言葉は“彼は死んだ”・・・だがそれを読むたびに私は悲しみに胸をつかれる。“彼が死んだ”という言葉のせいじゃない。彼の人生が思い浮かぶからだ。」

心がほんわかあったかくなるファンタジードラマ。
そういうストーリーは、子ども向け大人向けという枠に囚われず、映画を愛する全ての人たちがハート・ウォーミングな気持ちになれば良い。
愉快なおもちゃの世界に浸るのも良いし、役者のセリフに胸を打たれるのも良い、心地良いBGMに耳を傾けながら穏やかな時を過ごすのも良い。
どんな楽しみ方をしてもこの作品からは非難の声など聞えない。
万人が満面の笑みで「ああ、おもしろかった!」と賛辞を唱える映画なのだ。

街の一角に建つ創業113年のおもちゃ屋は、243歳のオーナーマゴリアムおじさんと、23歳の天才ピアニストのモリー、そしてお手伝いの少年エリックで切り盛りしていた。
だがマゴリアムおじさんは突然引退を宣言。
モリーに跡を継いで欲しいと頼む。
さらにこれまで一度として店の資産価値など割り出したことがなかったが、売り上げも含めて計算するよう会計士のヘンリーに依頼した。

どうやらマゴリアムおじさんの引退に対し、命を吹き込まれたおもちゃたちがすねて、言うことを訊かなくなってしまったのだ。

ダスティン・ホフマンが死について語る場面がある。
それはシェイクスピアの「リア王」の一節だ。
“彼は死んだ”・・・こんなにストレートで単純な表現が、どうしてこれほどまでに後世に影響を与えるのか。
“死”というものがいかに悲しい事象であっても、消えてなくなること以外のなにものでもないことを端的に表現している。
魔法がこの世にあることを信じて疑わない無垢の子どもも、やがて大人への扉を開ける。

青春前期、少年少女期との決別。
漠然とした喪失感に襲われる。
年を経て、やがて老いを迎え、再び若かりし頃を思いめぐらす。
同時に“死”に対する悲しさや、いつの間にか身についた潔い覚悟。
誰もが通る同じ道。

ジーンと胸の熱くなるようなノスタルジックな気持ちと、擬人化されたおもちゃの世界に、思わず童心にかえってしまうのだ。

2007年(米)、2008年(日)公開
【監督】ザック・ヘルム
【出演】ダスティン・ホフマン、ナタリー・ポートマン

20130124aisatsu





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最終更新日  2013.12.22 06:01:43
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