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2014.01.12
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テーマ: コラム紹介(119)
カテゴリ: コラム紹介
殿、ご乱心!


「俗人」
ご尊父である16代目の殿は、息子を評してそう喝破した。
時折聞こえてくる噂に、ご尊父の子息評はまことに正鵠を射ていると感服したものだ。

殿、齢七十五。
轆轤の前では陶芸の風景とかす老体も、政治の場にあっては老醜そのものである。

【産經新聞 産経抄】
20140112


小津安二郎監督作品になくてはならぬ存在で、「男はつらいよ」でも柴又帝釈天の「御前様」として人気を集めた笠智衆さんは、若いころから老け役が多かった。不朽の名作である「東京物語」(昭和28年)で、尾道から上京し、息子や娘を訪ねる70歳の父親を演じたときもまだ50歳になっていなかった。

妻役の東山千栄子さんと熱海の海岸で海をながめるシーンはことに印象深いが、背を丸めてみせるため浴衣と背中の間に座布団を入れたという。その後は徐々に役の年齢に実年齢が追いついていったが、笠さんのような枯れながらも芯が一本通った翁(おきな)は近ごろとんと、お見かけしなくなった。

「高齢化社会」という用語には、何となく陰気な響きがあるが、お年寄りが元気なのは良い社会の証し。経済発展によって日本人の平均寿命が延び、しかも枯れない元気な老人が増えたのは、すばらしいことである。

東京都知事選への出馬を決意した75歳の細川護煕元首相を、72歳の小泉純一郎元首相が支援するかもしれないと、永田町でも元気な老人たちの話で持ちきりである。2人を結びつけたのは「脱原発」だそうだ。

選挙戦はにわかに盛り上がってきたが、原発を立地していない東京都で「脱原発」を争点にするのは、かなり違和感がある。ともに60歳代で政界を引退し、ヒマを持て余していた2人が「脱原発」と「都知事選」という2つのオモチャをみつけた、というのは言い過ぎか。

もし、本気で「脱原発」政策を実行したいのなら国政選挙に打って出て、安倍晋三首相のように返り咲きを狙うのがスジというもの。笠さんのように良く枯れよ、とは言わぬが、いつまでも生臭過ぎると、「老害」となるのを肝に銘じていただきたい。
(1月11日)

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かつて仕事を介してKさんと知り合った。バイタリティーと情熱に満ち溢れた人で当時の細川知事の信奉者であった。氏は定年を迎えるやいなや熊本に移って行った。ささやかな一席で、K氏は「細川知事の熊本で暮らしたい」そう言っていた。
新潟出身で都内在住の氏は熊本に縁もゆかりもあるわけではない。

新宿の始発でK氏と別れ、二三年は年賀の挨拶はしたがその後切れた。残念ながらK氏の消息は不明である。

そしてご当地熊本ではこう書いている。

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【熊本日日新聞 新生面】

「自分がどう感じるかということよりも、自分がどう見えるかということに関心を持つ」。米国の精神科医A・ローウェンが「ナルシシズムという病い」に書いている。むろん、ナルシシストについての定義だ。



細川護熙氏が東京都知事選に立つという。熊本には縁が深い方だが、「見せ方」「見え方」にこだわりが強いようにも感じる。その決断には何度も驚かされてきた。熊本県知事や首相への去就、任期途中での衆院議員辞職、陶芸家への転身など。

細川さんからすれば、イメージの創造に成功したのかも。その際の「決めぜりふ」も忘れがたい。県知事引退の時は「権不十年」、衆院議員の引退時は「60歳で政界引退を決めていた」「今後は晴耕雨読」。

格好はいいのだが、すべてが後講釈で、いつしかほごになりがちなのがちょっと残念だ。「60歳引退は選挙の時に言うべきでは」と聞いたこともあるが、納得できる説明はなかった。

今回の立候補の動機には反原発があるという。小泉純一郎元首相も唱えている。こちらもなかなか「見せ方」を知る人。言葉の使い方もうまい。もし細川氏を支援すれば、風を起こそうとするだろう。

ただし、衆院選を郵政民営化だけで戦うような劇場型選挙はごめんだ。そのツケは大きい。細川さんも晴耕雨読で学ばれたことだろう。
(1月11日)

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小泉さんと細川さん、何やら暗躍していると思ったら細川さんが担がれて都知事選に出るという。

「やっぱりな」

失望を感じつつも、そう思った人は少なからずいるのではないか。
政治家というのは、普通とは異なった人種であることを、我々は知っているのだ。
長年新聞社で働いた老父は「期待通りじゃないか」と失笑する。

思えば「晩節を汚す」という言葉は政治家のためにあるのかもしれない。
老醜をさらしながらテレビに映る御両名を眺めるに、そう痛感した次第だ。

大義のない戦に勝ち目がないことは歴史が語るところだ。
笠さんのように良く枯れよ、お二人さん。

20130124aisatsu





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最終更新日  2014.01.12 05:59:42
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