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2014.03.13
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カテゴリ: 映画/歴史・伝記
【アポカリプト 】
20130312

「あの連中を見てお前は何を感じた?」
「分からない。」
「恐怖だ。心をむしばむ恐怖。連中はそれに冒されていた。・・・感じたか? 恐怖は病(やまい)だ。魂の中に入り込む。お前の心の平安をすでにむしばみ始めている。」


無名の俳優を起用し、英語ではなく全編マヤ語を使用しての本格的な演出。
むせかえるようなジャングルの密林地帯を舞台に、未開の現地人がおそらくやっていたであろう狩猟や、部族間争い、人身売買、生贄の儀式。
それらはあまりに残虐性が強いため、アメリカではR指定を受けた映画なのだ。
しかし、そこまでして作り手がこだわったもの、提示しているものとは何なのかを考えてもらいたい。
それをきちんと、真正面から見据えることでストーリーの裏側に隠された本当のテーマが、自ずと浮かび上がって来るのだ。

時代はマヤ文明の後期。
ジャングルの密林地帯の一角に居住するジャガーたちは、部族の仲間たちと平穏な日々を送っていた。
ある日、ジャガーは狩りのためにバクを追っていた。
見事仕留めて仲間たちと、肉と内臓を分け合っていると、突然、恐怖におののく他の部族がジャガーたちの前に現れる。

ジャガーは自分たちのテリトリーである森を通り抜けることを許可するものの、一体その部族に何が起こったのか胸騒ぎを覚える。
その予兆通り、ある朝ジャガーが目を覚ますと村がマヤ帝国の傭兵に焼き討ちをされてしまう。
そして、必死の抵抗も虚しく、ジャガーの父は彼の目の前で首を切られ、絶命する。

マヤ帝国についての詳細はいまだ不明で、学者たちの間で研究の進んでいる史学なのだ。

だが一つの文明が滅びる時、それは様々な要因が重なってのことであると同時に、淘汰されるべくして淘汰されたのだとも考えられる。
作中、ジャガーの妻が傭兵から身を隠していた窪みの中で、どしゃ降りの雨に浸かりながらの壮絶な出産シーンにはがく然とした。
目を背けたくなるだけでなく、吐き気すらもよおした。
さらに、ジャガーが必死で死体の山を踏みつけながら逃げ去るシーンは、目蓋の内側に焼きついて離れない。
だが、それもこれも最後のワン・カットでストンと腑に落ちた。
ジャガーがどうにか浜辺まで逃げ切った際、停泊していた西洋の船にキリスト教の宣教師たちが乗っているのだ。
「なるほど」と思った。

これをキリストの「救い」と捉えるのか「言い訳」と捉えるのか、いずれにしてもこの後マヤ文明が滅亡したことだけは事実だ。

【アポカリプト】・・・ギリシャ語が語源で、「ものごとを新しくする」という動詞。

【アポカリプス】・・・同じくギリシャ語が語源でアポカリプトの名詞形。「啓示」の意。(聖書の黙示録をあらわす。)

2006年(米)、2007年(日)公開
【監督】メル・ギブソン


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最終更新日  2014.03.13 05:51:38
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