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2014.06.11
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テーマ: コラム紹介(119)
カテゴリ: コラム紹介
【北國新聞 時鐘】
20140611

サッカーW杯本番(ほんばん)が近づき、「高まる緊張(きんちょう)」が報じられるが、今回は緊張も並大抵(なみたいてい)ではないらしい。現地の日本総領事館(そうりょうじかん)が治安(ちあん)説明会(せつめいかい)を開いた、という小さな記事が出ていた。

大事なのは強盗対策(ごうとうたいさく)で、「もし襲(おそ)われても抵抗(ていこう)するな」。新興国(しんこうこく)の優等生(ゆうとうせい)としてW杯や五輪を誘致(ゆうち)した国に、いつのまにか「問題児(もんだいじ)」が増(ふ)えた。命あっての物種(ものだね)という物騒(ぶっそう)な緊張が、大会に加わる。

仲良(なかよ)きことは美しきかな。話せば分かる。そう教わってきた私たちには悲(かな)しいことだが、広い世界には話しても通じない物事が幾(いく)らもある。W杯前夜の小さな記事が、そう教える。

地球の反対側だけでなく、近ごろは、隣近所(となりきんじょ)からも「問答無用(もんどうむよう)」というけんか腰(ごし)の声が絶え間なく飛ぶ。だから、国のリーダーの「握手会(あくしゅかい)」を急げ、というもっともらしい意見が出るが、話しても分かり合えないことだってある。そう腹(はら)をくくる方が、賢(かしこ)いようにも思えてくる。

幸(こう)か不幸(ふこう)か、今回も治安対策無用の自宅観戦(かんせん)。「テレビ漬(づ)け」と文句が出そうだが、競技場外に渦巻(うずま)く国際情勢を学ぶ良い機会にもなる。そんな屁理屈(へりくつ)を用意して、声援(せいえん)を送ることにする。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『仲良きことは美しき哉』
久しく目にすることも耳にすることもなかった。おかげで日曜の午後は武者小路実篤を紐解いて過ごすことになった。幸か不幸か小生、齢半世紀を遠に過ぎても、武者小路に辟易するほど人生に毒されてはいないようで、三読しても感動がわき、胸に熱いものがこみあげるのであった。
まずはその機会を与えていただいた時鐘氏に感謝である。

余談であるが武者小路は
『君は君 我は我なり』
とも書いている。白樺派が誤解されるむきがあるが、その本質はこういうことなのだ。自己を確立した大人の世界なのである。

コラムを読んで思った。つまり、君子危うきに近寄らず、である。してみると時鐘氏は君子である!(だからいつも安心して読んでいられるわけだ!)
このたびも正義ぶることなしに正鵠を射てみせた。そしてまたどこぞのコラムのように、高みから見下ろすような視線も、卑下するような情けない視線も微塵もない。武者小路の「大人の世界」である。
何より安心できるのは、時鐘氏が醒めていることであろう。文章を書く上で最も必要な態度であることはわかっていても、それがなかなか難しいことである。(こうやって、熱くなって持ち上げてしまうのだ・笑)
ただし時鐘氏、冷たい人間ではない。寅さんの機微を、行間から感じるものである。決して「それを言ったらおしまいだよ」ということはないのだ。

さて、前にも書いたのだが私は石川県には縁もゆかりもなく、北國新聞にも何の関係もない。だがコラム「時鐘」は「たてコラム」を通して毎日読んでいる。(「たてコラム」はスマホのアプリ。新聞の休刊日以外は毎日必ず使っている。小生のスマホで一番頻度の高いアプリである。)
「たてコラム」に登録したコラムは三十、その中で「時鐘」は日本一の新聞コラムであると私は思う。そしてこのたびその認識を新たにした。



ときに武者小路。
志賀直哉に送った色紙にこう書いている。
『君も僕も獨立人、何年たつても君は君 僕は僕』

小生、君子には程遠く、残念ながら武者小路と志賀の関係のような友人もいないが、独立人たる大人ではあるつもりだ。時鐘氏、もとい、時鐘師、を見習いなまじりを決して世の中をしかと見つめていたいと思のである。

20130124aisatsu





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最終更新日  2014.06.11 06:10:34
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