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2014.08.09
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カテゴリ: 読書案内
【勝海舟/第二巻・咸臨丸渡米】
20140809

◆即刻、海軍の備えをせよ! 海軍より他に国を守る法はなし
私が子どものころは、青い目をした白人が歩いていたりすると、物珍しく、ジロジロと見てしまったものだ。
好奇心旺盛だったので、友だちと二人でそのガイジンの後をつけて、一体どこへ向かおうとしているのか突き止めようとした。
結局、尾行の途中で飽きてしまい、断念してしまったが。
最近ではフツーに外国人が街を闊歩しているし、近所のスーパーで会計の際、外国人の後ろについたりすることもある。
息子が小学校の時も中学校の時も、同じクラスに外国人の子がいた。
外国人といえども、教育を受ける権利があるからだ。
この浜松市という土地柄ゆえ、外国人労働者が多いというのも理由になるかもしれない。
だが、今やこんなちっぽけな島国も、多国籍の人種でひしめき合っているのは事実だ。

第二巻では、三百年の鎖国を続けていた日本だが、このままではいけない、外国の事情を知る必要があると、開国論を展開する勝海舟が、米利堅(アメリカ)派遣を任命される。

単なる好奇心だけでは成し得なかった大仕事、それは正に、愛国心と日本人としての誇りにかけた渡米だったに違いない。
そして咸臨丸に乗り込んだ者たちは、毛唐人(この場合、アメリカ人)と、自分たち日本人とを比較し、初めてその性質の違いを知ったのだ。

「多くはいい人ばかりだが、ね。毛唐人の親切、親切ばかりではない総ての気持というものは、自ら、ちゃんと限度というものがあるんですよ。親切を尽すにしても、それをしては自分が飛んだ損になる、こ奴をやっては自分に大きな不為が来るというような事は、如何に頼んだところで、決して遣る事のない人間だと、わたしは見ている」

要は、アメリカ人の合理性を冷静に評価しているのだ。
日本人にとって、信頼の足る人物に対する、とことんまで尽す精神は、本来美徳なのだが、グローバル・スタンダードに則ると、それは反って自らの損にもなり得るし、ヘタをすれば害ともなって己の首を絞めることにもなりかねない。
そんな大和魂という精神性は、いかに優秀な通訳がいたとしても、アメリカ人にはとうてい理解できないものであっただろう。

さらに第二巻では、坂本龍馬が登場するのも見逃せない。
もともと龍馬は、千葉十太郎とともに、開国論を推し進める麟太郎を殺す気で江戸にやって来た。
ところが麟太郎の、日本国をいかにして世界の諸国と肩を比べる国にするかについての意見を聴いた際、すっかり兜を脱いでしまったのだ。
これまで龍馬の周囲には、誰一人として勝麟太郎ほどの熱弁を持って、興国の業を来たすべき法について語った者はいなかったからである。
それ以後、龍馬は弟子となり、麟太郎の右腕となって活躍するのだ。


学問はからっきしだったが、“人斬り以蔵”の異名を持ち、その腕は確かだった。
後に、麟太郎を刺客から救った際の二人の会話がおもしろい。

「以蔵、いけねぇよ、人を斬っちゃあ」
「わたしがあ奴を斬らなければ、今頃先生の首は胴についてはいませんでしょう」
「そうかねぇ」


私たちの先人が命がけで日本国を立て直そうとした情熱、心意気に、胸が熱くなる。
このパリパリの幕末の志士たちの活躍は、第三巻へと続く!

『勝海舟』~第二巻・咸臨丸渡米~ 子母澤寛・著


☆次回(読書案内No.138)は子母沢寛の「勝海舟~第三巻・長州征伐~」を予定しています。


『勝海舟』~第一巻・黒船渡来~は
20140802
コチラ




コチラ から
★吟遊映人『読書案内』 第2弾は コチラ から



20130124aisatsu





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最終更新日  2014.08.09 05:58:14
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