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2015.10.18
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カテゴリ: 映画/戦争・史実
【フューリー】
20151018

「こいつらは俺たち(連合軍)が来ると知っていたんだ。だから酒に酔い、夜明けに自殺したんだ」
「なぜ(こんな惨状を)僕に見せるのですか?」
「(人類の)理想は平和だが、歴史は残酷なものさ」


戦争を扱った作品というのは、やっぱりそれなりに精神状態が安定していないと、見ていても疲れるだけだ。
ドンパチ撃ち合うだけでなく、むごたらしい殺戮の場とか、累々と積まれた死体の山、飛び散る肉片など、一つ間違えたらB級ホラーに成り下がってしまう恐れもあるのだから。
その点、『フューリー』は良かった。
主演にブラッド・ピットを持って来たのも成功だ。
地味な戦闘シーンの中にも、ブラピから放たれるスターとしてのオーラがまぶしい。
こういうのを正に、「花がある」と言うのだろう。

これまで戦争映画というのはいくつも製作されて来たし、第二次世界大戦のナチス・ドイツへの批判めいたテーマは繰り返し取り上げられて来た。
この『フューリー』においても、これまでの戦争映画とは大差はないと思われる。
ただちょっとだけ違いを感じたのは、「反戦」というテーマをモロに出していないことだ。

その行為が良いか悪いかは別として、対話による交渉などというものが意味を成さないことを示しているのだ。

ストーリーはこうだ。
1945年4月、第二次世界大戦下が舞台。
連合国側は、いよいよナチス占領下のドイツに侵攻しようとしていた。
戦車部隊に所属するウォーダディー(米兵)は、長年の戦場での経験を活かし、リーダーとして活躍していた。
ウォーダディーが「フューリー」と名付けた戦車では、副操縦手が戦死したことで、新たな兵士が配属された。
それはまだ新米の、戦争経験ゼロの補充兵だった。
その新米兵士・ノーマンを除けば、フューリー号に乗る他の兵士は、皆、北アフリカ戦線からの猛者で、ノーマンに対しがっかりせずにはいられなかった。
そんな中、戦車隊が縦列で行軍中、道路脇の茂みに隠れる少年兵を見つけたノーマンだが、相手がまだ幼かったこともあり、発砲をためらってしまう。
ところがその少年兵の攻撃を受け、フューリー号の前を走行する戦車が破壊されてしまうのだった。
ウォーダディーはノーマンのミスい怒り、敵側の少年兵を撃たなかったことで、味方に死者が出てしまったことを批難する。

ノーマンは涙を流して拒絶するが、ウォーダディーは無理やりノーマンに銃を持たせ、引き金を引く。
戦争の現実を、ノーマンはイヤというほど目の当たりにするのだった。

私が興味を持ったのは、ウォーダディーとノーマンが、制圧した小さな町で民家に入り、食事を摂る場面だ。
2人の女性が隠れていたため、すぐにでも乱暴を働くのかと思いきや、そうではなかった。
ウォーダディーは、「お湯が欲しい」と頼み、そのお湯で体を拭き、ひげを剃り、頭髪を整える。

ようやく恐怖心から解放されたように、若い女性のエマがそのピアノの旋律に合わせて歌いだすのだ。

これはあくまでも想像だが、ウォーダディーと呼ばれるリーダーは、実は育ちが良く、インテリなのではなかろうか。
ノーマンのように学生時代はタイピストとしての訓練を受けて来たという育ちの良さにはもちろん、ウォーダディーにもある種の品性を見出すことができるのだ。
その証拠に、ウォーダディーを探して他の粗暴な仲間たちがワサワサと民家に押し入って来たとき、あまりの格差にがく然としてしまう。
こういうドラマチックなシーンがあってこそのストーリー展開なので、ノーマンが兵士として成長してゆくプロセスがすんなり受け入れられる。お見事。

万人におすすめするほど私は戦争モノが好きというわけではないので、あえて言うなら、「ブラピのお好きな方、ぜひともご覧下さい」と、締めておこう。

2014年公開
【監督】デヴィッド・エアー
【出演】ブラッド・ピット、シャイア・ラブーフ、ローガン・ラーマン


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最終更新日  2015.10.18 06:58:06
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