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2017.04.23
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【アイデンティティー】
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「幼年期の虐待は心に大きな傷を残し、その結果人格が分裂することがある。マルコム・リバースがそうだった。いわゆる多重人格障害だ。この言葉は知ってるね?」
「一体、僕に何が言いたい?」
「君は彼の複数の人格の一つなんだ」


こんなことにお金を使って良いものかとあれこれ悩んだあげく、でもどうしても欲しいと思って購入を決めた。
今ならTSUTAYAで『ベルサイユのばら』デザインのTカードを作ることができるのだ!(¥500税抜)
「ベルばら」と言えばその昔、乙女たちは胸を焦がしながら読み耽ったものである。
池田理代子の描くキラキラした瞳のスタイリッシュでスマートなキャラクターは、そのどれもこれもが乙女たちの憧れだった。
私はこのTカードを財布にしまっておくだけで幸せな気分を味わえる。
ちなみに今なら『シン・ゴジラ』のTカードも、希望すれば発行してもらえる。(もちろん有料だけど)
興味のある方はTSUTAYA店舗までどうぞ。

ところで私はTカードの宣伝をするためにこんな話をしたわけではない。
一つの例として、「ベルばら」のTカードを持つことでモチベーションの上がる私という自我を持つ個人がいることの証明をしたかったのだ。(まわりくどい話だが)

「ベルばら」のTカードを持つ人=(イコール)吟遊映人の管理人=(イコール)私
すべて同一人物である。
今回見た『アイデンティティー』は、登場人物が11人いるけれど、その各々にキャラがあって人格は違うのに、本体は一人でしかないという複雑極まりない世界観である。
ざっくり言ってしまえば、重度の統合失調症の疑いがある死刑囚の、頭の中に存在する人物たちのお話なのだ。
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ストーリーはこうだ。
土砂降りの中パンクさせてしまったジョージは、車を路肩に停車させ修理をしていた。
必死で修理する夫に傘をさしかけている妻アリスが、突然車に跳ね飛ばされてしまう。
アリスを轢いてしまった車はすぐに停まり、運転していたエドが慌ててアリスに駆け寄る。
エドは女優キャロラインのお抱え運転手であり、今も後部座席にキャロラインを乗せ、彼女のヒステリーに付き合わされていたのだ。
あいにくの道路の浸水とケータイの充電切れのせいで救助を呼ぶこともできず、さびれたモーテルに駆け込んだ。
事故に遭ったアリスとその夫ジョージ、それにその子であるティミーをモーテルにいったん預けると、エドは助けを呼びに再び車で出かける。(モーテルの電話も通話不可だった)

途中、水商売風のパリスから、雨で難儀しているから乗せて欲しいと頼まれたため乗せてやるのだが、エドの車も洪水にタイヤを取られてしまう。
そんな折、新婚カップルのルーとジニーの乗る車が通りかかり、エドとパリスは便乗させてもらい、どうにかモーテルまで引き返すことができた。
その後、モーテルには護送中の警官ローズと、凶悪犯のメーンがやって来た。
辺りは漆黒の闇、降り続く豪雨の最中、モーテルには11人の男女が偶然にも居合わせることとなった。
そして、惨劇の火ぶたが切って落とされたのだ。


*ここから先はネタバレ
結果として犯人は精神疾患者なのだが、その原因は幼年期の親から受けた虐待のせいとのこと。
というのも、作中、度々挿入されるマルコムという死刑囚についての審議の場面がカギとなっている。
最初はこのマルコムが一体何なのか、まるで見当がつかなかった。
もしや犯人はエドかもしれないなどと推理してみた。(ジョン・キューザックが演じているし)
あるいは、いかにも犯人役で出演しそうなレイ・リオッタも、「きっとコイツが真犯人だな」と思って見ていると、肩透かしを食らってしまう。
なぜならそれらはマルコムの頭の中で作られた人格の一人であり、実在の人物ではないのだ。
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よけいな詮索だけれど、完全なる“あちら側”の人には複数の人格が存在して、自分という存在がないのだろうか?
それともその複数の人格の中に、本来の自分が存在するのだろうか?
いずれにしても『アイデンティティー』は、実際におこなわれた複数の殺人が、11人もの人格を持つたった一人の男による犯行だったというサスペンス・スリラー映画である。
ちなみに2003年公開当時、アメリカでは興行成績1位を獲得している。
なるほどそれだけのことはある作品なので、ぜひともみなさんにもお勧めしたい逸作なのだ。

2003年公開 
【監督】ジェームズ・マンゴールド
【出演】ジョン・キューザック、レイ・リオッタ


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最終更新日  2017.04.23 07:23:45
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