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2023.07.22
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カテゴリ: 読書初心者



以前は、この先読まないであろう書籍を、近所のブックオフへ持ち込んでいたのだが、ろくな収入にもならないし、むしろ持って行く労力の方が大変なので、やめた。
本棚の整理とは、文字通りのもので、新しく買った組み立て式の本棚に、キレイに収納するものである。
作家ごとにあいうえお順に並べているのだが、これが意外と楽しい。
一冊一冊、使い古しの歯ブラシでホコリを払いつつ、しまっていく作業である。
これでは遅々として整理整頓が進まない。



今ちょうど「か行」で始まる作家の文庫本を収納し終えたところだ。
とても有意義な時間だった。

息子が、そんな私の本棚を覗きながら、「再読したいやつとかある?」と聞いて来た。


①川上弘美・著『神様』

短編が9つ収められているのだが、どれも短い。
短編と言うより、むしろショートショートのような作品である。
ラノベ感覚で楽しめるが、れっきとした純文学である。
とくに好きなのは表題作だが、何とも言えない優しい気持ちになり、生きとし生けるもの全てに愛しさを感じるものである。
ドゥマゴ文学者、紫式部文学賞を受賞している。

②川端康成・著『伊豆の踊子』

川端康成だけは外せない。どうしても。
日本初のノーベル文学賞を受賞しているからと言うだけでなく、一つ一つの作品が神秘的で美しいからだ。
今回、『伊豆の踊子』を選んだのは、私も息子も伊豆の生まれで、この作品だけは親子共通の「座右の書」にしておきたいと言う願望ゆえだ。
川端康成の生い立ちは、ある意味、孤独と悲哀に彩られている。

しかも、15歳になるまでの間にだ。
そんな川端康成の背景を心に留めながら『伊豆の踊子』を読むと、切なくてもの悲しい。
伊豆と言う自然美に溢れた土地で、偶然出会った踊子との刹那的な恋。
人生のほんの一瞬の出来事を、迸(ほとばし)るような瑞々しさに加え、静謐に描いた作品なのだ。

③車谷長吉・著『赤目四十八瀧心中未遂』


車谷長吉は、晩年こそ大胆な私小説から一線を引き、何やら紀行文とか随筆のような、つらつらと日常を描く流儀に変更してしまったが、初期の作品は本当に素晴らしいものだった。
とくに、『赤目四十八瀧心中未遂』は直木賞も受賞していて、車谷の得意とする暗い闇の部分を這うような文体である。
巷にはそれこそ吐いて捨てるほどの小説が量産されているけれど、そのうちどれほどの作品が後世に残るものだろうか?
再読したいと思うだろうか?
私は車谷が、それこそ命を削って書いたのではと思われるこの『赤目四十八瀧心中未遂』を読んだとき、必ず再読したいと思った。
人間の「業」と向き合うとき、この作品のことが必ず思い出されるのだ。

さて、ここまでは私の再読したい好きな3冊を紹介したけれど、筆頭管理人にもきっとあるはず(笑)
何しろ文学部卒の文学青年(壮年?)ですから‼︎
それでは筆頭管理人の、「か行」で始まる作家の、再読したいぐらい好きな作品をご紹介いただこう!!

筆頭管理人です。
あたしゃ、青年とか言われても踊りゃしませんよ(-_-)
でも呼ばれりゃノコノコ出てきます。
ということで「か行」と言ったらこの御仁にしてこの一冊でしょう!



当方、あと少しで前期高齢者の末席に座す身となりましたが、人生九十年として後半の人生を、小林秀雄とこの一冊のおかげで、どれほど豊かにしてくれたことでしょう。
これを読んで目から鱗が落ち、難解からずっと積ん読となっていた小林の著書を読み進めることができ、かつ面白い様に頭の中に入ってきました。
小林の本質って〈感情〉なんですよね。だから理論を読むのでなく、小林の感情を読み取る。すると、
「なんだ、小林はゴッホや宣長やモーツァルトが大好きなんだ。つまりどれほど好きか、その好きさ加減をツラツラと綴っているようなもんだ!」
と思え、小林をとても愛しく感じ、小林が大好きになりました(^_-)

ということで老婆心まで(^o^)/
小林秀雄をはじめてお読みになる方は、小林がどれほどその対象が好きなのか、それをお感じいただきながら、楽しんで読み進めていただければと思います。

なお当方、該当書物を読んで以来、小林の大好きなゴッホを私もこよなく愛するようになりました。好きな人が好きなものは好きになるもんでしょ(*^_^*)
今ではiPadの待ち受け画面はゴッホの糸杉です。

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なおご参考まで。当ブログでは200冊以上の読書案内を投稿しております。ご覧いただけましたら幸いです。


コチラ から
★吟遊映人『読書案内』 第2弾(100~199)は コチラ から
★吟遊映人『読書案内』 第3弾(200~ )は コチラ から


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最終更新日  2023.07.22 08:00:10
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