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2011.08.16
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 福島第一原発が事故を起こした直後、原子炉内で再臨界が起こっていた可能性があると カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チーム

 これまでにも、再臨界が起こった可能性を指摘する人はいた。例えば、 アージュン・マキジャーニさん は1号機のタービン建屋の溜まり水に、塩素38という短命の放射性核種が存在(1立方センチメートルあたり51億6000個)しているという情報に注目、敷地内で中性子ビームを3月13日から15日にかけて1号機と2号機の南西1.5キロメートルの地点で13回観測したとする東電の発表も考え合わせ、局所的な臨界状態が生じたのではないかとする推測を4月4日に発表している。

 この指摘に対し、東電は4月20日、1号機の冷却に使用された海水から塩素38が測定された(1.6 MBq/mL)とする発表をを撤回して「検出限界未満」としたのだが、訂正した経緯の詳細は不明だ。東電が情報を明らかにしない段階で、この訂正が正しいという前提で東電に代わって解釈するべきではない。

 事故直後にはテルル132という放射性物質も検出されていたというが、この事実は6月20日まで公表されなかった。 週刊現代 は、原発事故の後も福島県を走っていた自動車のエアフィルターからテルル129が見つかったともしている。記事の中でクリス・バズビー博士はこの物質の半減期が33日と短いことを指摘した上で、再臨界の可能性を示唆していると説明している。

 福島第一原発はマスコミが伝えているより不安定であり、事態は深刻だということだろう。溶融した燃料棒が圧力容器を突き抜けて格納容器に落ちたならば、コンクリートの中に入っている可能性が高い。冷却も限定的であり、コンクリートを突き抜けなくても大地や海を汚染し続けることになるが、そうした厳しい現実をマスコミが直視しているとは思えない。

 東電や政府に批判的な報道がマスコミの中でも出てきたことは確かだが、自分たちのおかれた状況に気づいただけのことだろう。「安全デマ」を完全に止めたわけではなく、いわば「アリバイ工作」のようなもの。世の中の流れを見ているだけだ。放射能汚染による恐ろしさを庶民が忘れて「原子力利権サイクル」が回り始めたら、再び安全デマを垂れ流すことだろう。



 福島第一原発の事故はチェルノブイリ原発のケースに比べて規模が小さいと日本では宣伝されているが、空中に放出された放射線物質の量が正確かどうかというだけでなく、深刻な海の汚染、4機とも不安定な状態が続いているうえ、地震で事態が悪化する可能性も残っている。また、使用済み燃料棒を保管してあるプールの状況がわからない。日本人にとっては幸運なことに、風向きのおかげで放射性物質の大半が太平洋へ流れたが、安心できる状態ではない。今後、海洋汚染の影響が明確になれば、責任が問われることになるだろう。

 スリーマイル島原発やチェルノブイリ原発の事故は日本人にとって「人ごと」だったかもしれないが、今回は日本の存亡がかかっている。日本人だけでなく、日本の生態系が破壊される可能性も残っているということである。





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最終更新日  2011.08.16 23:15:37


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