《櫻井ジャーナル》

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2014.03.12
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 1988年12月、パンナム103便がスコットランド南部のロッカビー上空で爆破され、乗員乗客259名と地上にいた11名が死亡した。1991年にアメリカ司法省はふたりのリビア人を犯人だと断定、イギリス政府もこの結論に同意し、容疑者となったリビア人は指名手配される。2001年にひとりは終身刑、もうひとりには無罪が言い渡された。

 しかし、当初からアメリカ政府が主張する「リビア人犯行説」に疑問を持つ人は多く、裁判でもひとりは無罪にせざるをえなかった。この事件でリビアの犯行だとアメリカ政府が主張した最大の理由はムアンマル・アル・カダフィ体制を攻撃する口実が欲しかったからだとも言われている。

 そのカダフィ体制は2011年10月に倒された。NATOがペルシャ湾岸の産油国と手を組み、イスラム教スンニ派の武装勢力(アル・カイダ)を地上軍として使ってのことだ。そして今、 「西側」は「イラン人犯行説」を主張し始めた 。ドイツへ亡命したイランの元情報機関員、アボルガッセム・メスバヒなる人物の話だというが、イラクの時にも「西側」支配層の意向に沿った事実に反する亡命者の「証言」があった。

 ただ、「リビア人犯行説」とは違い、「イラン人犯行説」は当時から説得力のある説として流れていた。1988年7月にアメリカ海軍のミサイル巡洋艦、ビンセンスがイラン航空655便を撃墜して乗員乗客290名を殺していたからある。この旅客機は通常のコースを飛行中で、アメリカ側に弁解の余地はないのだが、アメリカ側は撃墜に対して誠実な対応をせず、「国際社会」とやらは寛大で大した問題になっていない。イラン人が怒り、報復しても不思議ではない状況だったということである。FBIやアメリカ国務省も流していたこの説では、シリア政府の支援を受けていたPFLP-GC(パレスチナ解放人民戦線総司令部派)が実行したとされ、シリア政府にも責任があるとされた。

 2011年以降、「西側」はリビアと同じようにシリアの体制も転覆させようとしてきたが、激しい抵抗にあって実現せず、その過程で自分たちの偽情報戦術が露見、手先として使っているアル・カイダの残虐さも広く知られるようになった。このアル・カイダを雇い、動かしているのがサウジアラビアのバンダル・ビン・スルタン総合情報庁長官。

 今年3月に入ってからサウジアラビア政府はシリアで戦っている外国人戦闘員に対し、撤退を求めているとも報道されている。また、「西側」は厳しい報道管制を敷いているようだが、シリアでサウジアラビアが影響下にある武装勢力が化学兵器を使用、それをシリア政府になすりつけようとした疑いも強まっている。シリア、そしてイランを攻撃するためには何らかの新たな「ショック」が必要な状況。そうしたときにパンナム103便の話が出てきた。

 実は、別の説もある。パンナム103便にはDIA(米軍情報局)のチャールズ・デニス・マッキー少佐とCIAのベイルート支局次長だったマチュー・ギャノンを含むアメリカの情報機関員が乗っていたと言われているのだが、彼らはレバノンで拘束されていたアメリカ人を救出する工作に従事していたという。

 交渉の仲介役として動いたいたモンゼル・アルカッサはシリアの麻薬業者で、アメリカはアルカッサに麻薬をアメリカへ密輸することを認め、そのかわりレバノンで捕らわれているアメリカ人の解放に協力させようとしていたとする話がある。その取り引きに気づいたマッキー少佐らはCIAに報告したが無視されてしまう。そこで、抗議のためにアメリカへ戻る途中だったというのだ。この説では、マッキー少佐らの口を封じるため、アルカッサが麻薬密輸の仕組みを使って爆弾を機内に持ち込ませ、爆破したということになっている。何らかの形でアメリカの情報機関が関与した可能性を疑う人もいる。






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最終更新日  2014.03.12 18:12:01


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