WDCSの慈善活動による狙いはクジラ目動物を守り、保全することで、これにはクジラの個体と共にその種が含まれます。 いかなる理由があろうとも、この自由に動き回る、繊細で人懐っこく、賢い動物を監禁することは本質的に残酷です。 クジラやイルカを監禁することは健全な教育、科学、保全などの目的には何にも役立ちません。現在世界中で何千頭ものクジラ達が監禁されています。クジラやイルカの「芸」を観ることが自然を尊重する心を育てたり、この素晴らしい動物の理解を深めたりする手助けになるとは思いません。それどころかあなたが観ているのは、人間に抑制され、コントロールされた動物なのです。……とっても鯨やイルカのことを大切にしているのだなぁと、感心してしまうわけですが、でも、どうして鯨やイルカたち「だけ」なんでしょうか?
※ボールド部分、僕が編集しました。
まず指摘しておかなければならないのは、70種類以上ある鯨類の中で、 その知能が研究されているのはバンドウイルカなどほんの数種の小型鯨類であるという事である。 シロナガスクジラやミンククジラなどのヒゲ鯨や、マッコウクジラのような大型歯鯨について、その知能が研究され、それが人間に近い事が実証されたり、それを示唆するような事実が見つかったという話は聞いたことがない。 しかし、例えばグリーンピース・オーストラリアが1992に発行した"Are whales almost human?"と題したパンフレットでは記述の対象をイルカに限定せずに鯨類全般のこととして「疑いもなく知能が高く・・・」と書いている。 チンパンジーの知能が高いからといってメガネザルの知能も同等のレベルにあると思い込む人はいないと思うが、鯨類に関しては「イルカは賢い」-> 「鯨類は賢い」->「鯨を食べるのは人食いと同様な野蛮な行為である」とメチャクチャな飛躍でもって論旨が発展して、捕鯨という漁業 -漁業自体は反捕鯨国も含めて世界中で行われているごく普通の行為だが - を特別に罪悪視して抑圧する有力な論拠に使われているのが現状である。……結局、たいして知能に関しては調査が進んでいないわけわけですね。
※同じくボールド部分は僕の編集です。
例えばバンドウイルカの脳は約1.6キロと、人間の1.5キロに近く、見かけも人間のものにけっこう似ていなくもない。 ただ、脳の絶対重量や体重との相対比率については、知能との相関はないようである。 アジア象の脳は人間のものより5倍重いが、人間より賢いという兆候は全く見られないし、 バンドウイルカの5倍近い重さの脳を持つマッコウクジラに、より高い知能を示唆する行動が観察されているわけでもない。長くなるので、中略してあるのですが、その中に動物の体重に占める脳の重さの比率が一覧になっているのですが、それから考えると、人間よりもネズミのほうが高いんですよね、その比率が(人間が2.1でネズミが3.2)。
〈中略〉
鯨類の祖先が陸上の哺乳類で、6500万年から7000万年前に海での生活を始めた事は、今日ではよく知られていると思う。陸上哺乳動物において、脳の新皮質の最後の進化が始まったのは5000万年程前と考えられているが、鯨類の祖先はそれよりはるか以前に海へ移ったために、同じ哺乳類といっても、現世の陸上哺乳類とは違い、新皮質の層の数が6つではなく5つしかなく、構造もはるかに単純であるなど、質的な違いも大きい。また、海中という、視覚から入ってくる情報だけでは不十分な環境で生きているために、音波を発して、その反射波から周囲の状況を把握するエコーロケーション(Echo location)という機能が発達しているため、音波の処理に必要な箇所が発達して、このような比較的重い脳を持つに至った、と考えている学者もいる。
というわけで、 イルカの脳は見かけに反して質的にはかなり人間のものと違い、人間に匹敵する知能の存在を万人に納得させる決定的な材料は、今のところない、のである。
※同じくボールド部分は僕の編集です。
同じ知能レベルである事が明白な他国の人間に対して、文化的背景に基づく社会・経済上の制度の様々な違いに難癖をつけ、自分たちの制度が世界の標準や理想であると強弁し、時にはそのような口実から経済制裁や軍事的対立にまで発展させる一方で、鯨類の知能レベルについての怪しげな巷説を盲信し、ヒステリックなまでに鯨類を保護する政策をとり続け、しかも自分たちの鯨観に基づく政策を世界中に強要しなければ気が済まない国々を見る時、なにか病んだ精神のようなものを感じてしまうのは、私だけであろうか。……いえ、僕もそう感じます。
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