献体の登録者が、全国の大学でこの20年間で倍増しているのだという。希望者が多く、登録を制限したり、一時停止したりする大学も出てきたらしい。
広島大は10年ほど前から登録を抽選にし、「倍率」は約2倍だそうだ。東京大は5年ほど前から登録者を制限。近畿大は2年ごとに50人前後を登録する。現在は約200人が登録待ちだという。
増加の理由について、 篤志解剖全国連合会 会長の坂井建雄・順天堂大教授(解剖学)は「口コミで増えている。社会的に認知されるようになったほか、家族関係がクールになったのも一因では」という。
家族の遺体にメスが入ることに抵抗感を持つ人が減り、近年は本人の意思を尊重する傾向が目立つという。
朝日新聞より
高齢者から「身寄りがないので献体したい。遺骨を大学の納骨堂に入れてほしい」との要望も一部あるという。一人暮らしだったり、墓の世話で家族に迷惑をかけたくないという事情が見え隠れする。
こうした場合、献体の趣旨に反すると、登録を断ることもあるそうだ。
歌手・さだまさしが04年に発表した小説「眉山」では、献体登録する母親が登場する。徳島で一人暮らしの母が末期がんになり、東京に住む娘に内緒で献体登録するというエピソードがある。
07年には映画にもなった。
ロケ地になった徳島大では01年には登録者が少なく、解剖実習も危ぶまれていた。しかし、現在は1千人が登録、年間の登録者数を40人に制限しているほどだそうだ。
「死」に対する考え方が変わって来た事は確かでしょう。「死」は誰にでも訪れるもので、忌み嫌うものではない事。「死」そのものが日常の中に、(間接的にしても)溢れているという現実。
独居老人の死や無縁仏の数も近年増加傾向にある。どうせ死んで灰になるなら、その前に何かのお役に立ちたいという思いもある。
馬鹿みたいにかかる葬儀費用や、金もうけばかりが目立つ法要に嫌気がさし、お寺離れが進んでいるのにも遠因があるでしょう。
墓石ではなく墓碑として樹木を指定した「樹木葬」や、火葬した後の焼骨を粉末状にした後、好きな場所に(海、空、山中等)撒く「散骨」を希望したりと、お墓にこだわらない人も増えている。
私の身内にも既に登録している人がいる。私もそうしたいと思っていたが、登録さえできない状況というのには驚きです。まるでブームのようだ。
〈献体〉
大学の医学部や歯学部で行われる人体解剖の実習用教材などとして、自分の遺体を無条件、無報酬で提供すること。
解剖は人体の仕組み、構造を調べるもので、死因などを調べる病理解剖とは違う。登録には配偶者、親や子ら肉親の同意が必要。
遺体は大学が火葬し、遺骨は遺族に返還される。ただし、防腐処理のほか、一般的に解剖の実習期間は数カ月に及ぶため、遺骨の返還には2~3年かかる。
遺族がいない場合、大学などの納骨堂に収蔵される。
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