映画 「シャーロック・ホームズ」 を観てきた。
テンポが早くて追ていけない感じ。
今までのシャーロック・ホームズものとは全く違う設定は良いとしても、ストーリー展開が「悪魔と天使」に似ていて、少し食傷気味で、私としては不満が残った。
最近の映画を観ていつも思うことは、本当の意味で”人間”を描いていないので、見終わった後に余韻というものが残らない。内容も映像も凝ってはいるが、随所に類型的な部分が出てきてステレオタイプな感じがしてならない。
テーマにしても黒魔術を使って権力を握り、世界征服を狙うという設定の話は過去にいくらでもあり、新しい感じがしないのも確か。ストーリはよく見ると単純で、一見豪華な料理に見えて味付けは脂っこいばかりで、奥深い滋味とか旨みとかいうものがない。
私が年をとったせいなのか、要求するものが多すぎるのかとも思うが、単にそういう映画が好きだということなのかもしれない。
私は、人間の心の内面や深層心理をサスペンスタッチで描くヒッチコックのような映画が好きなので、いくら豪華な手の込んだモノを出されても、その肝心なところが抜け落ちているものにはあまり満足できない。
人を殺すにしても葛藤があるべきだし、心の弱さや邪心と戦うところに共感を覚えもする。「ジキル博士とハイド氏」や「白いドレスの女」、「ミザリー」や「太陽がいっぱい」、「サイコ」や「白い恐怖」などなど好きな映画は沢山ある。
人間の”心の裏側に潜む何か”を表現したような、スパイスが効いていて、あっさり味でもダシの効いた深みのあるものが好きなのだ。
最近はそんな映画が少ないのが悲しい。金をかけるなら、その心を表現するための裏付けになる場面に思いっ切りぶち込んで欲しいと思ったりする。
今回の映画では、主役がいい味を出している。
ワトソンとホームズが登場した最初の画面で、一瞬でどちらが主役かが分かるほど「ロバート・ダウニー・Jr」の存在感が「ジュード・ロウ」を凌駕している。
それによって、この映画は新しいタイプの「シャーロック・ホームズ」として成り立っているといえるでしょう。元々は独自に編み出した武術の達人というホームズの隠れた姿を全面に出して、新しいシリーズとして提示してきた。
本国、イギリスのシャーロッキアン達にも賛否両論が巻き起こったらしく、従来の古典的なイメージを打ち破ったことは、快挙と言ってもいい。
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