inti-solのブログ

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2008.08.15
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カテゴリ: 戦争と平和


私の父は敗戦時小学校4年生、学童疎開で宮城県にいました。一方、母は小学校1年生、空襲で家を失い群馬県の高崎に家族で疎開している間に敗戦を迎えました。
学童疎開が始まったのは1944年、対象は小学校3年以上でした。つまり父は学童疎開の最年少、母は学童疎開対象外だったわけです。その代わり、母の実家のあった川崎は、日本鋼管など重工業の街だけに、猛烈な爆撃に晒され(東京の爆撃は焼夷弾が多かったようですが、川崎は爆弾でした)、母も炎のなかを逃げ回ったようです。しかも、疎開した高崎にも、空襲はあった。
一方、学童疎開中の父は、B29の大規模な空襲はなかったものの、疎開先に小規模の工場があったため戦闘機の機銃掃射を受けて逃げ回ったことがあるそうです。
戦争が1945年8月で終わったので、学童疎開の子どもたちに(というより、日本の本土の一般市民全般に)餓死者は出ませんでした。けれども、もし1945年の冬まで戦争が続いていたら、学童疎開の子どもたちの中には餓死者が続出したはずだと父は言います。

もっとも、その時南方の戦場では状況は更に過酷でした。アジア太平洋戦争の日本の死者は総数約310万人、そのうち軍人軍属が230万人と言われていますが、藤原彰「飢死にした英霊たち」(青木書店)によれば、軍人軍属の戦死者のうち過半数は純然たる戦闘による死者ではなく、病死、戦病死を含めた餓死であったといいます。そして、そこに暮らす地元の人々は・・・・・・・・。
アジア太平洋戦争の犠牲者は、総計2000万人以上と推定されています。そのうち何割が餓死者だったのか、正確な数字は知りません。
前掲書によると、中国を侵略した日本軍も、戦争末期にはかなりの餓死者を出していました。1944年の大陸打通作戦では、日本軍の各部隊は、できるだけ味方のいないところを進撃しようとしたと言います。まだ日本軍が通っていない「処女地」を進撃すれば食糧が自由に略奪できたからです。すでに味方の別部隊が通った後だと、略奪され尽くしていて、食糧が手に入らない。そこまで略奪の限りを尽くしても餓死者が出たというのですから、略奪された側にどれほどの飢餓状態が起こったかは、想像に難くありません。
ベトナムでは第二次大戦で約200万人の死者が出ていますが、そのほとんどは餓死者だったようです。それらのことを考えあわせると、戦争の犠牲者の多くが餓死者だったのは日本だけではなかっただろうと思います。

さて、話は戻って、当時小学生だった私の両親も、もう70歳を越えました。もう、兵士としての戦争体験者は、80歳以下の人はほとんどいないでしょう。
戦争の体験者は年々高齢化しています。それによって、戦争の記憶もまた遠くなってきているのでしょう。戦争はテレビの中のもので、しかも視聴者は解説の軍事評論家と共に将軍か提督になったような気分でいられる。歴史修正主義、好戦的な言動が大手を振ってまかり通るようになってきた背景には、そのことがあるのではないか、という気が、私にはします。

何はともあれ、平和が一番です。今日という日にあわせてこの曲を・・・・・・

http://jp.youtube.com/watch?v=mkcS3i2HR2M&feature=related

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Sobreviviendo(生き残る)

私は自問する、どうやって生きてきたのかと。
生き残ってきた、と私は言う。生き残ってきた、と。
私は、千回以上も書かれた詩をもっている。
その詩は繰り返されてきた。この大地の上で誰かが死のうとしている間に、そして
戦争のための兵器が製造されている間に。
私は、生き残ってこの大地を踏みしめる。
危険に直面する全ての者が、生き残っている。
悲しく、放浪する男たちは、生き残っている。

月日が流れ、以前のような笑いが消えた、
かつて、私は、ヒワのように笑っていたのに。
私を傷つける確かな記憶がある、
どうして広島を忘れることができようか
この地上で、どれほど多くの惨劇が
今日、私は笑いたいけれど、もうできない
もはや、わたしには、ヒワのような微笑みも、
1月の松のような平和もない。
生き残って、この世界のために歩く。

私は、たった1人の生き残りにはなりたくない。
私は、自分の死ぬ日を選びたい。
若者よ、私は平穏と赤い血と、
よい歯並びと精子をもっている。
私の主義に沿った生き方がしたい。
私は、動物たちの世界に対して
平和の宣言を行う日など見たくない。
そんな、狂った日など、笑ってしまうだろう。
彼らは、命のために宣言するのだ
そして、我々はほとんど生き残ることが出来ない。

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追記
Sobreviviendo+火垂るの墓
http://jp.youtube.com/watch?v=FJ44hbTW-OU&feature=related






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最終更新日  2008.08.16 01:08:48
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