inti-solのブログ

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2009.09.05
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テーマ: ニュース(95879)
カテゴリ: 政治
民主党の政権公約の中で、高速道路の無料化がいろいろな意味で話題になっています。


そもそも、高速道路の建設を始めるに当たって、当初は有料だが建設費の回収が済めば無料化することになっていました。ところが、1965年に全通した名神高速道や1968年全通の東名高速道路など、どう考えたってとっくの昔に建設費の回収は終わっているはずですが、民主党が政権公約に掲げるまでは無料化される気配などありませんでした。
なぜなら、その後全国津々浦々に次々と高速道路を建設し続けたものだから、いつまで経っても建設費の回収が(各高速道路単体ではなく、日本の高速道路全体として)終わらないからです。それどころか、借金は年々拡大している。
はっきり言ってしまえば、政府が無料化というその場限りの約束をして、うやむやのうちにそれを反故にして何十年も経過したわけです。

高速道路を無料化したら、高速道路建設の財源はどうするんだという意見にも一理あります。しかしその反面、なまじ有料であるが故に、通行料収入を「担保」にして、どんどん高速道路を造ってしまった、しかしその「担保」は実は大甘の過大査定で、開通してみたらそんなに交通量がなくて大赤字、なんて高速道路もたくさんあって、借金が拡大した側面もあります。

つまり、高速道路の無料化というのは、その裏には「もうこれ以上大甘な収入予測に基づいて高速道路を造り続けることはやめますよ」というメッセージが隠されているのだと私は思います。もしそうだとすれば、高速道路無料化は、無駄な公共事業を止めていくという政策の一環であり、理念において非常に意味あるものと私は思います。

が、その反面、問題もあります。高速道路を無料化が無駄な高速道路建設への歯止めになればいいのですが、いろいろな政治的駆け引きと妥協によって、無料化したけどやっぱり高速道路は造ります、なんてことになる可能性も否定できません。そうなってしまったら、これはただのバラマキに過ぎなくなります。
また、少なくとも既存の高速道路には、無料化されれば多くの車が押し寄せるでしょう。渋滞も酷くなり、「高速道路が足りないじゃないか、もっと建設しろ」ということになってしまうかも知れません。

人々が鉄道や飛行機から乗用車に交通手段を切り替えようと思うような政策は、どう考えても地球環境保全に逆行しています。民主党は、一方では地球環境問題への取り組み強化も掲げているので、それとは明らかに矛盾しています。
何より、民主党に投票した人々も含めて、世論は高速道路無料化にかなり批判的です。

というわけで、高速道路無料化案にはそれなりの根拠とメリットはあるのですが、長所と欠点を天秤に掛けてみると、やはりこれはやめておくべきではないかと私は思うのですが、どうでしょう。

追記
http://www.asahi.com/politics/update/0905/TKY200909050246.html

実は国交省も高速道路無料化の経済効果を試算していたようです。
経済効果は(1)走行時間の短縮(2)燃費など走行経費の減少(3)交通事故の減少、の三つの効果を金額に換算したものだそうです。

それによると、高速道路は渋滞が酷くなるので経済効果がマイナス2.1兆円だが、その分一般道がプラス4.8兆円、差し引き2.7兆円のプラス、利用者の料金負担軽減分の経済効果も含めれば、プラス7.8兆円だそうです。
また、地球環境問題についても、一般道より高速道路の方が燃費よく走れるため、今まで一般道を走っていた車が高速道路に移動するだけなら、むしろ燃費が良くなり、CO2発生量も減るようです。ただし、それはあくまでも一般道から高速に車が移動しただけ(トータルの交通量が変わらない)の場合です。今まで飛行機や新幹線、バスで移動していた人が車に切り替えた場合(トータルで車の交通量が増えた場合)の効果は不明だそうです。当然、よい効果があるはずはありません。





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最終更新日  2009.09.06 08:41:47
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