inti-solのブログ

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2009.09.24
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テーマ: 戦争反対(1197)
カテゴリ: 戦争と平和
世界には潜水艦を持つ海軍が数多くありますが、世界で唯一(多分)、陸軍が潜水艦を持っていた国があります。それはどこの国かというと、日本です。いや、潜水艦どころか、日本陸軍は空母まで持っていたのですが。

しかし、陸軍に潜水艦を建造するノウハウがあったのかと言えば、そんなものはありはしません。海軍だって、1910年代から試行錯誤を重ねて、やっと潜水艦を完成させたのに、陸軍が突然潜水艦を作って、うまく行くはずがない。

実は私の母の叔父(祖母の弟)が、戦争末期、陸軍潜水艦に乗り組んでいました。幹部候補生試験を経て、戦争末期は陸軍少尉だったそうですが、工学系の学校を出ていたため、潜水艦の機関長?(正確な肩書きはよく分かりません)として配属されたようです。
母がその叔父から聞いた話によると、実際にはほとんど潜航することは出来なかったようです。安定性が悪く、艦首が沈むと艦尾が浮いたり、艦尾が沈むと艦首が浮いたり、その度に、「何人前へ走れ」と言って、ドドドっと、乗組員が走っていって、「重し」になる、そんなことをやっていたそうです。
大岡昇平の「レイテ戦記」によると、レイテの戦いにこの陸軍潜水艦が動員され、やはり潜航することが出来ず海上をノロノロと航行して、あっという間に撃沈されています。母の叔父も、もし実戦に出動していたら、100%確実に命はなかったでしょう。幸いにして、訓練中に敗戦となりましたが。敗戦の際、みんなで自沈という話が起こって、本当に出航して帰ってこなかった艇もあったそうですが、大半の艇は、自沈の話も沙汰止みになって、母の叔父も、生きて帰ってきました。(この話は、みんな母から聞きました)

それにしても、陸軍が潜水艦と空母を持つ、なんという凄まじいセクショナリズムだろうかと思います。海軍が持っているものは、みんな陸軍も持ちたい、おそらくは海軍の側も同じだったと思われますが。それで、結果的に見て、それらの潜水艦はなんの役にも立っていません。(潜水できなかったんだから、潜水艦の意味をなしていません)ただ資材と労力を無駄に使っただけ、という結果に終わったわけです。
でも、何となく今も似たような話があちこちに転がっているんじゃないか、という気もします。

余談ですが、私の母方の家系は、教師と理工系の家系で、かつみんな音楽好きという一族です。祖母は3人兄弟で、陸軍潜水艦に乗り組んでいたのは下の弟、もう1人上の弟は、工学系+音楽好きの人でした。赤羽の工兵隊に招集されて東部ニューギニアに出征、九死に一生(どころか、九十九死に一生)を得ています。百数十人の中隊でたった1人の生還者です。





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最終更新日  2009.09.24 22:43:41
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