inti-solのブログ

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2009.10.26
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カテゴリ: 音楽
弦楽器は、音程の違う複数の弦で構成されているので、ある音を出すには必ず複数の指の押さえ方があります(弦楽器でもピアノは別ですが)。また、複数の音を同時に出せるので、和音を出すことが出来ます(これはピアノも同じ、逆にバイオリン系の弦楽器は二つの音しか同時に出せないので、コードは弾けない)。
ギターとピアノは、メロディーと和音とリズムという音楽の三要素を全て表現できるし、それを同時に演奏できるので、音色を度外視すれば、一つの楽器だけで演奏を完結させることが可能です。
その代わり、指には猛烈に複雑な動きが要求される。管楽器も指の素早い動きを要求されますが、どの指がどの音孔という位置関係は決まっているのに対して、弦楽器はどの指がどこを押さえるかも変動するので、指の開きや柔軟性もかなり要求されます。また、右手と左手で役割が違う。

それに対して、管楽器は基本的に一つの音は一つの指使いでしか出せません。部分的には、替え指で一つの音を二つの運指で出せる場合もありますが、非常に限定的です。また、同時に二つの音は出せないので、分散和音的な吹き方はできますが、基本的には旋律を吹くことしかできません。リズムを表現することは不可能ではないですが、いずれにしても、それらを1本の管楽器で同時に表現することは不可能です。
そのかわり、どの指がどの音孔を押さえるかは決まっているので(サンポーニャには音孔がないけど)、指が届いてさえいれば、それ以上の指の開きや柔軟性は要求されません。左手と右手は、同じ役割の中でポジションが違うだけです。
また、管楽器は息の続く限りは、音量を変えずに音を伸ばすことができます。弦楽器も残響はありますが、残響は音量としてはかなり小さくなってしまいます。それに、管楽器は音色がそれぞれに特徴的で、かつ非常に魅力のある例が多い。また、奏者の吹き方によって音色がかなり変わります。弦楽器は、純然たる音色については、誰が弾いてもそんなに大きくは変わりません。

私のやっているフォルクローレの世界は、基本的に1人で複数の楽器を演奏することが多く、曲ごとに担当楽器が変わることも珍しくありません。フォルクローレでなくても、いろいろな楽器を演奏する(できる)ひとは大勢いるでしょう。しかし、何となく、楽器演奏者には、弦楽器向きの人間と管楽器向きの人間がいるように思います。弦楽器は、同時並行的に複数の作業が要求されます。指にもかなりの柔軟性が要求されます。それに比べると、管楽器は単純に一つのことだけやっていればいい。指は、運指の素早さは要求されますが、ポジションは決まっているので柔軟な開きは要求されません。でも、喉と舌の繊細なコントロールは要求されます。

私の場合は、ギターも20年以上弾いていますが、正直言ってあまり上手くないし、応用が利きません。単純な話、メロディーを知っている曲なら(難しい曲でなければ)、ケーナやサンポーニャはいきなり吹くことが出来ますが(最初は間違えたりしますけど)、ギターの伴奏ではそれが出来ません。「ああでもない、こうでもない」とコードを取ってからでないと、弾いたことのない曲(メロディーを知っていても)は弾けません。
だから、どう考えても自分は弦楽器向きの人間ではないなと思います。ギターでは本当に応用がきかないし、指の柔軟性がないので、すぐに指が届かなくなります。

今回演奏したキラ・ウィルカでも、私ともう1人(Yさん)がギターを担当したのですが(私はギターは3曲だけで、残りは全部Yさんが弾いています)、私よりYさんの方が「このコードはこう」ということがパッと分かるのです。だから、少なくとも私よりは彼の方が弦楽器よりの人間だな、と思ったのでした。

ところで、私のギターはメキシコのアグスティン・エンリケスという製作者のものですが、弦長が66cmもあって(ふつうは64cmか65cm)、すごく押さえづらいのです。B♭なんて拷問です。ギター20年も弾いていて、いまだにB♭が苦手なんて言いたくないんですけどね。
実は、そのギターを手にする前は日本のM社のギターを弾いていたのですが、こちらは弦長64cmで、非常に弾きやすい。B♭も楽々です。でも、このギターは今ではほとんど弾いていません。弾き比べると、低音が全然違うのです。アグスティン・エンリケスのギターは、低音がとてもよく響く。M社のギターは、低音が何だか軽い。ちなみに、M社のギターは5万円で、一番安いクラスでしたが、アグスティン・エンリケスのギターは280ドルかそこらでした。当時のレートでは3万円を超えていましたが、それでもM社より安かった。(メキシコと日本では物価水準は違いますが)





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最終更新日  2009.10.26 23:38:00
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