inti-solのブログ

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2011.03.26
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カテゴリ: 災害
福島第一原発事故、スリーマイル超えレベル6相当に


原子力安全委員会は、SPEEDI(スピーディ)(緊急時迅速放射能影響予測)システムで放射能の広がりを計算するため、各地での放射線測定値をもとに、同原発からの1時間あたりの放射性ヨウ素の放出率を推定した。事故発生直後の12日午前6時から24日午前0時までの放出量を単純計算すると、3万~11万テラベクレル(テラは1兆倍)になる。
国際原子力事象評価尺度(INES)は、1986年のチェルノブイリ原発事故のような最悪の「レベル7=深刻な事故」を数万テラベクレル以上の放出と定義する。実際の放出量は約180万テラベクレルだったとされる。今回は少なくともそれに次ぐ「レベル6」(数千~数万テラベクレル)に相当する。
経済産業省原子力安全・保安院は18日、福島第一原発の1~3号機の暫定評価を「レベル5」と発表したが、今後放出量の見積もりが進めば、再検討される可能性が高い。
土壌の汚染は、局地的には、チェルノブイリ事故と同レベルの場所がある。
原発から北西に約40キロ離れた福島県飯舘村では20日、土壌1キログラムあたり16万3千ベクレルのセシウム137が出た。県内で最も高いレベルだ。京都大原子炉実験所の今中哲二助教(原子力工学)によると、1平方メートルあたりに換算して326万ベクレルになるという。
チェルノブイリ事故では、1平方メートルあたり55万ベクレル以上のセシウムが検出された地域は強制移住の対象となった。チェルノブイリで強制移住の対象となった地域の約6倍の汚染度になる計算だ。今中さんは「飯舘村は避難が必要な汚染レベル。チェルノブイリの放射能放出は事故から10日ほどでおさまったが、福島第一原発では放射能が出続けており、汚染度の高い地域はチェルノブイリ級と言っていいだろう」と指摘した。
金沢大の山本政儀教授(環境放射能学)によると、1メートル四方深さ5センチで、土壌の密度を1.5程度と仮定すると、飯舘村の1平方メートルあたりのセシウム濃度は約1200万ベクレルに上る。チェルノブイリの約20倍。「直ちに避難するレベルではないが、セシウムは半減期が30年と長い。その場に長年住み続けることを考えると、土壌の入れ替えも必要ではないか」と話した。
健康への影響はどうか。チェルノブイリ原発事故では、強制移住の地域では平均50ミリシーベルト程度の放射線を浴びたとされる。しかし汚染地での長期の住民健康調査では、成人では白血病などの発症率は増えていない。

長瀧重信・長崎大名誉教授(被曝医療)は「チェルノブイリ原発事故後でも小児甲状腺がん以外の健康障害は認められず、すぐに健康を害するとは考えにくい。高い汚染が見つかった地域では、データをもとに住民と十分に話し合って対応を考えてほしい」と話している。
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国際原子力事象評価尺度によれば
レベル5 放射性物質の外部流出が数百~数千テラベクレル
レベル6 〃 数千~数万テラベクレル
レベル7 〃 数万テラベクレル以上
となっています。
今回の事故の放射性物質放出量が、現段階までで3万~11万テラベクレルということは、「少なくともレベル6、おそらくレベル7」という方が、より正しいでしょう。しかも、これはあくまでも「現段階(24日午前0時)で」の話です。原発からの放射能の流出は、止まったわけではないので、この数字が今後更に大きくなる可能性も充分ある。

ちなみに、京都大学原子炉実験所の 原子力安全研究グループ によると、チェルノブイリで放出されたセシウム137の総量は、広島原爆の800倍とのことです。一方、 ウィキペディアの記述 によると、チェルノブイリで外部に放出された放射性物質の総量は広島原爆の400倍だそうです。これらの数字から換算すると、今回の原発事故によって、広島原爆のおよそ8~50倍の放射性物質が放出された、ということになります。



それでも、「現段階では」今回の事故はチェルノブイリより遙かに小さな規模の事故(20分の1から50分の1)とは言えます。ただし、チェルノブイリ事故のあった旧ソ連より、日本の方が遙かに国土が小さく、人口密度が高い、という事実にも留意すべきでしょう。チェルノブイリ事故の後強制移住の対象となったのは事故当初は約11万人、その3年後に新たな汚染がわかり、更に27万人、合計40万人とされているそうです。避難対象地域は、何と1万平方キロ。後に縮小されたけれど、現在でも3700平方キロが立ち入り禁止になっているとのことです。

残念ながら、福島第一原発の事故においても、同様に広大な面積が長期間の立ち入り禁止になることは避けられないでしょう。仮にチェルノブイリの2~6%という放射性物質の量が立ち入り禁止区域の面積に比例すると仮定すると、70~200平方キロが数十年にわたる立ち入り禁止地区ということになります。
永久的移住を要する人数は、果たしてどのくらいでしょうか。チェルノブイリの2~6%という人数では済まないに違いありません。

朝日の記事には、「直ちに避難するレベルではないが」「すぐに健康を害するとは考えにくい。」などという文字が躍っていますが、「直ちに」「すぐに」ではなくとも、長期的な影響はどうなのか、という疑問には何も答えていません。
1平方メートルあたり4万ベクレル以上の放射性物質がある場合、放射線管理区域に指定されます。飯舘村の数値はそれを遙かに上回る。そりゃ、レントゲン室に毎日寝泊まりしたからといって、「すぐに健康を害するとは考えにくい」でしょうが、かといって、長期的に影響がまったくない、ともとても思えません。






昨年9 月、IAEAやWHO など国連関係8団体とウクライナ、ベラルーシ、ロシア政府の専門家で構成される「チェルノブイリ・フォーラム」がウィーンのIAEA本部で国際会議を開き、「チェルノブイリ事故による放射線被曝にともなう死者の数は、今後発生するであろうガン死も含めて全部で4000人」という報告を行った(1)。これを受けて日本の新聞は、「数万~数10 万人と言われていた従来の死者の数に比べ大幅に減った」と報道した。
(中略)
総死者4000 人というフォーラム報告の結論は、「放射線被曝にともなう死者の数」について評価したものである。その内訳は、これまでに確認された死者が56 件(急性放射線障害28 人、急性患者のその後の死者19 人、子ども甲状腺ガン死9人)、また被災者60 万人に予測されるガン死3940 件、両方を合わせて総死者4000件ということになっている。
揚げ足取りに近いが、「これまでに確認された死者」には、「これまでに確認されていない死者」は含まれていない。子ども甲状腺ガン死9人の内訳は、ベラルーシ8人、ロシア1人となっていて、不思議なことにウクライナがなかった。私は、昨年10月にウクライナ・キエフの内分泌研究所を訪問する機会があった。その病院の話では、子どもの甲状腺ガンはこれまでに約400例で、そのうち約15例が死亡した、とのことだった。つまり、ウクライナで子どもの甲状腺ガン死がなかったのではなく、フォーラムが「確認していなかった」だけであった。
チェルノブイリの事故処理作業者のうちには、大変な放射線量のなかで、原子炉建屋のまわりに散乱したガレキを片づけ、破壊された原子炉をコンクリートで囲む「石棺」の建設作業に従事し、かなりの被曝を受けた人々がいた。夫や息子が早死した原因は事故処理作業だった、と多くの妻や母親が訴えている。事実を確認する
すべは私にはないが、そうした死者は「確認されていない」としてすべて無視したのがフォーラム報告の数字である。56 人という数は、「これ以下ではない」というミニマムの死者数と考えている。





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最終更新日  2011.03.26 13:02:57
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