inti-solのブログ

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2012.03.10
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カテゴリ: 環境問題
明日で、東日本大震災から1年になります。被災地はどこも、甚大な被害を受けましたが、それでも現在は復興に向けて困難でも着実な歩みを進めています。ところが、福島第一原発の避難区域だけは、何も動いていません。そもそも、人が住めない(高齢者を中心に、避難指示を無視して住み続けている人が多少いるようですが)。
そもそも、原発事故が全く終息していません。政府は「冷温停止」と強弁していますが、そもそも炉心がぶっ壊れている状態、燃料棒がどこに解け落ちているかも確認できない状態、判断の最大の根拠である温度計が次々と壊れている(ということになっている)状態で、「冷温」「停止」などというのは、実体を伴わない作文だと考えるしかありません。

福島第一原発は(第二原発もですが)もはや廃炉以外の選択肢はあり得ません。しかし、いったいいつまでに、どうやって廃炉が実現できるのか。通常の状態で運転を終了した原発でさえ、廃炉には30年前後の期間を要するし、小型の実験炉はともかく、何十万キロワット、あるいは100万キロワットクラスの商業原子炉の廃炉作業は、日本ではまだ行われてもいないのです。あのようにぶっ壊れてしまった原子炉から核燃料をどうやって抜き取るのか、原子炉や建屋をどうやって解体するのかと考えれば、廃炉作業は100年かかっても不思議はないと思います。その間にいったいどれだけの作業員が被曝するでしょうか。今は、原発推進派は「原発の放射能で直接死んだ人はいない」と豪語していますが、この原発事故が終息するまでに、放射能で直接死ぬ人が出ないかどうかは、今の時点では何とも言えないのです。

さらに言えば、常々書いているように大きな地震は連鎖して起こる傾向があります。東海/南海/東南海地震も気になるところですが、東日本大震災の被災地を再度大きな地震が襲う可能性だって、そんなに低くはないはずです。思い返せば、2004年に新潟中越地震があって、2007年には新潟中越沖地震がありました。
原発が半壊している状態で、再度震度6とか7の地震が来たら、今度はいったいどういうことになるのでしょうか。

原発周辺の避難区域は、全域が高濃度で汚染されているわけではないので、今後縮小されていくでしょう。しかし、避難区域がなくなることはありません。高濃度で汚染されている地域もあるからです。そのような地域は、今後おそらく長期にわたって無人地帯とならざるを得ないでしょう。人が再び住めるようになるのは、果たして30年後か40年後か。チェルノブイリでは、事故から26年経った現在でも、広大な面積が立入り禁止となったままです。

話は変りますが、各紙今朝の朝刊に、放射性ヨウ素の被爆問題が取り上げられています。

甲状腺被曝、最高87ミリシーベルト 50ミリ超も5人

甲状腺被曝はがんのリスクがあるが、ヨウ素は半減期が短く、事故直後の混乱などで、きちんとした計測はされておらず、詳しい実態は分かっていなかった。
床次さんらは昨年4月11~16日、原発のある福島県浜通り地区から福島市に避難してきた48人と、原発から30キロ圏周辺の浪江町津島地区に残っていた住民17人を対象に、甲状腺内の放射性ヨウ素の濃度を調べた。この結果、8割近い50人からヨウ素が検出された。
この実測値から、甲状腺の内部被曝線量を計算した。事故直後の3月12日にヨウ素を吸い込み、被曝したという条件で計算すると、34人は20ミリシーベルト以下で、5人が、健康影響の予防策をとる国際的な目安の50ミリシーベルトを超えていた。
最高は87ミリシーベルトで、事故後、浪江町に残っていた成人だった。2番目に高かったのは77ミリシーベルトの成人で、福島市への避難前に同町津島地区に2週間以上滞在していた。子どもの最高は47ミリシーベルト。詳しい行動は不明だ。
国が昨年3月下旬、いわき市、川俣町、飯舘村の子ども1080人に行った測定では、35ミリシーベルトが最高値と公表されていた。

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87ミリシーベルトというのは、あえて避難区域に残る選択をされている方なので、おそらく高齢者なのだろうと思います。それよりむしろ、子どもの47ミリシーベルトの方が大問題です。子どものいる家庭で、避難区域に残る選択をした家庭は、おそらくないでしょう。同程度の被曝をした子どもが大勢いるとしたら、将来甲状腺ガンが増加することは不可避でしょう(5~6年後には、はっきりするでしょうが)。


それにしても、原発事故によってこれほど大きな被害と健康への不安が生じたにもかかわらず、それでもまだ原発を続ける理由というのは、いったいなんでしょうか。

原発抜きでは電力供給が不安である、ということがよく言われます。しかし、現に原発の稼働数が2基だけになった現在でも、電力はどうにかこうにか足りているではないですか。石油や天然ガスは有限の資源ですし、ほとんど輸入に頼っていると言う人がいますが、それはウランも同様です。ウランの確認埋蔵量は石油よりは多少多いものの、天然ガスよりは少ないのです。(現在、火力発電にしめる石油の割合は少なく、天然ガスの方がはるかに多い)
それに、にほんではウランは全く産出しないので全量輸入です。核燃料サイクルが実現すれば、「核燃料は自給できる」と言うことも可能になるでしょうが、核燃料サイクルが完全に破綻しているのは明らかです。
もちろん、天然ガスに永久に頼り続けて良いわけではありません。石油も天然ガスも、もちろんウランも、使い続ければいつかは枯渇する。石油はCO2を排出するし、天然ガスも石油よりはずっと少ないとはいえCO2を排出する(石炭がCO2の排出は一番多い)。もっとも、原発だって核反応自体ではCO2を排出しなくても、それ以外の部分でかなりのCO2を排出するのですが。
だから、最終的には太陽光、風力、水力(特に小規模水力)、地熱、潮力などの再生可能エネルギーに発電力の多くを置き換えて行かなくてはなりません。ただ、そのための時間の猶予は充分にあるのです。
一方、原発が次の地震に襲われるまでの時間の猶予は、果たしてどのくらいでしょう。そんなに長くはないのではないかと思います。





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最終更新日  2012.03.11 08:53:25
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