inti-solのブログ

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2012.05.06
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カテゴリ: 環境問題
昨日の夜11時頃に北海道電力の泊原発が停止し、日本中のすべての商業原発が運転を停止しました。一時的ではあるかも知れないけれど、日本は原発に全く依存しない状態になりました。一部のマスコミは、それを「異常事態」だと主張しています。

「原発ゼロ」 異常事態から即時脱却を 安全技術の継承は生命線だ (5月6日産経社説)
北海道電力の泊原子力発電所3号機が定期検査に入り、日本国内の全原発50基が運転を停止する「原発ゼロ」が現実になった。
電力の3割を担ってきた原発の稼働が皆無という前例のない異常な事態を深刻に受け止めたい。
定期検査を終えて再稼働を待つ関西電力の大飯原子力発電所3、4号機(福井県)の復帰見通しは立たないままだ。地元理解の獲得や最終的な政治判断の段階に至っていないためである。
暮らしや経済を支える電力供給は、需要ピークの夏場に綱渡りを強いられる情勢だ。だが、こうした事態を迎えても、野田佳彦政権から一向に危機感が伝わってこないのは異様である。(以下略)

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全原発停止 これでは夏の電力が不足する (5月5日付・読売社説)
国内で1基だけ稼働している北海道電力泊原子力発電所3号機が5日、運転を停止する。全国50基の原発がすべて止まり、全電源の3割が失われる異常事態だ。
原発の稼働がゼロになるのは、原発がわずか2基だった1970年以来、42年ぶりである。
東京電力福島第一原発の事故の影響で、定期検査で止めた原発を、検査を終えた後も再稼働できなくなっていることが原因だ。
事故の教訓を踏まえ、原発の安全性を再確認するのは重要だ。だが、政府の原子力政策が迷走し、再稼働への手続きにブレーキをかけた点は看過できない。
菅前首相による突然の「脱原発宣言」など場当たり的な対応は、原発への不信を増幅させた。「やらせメール問題」をはじめ、電力会社や原子力安全・保安院の不祥事も、足を引っ張った。
野田首相らは4月中旬、新たな判断基準で関西電力大飯原発3、4号機の安全を確認し、再稼働は妥当だと判断した。しかし、地元の理解を得られず、調整はなお難航している。枝野経済産業相の発言がぶれた影響も大きい。
このままでは電力需要が膨らむ夏に間に合わない恐れがある。(以下略)

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しかし、私はすべての原発が止まったことが異常事態だとは思いません。去年の震災による福島第一原発の事故こそが異常事態であり、あれほどの大事故が起こったにもかかわらず、そのまま漫然と原発の運転を続ける方がよほどおかしなことです。
日本は地震列島であり、過去の例から言っても巨大地震は連動して起こる傾向があります。つまり、今後も近い将来別の巨大地震が起こる可能性は、決して低くはない。それにも関わらず今までどおり原発を稼働し続けようという感覚は、異常としか言いようがありません。
原発は危険だから停止する、それこそが正常な感覚であると私は思うのです。

読売の社説は

と言いますが、これはどう見ても「へりくつ」の類でしかありません。原発への不信は、福島第一原発の事故に最大の原因があり、その後明らかになった電力会社や原子力ムラの所業、安全「神話」の裏側の実態などが、その不信を増大させたのです。政府が浜岡原発すら止めず、これまでどおりの原発推進を続けていたとしたら、原発に対する不信と反発は更に大きくなっていただろうと思います。

世論調査を見ても
昨年6月の朝日新聞調査
「原子力発電を段階的に減らして将来はやめる」ことに74%が賛成、反対は14%
同8月の毎日新聞調査では
原子力発電所に対し「今すぐ廃止すべきだ」が11%、「時間をかけて減らすべきだ」が74%、「減らす必要はない」は13%
となっています。
菅前首相の脱原発宣言は昨年7月13日に出されています。その内容は「原発即時全廃」というものではなく、「段階的に原発依存度を下げ、将来は原発がなくてもきちんとやっていける社会を実現する」という趣旨です。
上記の毎日新聞の調査は脱原発宣言より後ですが、朝日の調査はそれ以前のことです。つまり、菅直人の脱原発宣言の前も後も、国民の原発への冷たい視線は、そう大きくは変っていないということです。

ただし、このまますんなりと永続的な原発ゼロ状態に移行できる、とは思えません。おそらく近いうちに原発のいくつかは再稼働ということになってしまうでしょう。それ自体は仕方がないと私は思っています。以前から度々書いているように、私は10年くらい時間をかけて、段階的に原発を全廃すべきだと考えています。当然、その過程で、過渡的に原発(浜岡や「もんじゅ」など、立地条件や老朽化その他危険な原発はのぞき)が稼働するのは仕方がない。ただし、その場合は廃炉の時期を明文で定めることが再稼働の絶対条件です。
上記の世論調査の結果から類推する限り、私と同様に「時間をかけて脱原発」というのが民意の多数派だろうと思われます。つまり、脱原発に向けたタイムスケジュールを明確にした上での再稼働ということなら、抵抗も大幅に減るだろうと思うのですが、原発推進派がそういう方向性に進む気配はありません。つまり、政府も電力会社もほとぼりが冷めるのを待って、もとどおり原発を推進する気満々だ、ということなのでしょう。
冗談ではない、と思います。なし崩し的に原発推進に戻る前提なら、いかなる再稼働にも私は反対です。



関西電力:オール電化住宅なお促進
今夏の電力需給が全国で最も逼迫(ひっぱく)する関西電力が、調理や給湯などをすべて電気でまかなうオール電化住宅の販売促進を続けていることが4日、分かった。政府試算で今夏の電力供給能力が最大需要より15%足りないと見込まれる同社管内で、需要を拡大させるオール電化推進には批判が上がりそうだ。
関電広報室によると、完全子会社でオール電化機器の販売会社「かんでんEハウス」(大阪市)が関電管内の加盟店に取引量に応じて値引きし、事実上の販売奨励を行っている。昨年12月までは、オール電化を販売した電器店や施工会社に「電化手数料」も支払っていた。
(中略)NPO法人「地球環境と大気汚染を考える全国市民会議」の試算では一般家庭がオール電化に切り替えた場合、年間の消費電力量は27.8~93.3%増加する。
関電広報室は「オール電化を通じて、低炭素社会の実現と、ピーク需要の抑制に向けた取り組みを推進しており、継続していきたい」と、今後も推進する構えだ。(以下略)

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東京電力は、さすがに震災の後オール電化住宅の新規募集を停止していますが、関西電力はどこ吹く風とばかりにオール電化を推進しまくっているというのです。
片方の口で電気が足りないと言いつつ、もう片方の口で「もっと電気を使ってください」と言っているんだから、こういうのは「マッチポンプ」と言います。しかも、この期に及んでなお、オール電化推進を継続するというのですから、気は確かかと思います。こんなことをやっていて電力不足だから原発を再稼働させろというのは、あまりに虫が良すぎないでしょうか。

現代社会において、電気は必要不可欠です。そのことは間違いありません。脱原発を言うと、時々「だったら電気を使うな」的な頭の足りない脊髄反射をする人がいますが、誰も電気を使わずに現代社会が維持しろと言っているわけではありません。原発のシェアは3割と言われますが、これは発電量に占める原発の割合で、設備そのものの容量では2割です。その、たった2割をやめにするために知恵を絞ろうと言っているに過ぎないのです。





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最終更新日  2012.05.06 13:16:51
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