inti-solのブログ

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2012.06.23
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テーマ: 戦争反対(1197)
カテゴリ: 戦争と平和
今日6月23日が沖縄戦終結の日とされるのは、第32軍司令官の牛島中将と参謀長の長中将が、1945年のこの日に軍司令部で自決したことによります。しかし、もちろん実際にはそれ以降も激しい戦闘が続いています。日本軍は「戦陣訓」によって、敗北の後も投降することを禁じられていたし、第32軍は最後に「爾後各部隊は各局地ニオケル生存者ノ上級者コレヲ指揮シ最後マデ敢闘シ悠久ノ大義ニ生クベシ」という命令を発しているので、これによって、司令部の壊滅後も多くの将兵、さらには民間人もが意味のない戦闘で犠牲を増やす結果となっています。もっとも、それは沖縄戦に限らずアジア太平洋戦争全般について言えることではありますが。


その長勇は、1937年12月、南京攻略戦の最中に、中国兵の投降者について「ヤッチマエ」と命令し、南京大虐殺の原因の一つを作った人物でもあります。これも、もちろん長勇の命令「だけ」が虐殺の原因だったわけではありませんが。沖縄戦においても、長はきわめて評判の悪い人物です。何しろ、玉砕の直前まで自分専属の板前を連れ歩いて自分専用の食事を作らせ、常時酒浸りで作戦指揮を行っていたというのですから。それで、「最後まで戦って死ね」(「最後マデ敢闘シ悠久ノ大義ニ生クベシ」というのは、意訳すればそういうことです)という無責任な命令だけ残して、本人はとっとと自決してしまったわけです。

沖縄戦の日本側犠牲者数は、沖縄県援護課が発表した数字では約18万8千人、そのうち軍人と民間人の死者がほぼ半数ずつということになっています。この数値の信憑性については 以前に記事を書いた ことがあります。要するに、民間人の犠牲者は、この公式数値よりずっと多い可能性が高い、ということです。
一説には民間人の犠牲者15万人とも言われます。軍人の犠牲者約9万4千人という数字は(完全ではないにしろ)比較的正確な数字と思われますが。この9万4千人のうち、沖縄県外出身者が約6万6千人と沖縄県出身の軍人・軍属が約2万8千人とされます。

※ただし、摩文仁の丘の「平和の礎」には県外出身の軍人・軍属の犠牲者7万7千人の氏名が刻まれているそうです。ということは、比較的正確と思われた軍人の犠牲者数についても誤差があるのでしょうか。氏名の分からない犠牲者は刻銘できませんから、実際の犠牲者数>平和の礎の刻銘数、であるはずなのです。もっとも、戦死の定義の違いが原因である可能性も否定できません。米軍の犠牲者についても、米軍が認める戦死者数より平和の礎の記名の方が多いのですが、これは、米軍では負傷後24時間以内に死亡した者のみを「戦死者」と定義している(それ以降の死者は「戦闘によらない死傷者」となる)のに対して、平和の礎は「1945年9月7日後、沖縄県の区域内において戦争が原因でおおむね1年以内に死亡した者」を刻銘していることが原因と思われます。日本軍(県外出身将兵)の死者についても、似たような事情があるかも知れません。

いずれにしても、沖縄戦においては、死者の少なくとも半分、おそらくは半分以上が非戦闘員であったということは、留意しなければなりません。アジア太平洋戦争全体としてみれば、日本の死者約310万人のうち、非戦闘員の死者は100万人に届きません。非戦闘員の死者は全体の3割以下と思われますが、沖縄戦だけは半分以上。その理由は、言うまでもなく沖縄が日本の領土で数少ない地上戦が行われた場所だからです。もし本土決戦などということになっていたら、沖縄戦の悲劇が日本全国で拡大再生産されていたはずです。
沖縄(と北方領土の一部)だけが、住民を巻き込んでの地上戦という悲惨な体験を強いられることになったのです。


それにしても、戦後日本国は、これだけの犠牲を強いた沖縄に対して、どれだけの「特別ノ御高配」を与えたかは、少々心許ないものを感じます。

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話はまったく違いますが、Wikipediaによると、太田実中将のご子息は戦後 長男 は教員で平和活動家(原水協や歴史教育者協議会に参加)、一方 三男 と四男は海上自衛隊の自衛官と、実に対極的な人生を歩んだとか。人の進む道というのは、案外紙一重なんだなあと思います。





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最終更新日  2012.06.24 11:33:11
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