inti-solのブログ

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2012.10.29
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カテゴリ: 災害
原発と活断層 リスクと利便折り合いを

島崎邦彦委員長代理ら5人の専門家で構成される現地調査団が、その任にあたる。
関西電力の大飯原子力発電所(福井県おおい町)が最初の対象になっている。目下、原発が稼働している国内唯一の発電所である。予断にとらわれることなく、公正かつ冷静な調査を期待したい。
福島第1原子力発電所の事故以降、原発に対して安全性の向上が強く求められている中での調査である。大飯原発に続いて、北陸電力の志賀原子力発電所など計6カ所の発電所で地層の現地調査が行われる。
建設当時の基準では、6原発とも耐震設計指針に抵触するところはなかった。だが、平成18年に改定された現行の基準に照らすと、活断層を含む可能性が生じ得るとされ、再調査となった。
活断層は過去の地震発生を物語る地層の古傷である。現行の基準では12万~13万年前までの古傷に注目しているが、島崎氏は40万年前までの古傷を活断層に含める考えを示している。
政府の地震調査研究推進本部は以前から40万年を目安にしているので、学問上の整合性はとれる。だが、地質年代の幅が広がると地震を起こす活断層かどうかの判断が難しくなる事例も増えよう。
その際に、安全優先の立場から「灰色」を「黒」と判定し、原発を片端から廃炉に追い込むような硬直した判断の愚は、あってはならないことである。
日本列島は4枚のプレート(岩板)がせめぎ合う会合点に位置している。そのため、地下にはひずみがたまって多くの断層を抱えている。日本人は現代社会においても、活断層のリスクと暮らしの利便性の折り合いを上手につけている。高速道路しかり、新幹線もまたしかりである。
活断層は千年に1度、長ければ2万年に1度という頻度でしか動かない。だからといって原発直下の亀裂を軽視してよいことにはならないが、同時に日本がエネルギー資源の極貧国であることを忘れてしまっても、取り返しのつかない災厄を招く結果になる。
規制委には思慮深く、均衡のとれたリスク判断を求めたい。

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思慮浅く、均衡の取れないリスク判断しかできない産経新聞に、そんなことを言われてもね、と思います。
産経(に限らず原発推進派全般)は、電力不足のリスクは極大に、地震のリスクは極小に見積もることで、今もなお原発推進を叫び続けているわけです。
「建設当時の基準では、6原発とも耐震設計指針に抵触するところはなかった。」というのは、はっきり言ってうそです。志賀原発についしては、 以前に記事を書いた ことがあります。
当時の報道で、「三人の専門家が『典型的な活断層だ。あきれてものも言えない』と、地震で動く可能性を指摘した。」と報じられています。つまり、「耐震設計指針に抵触するところはなかった」のではなく、当時の指針にも抵触するのに、それを隠して抵触しないことにしていただけ、という可能性が高いのです。それを「建設当時の基準では~抵触するところはなかった。」と、ミエミエのうそをつくのだから、まったくタチの悪い新聞です。

ちなみに、本来は「活断層」の定義は新生代第四紀に動き、今後も活動する可能性がある断層を言います。第四紀というのは、おおむね200万年前以降の時代なので、実は40万年前以降という新しい基準ですらも、まだ甘いのです。
「活断層は千年に1度、長ければ2万年に1度という頻度でしか動かない。」ともありますが、これも果たしてどうでしょう。ひとつの活断層が動く頻度が仮に産経のいうとおりだったとしても、50基の原発のすべてが活断層近辺にあると仮定すれば、20年から400年に1回はどれかの活断層が動く、ということになります。しかも、現在の日本列島は明らかに地震の活動期に入っており、地震の発生確率は高まっています。
去年の震災の後、全国の11の活断層帯の地震頻度が、震災以前と比べて10~70倍上昇したという 報道があります
「原発直下の亀裂を軽視してよいことにはならないが、同時に日本がエネルギー資源の極貧国であることを忘れてしまっても、取り返しのつかない災厄を招く結果になる」つて、結局どうしろ、と言うことでしょうね。結局は、原発直下の亀裂なんか軽視しろと言外に言っているに等しいとしか思えないのですが。





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最終更新日  2012.10.29 22:27:52
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