inti-solのブログ

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2014.09.07
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テーマ: ニュース(95880)
カテゴリ: 環境問題
ニホンオオカミ、固有種ではない 岐阜大が遺伝子解析

研究チームは本州や九州、四国に生息していたニホンオオカミ6頭の骨から、細胞に含まれるミトコンドリアのDNAを採取。北米や欧州にいる57頭のオオカミのDNAなどと比較した。オオカミは現在、ハイイロオオカミ1種だけが生息しているとされている。
解析の結果、ニホンオオカミは、ハイイロオオカミと同じ種であることがわかったという。12万~13万年前に枝分かれした亜種とみられる。朝鮮半島と陸続きだった時代に渡ってきたと考えられるとしている。

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かつて、日本には北海道にエゾオオカミ、本州・四国・九州にホンドオオカミという2つの系統のオオカミが住んでいました。そのうち、エゾオオカミがハイイロオオカミ(タイリクオオカミ)の一亜種であることは従来から広く認められていましたが、ホンドオオカミは亜種説と別種説があって、はっきりしていませんでした。何しろ、エゾオオカミもホンドオオカミも、100年以上前に絶滅しており、標本もあまり残っていないので、調査もなかなか難しかったわけです。でも、数少ない標本からDNAを抽出してハイイロオオカミと比較したところ、やっぱり同一種という結論に至ったようです。

オオカミと同一種といえば、犬も分類上はオオカミの一亜種ということに、現在はなっています。オオカミの仲間(イヌ属)には、ハイイロオオカミ、コヨーテ、ジャッカル数種がいます。困ったことに、これらの各種は相互に交雑可能なのです。だから、イヌの祖先がオオカミなのかジャッカルなのか、DNA鑑定の技術が進歩するまでは、正確なところはわからなかったのです。概ねオオカミだろうとは思われていたけれど。したがって、かつてはイヌも独立した種として分類されていたけれど、現在ではオオカミの一亜種とされています。
イヌといえば、シベリアンハスキーとかグレート・ヒレニーズみたいな大型犬からチワワやチンのような小型犬まで、大きさも毛並みも色も、まったくまちまちですが、すべて分類上はオオカミの一亜種であるイヌに属します。
そのことから考えれば、ハイイロオオカミと多少大きさや形態が違っても、それを以ってホンドオオカミを独立種と考えるのは、無理があったというべきなのでしょう。

ちなみに、絶滅の時点では本州・四国・九州にホンドオオカミ、北海道にエゾオオカミという住み分けになっていましたが、最終氷期(約7万年前から1万年前までの時代)には、本州にもエゾオオカミが分布していたようです。静岡県で、現生のオオカミと比べても最大級のオオカミのあごの化石が発見されています。ベルグマンの法則といって、哺乳類と鳥類(つまり恒温動物)では、同じ種類、近縁種同士では、寒冷地に分布するものにほど体が大きくなる傾向があります。これは、オオカミとイヌ属全般にも当てはまり、ホンドオオカミはオオカミの中では比較的小型で、エゾオオカミはそれよりだいぶ大きかったようです。氷河期の関東や中部地方は、今の北海道並の寒さだったので、その頃は北方系でより大型のエゾオオカミが本州にいたのでしょう。

それにしても、「種」というのは生物の分類上の基本単位ですが、所詮は人間が便宜上定めた概念なので、実際にはなかなかスパッと割り切れない場合が多々存在することが、オオカミの例からも分かります。





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最終更新日  2015.12.25 07:10:12
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