inti-solのブログ

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2014.09.12
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テーマ: 戦争反対(1197)
カテゴリ: 戦争と平和
朝日新聞が、いわゆる吉田証言に関する記事を取り消した後も批判が止まず、とうとう全面謝罪に追い込まれてしまった、とのことです。誤った証言を、そうと気づかずに報じてしまい、後になって誤りに気がついた、それを取り消す場合、仮にそれが不可抗力の誤りだったとしても、読者に対して謝罪を行うのは、これは営利企業としてお金を取って新聞を発行している以上はやらなければならないことだったのではないか、と思います。例えば、台風とか様々な天変地異によって電車が止まるのは明らかに不可抗力ですが、それでも電車が止まれば、鉄道会社は乗客に対しては「お急ぎのところ申し訳ありません」と言うわけです。

ただ、最初の「記事を取り消します」の際にお詫びをして、池上氏の連載の掲載拒否をしなければ、右翼の連中が騒がなかったか、と言えば、そうは思えないですけど。

今回、躍起のなって朝日を攻撃している読売や産経だって、自分たちが誤報を行った場合に謝罪しているかと言うと、全然そんなことはないのです。イデオロギーがからむ部分での謝罪は、とりわけしない。
自社を批判する週刊誌の広告掲載拒否だって、他紙で前例は多々あります。読売新聞が、押し紙報道のときだったか、清武の乱のときだったか、その両方だったかもしれないけど、自社を批判する雑誌広告の掲載を拒否している。


ま、正直言って私自身は朝日新聞を購読していないので(昔、家賃38000円の安アパートに住んでいた頃は東京新聞を、転居して以降は毎日新聞を購読している)、問題となった吉田証言を紹介する記事も、今回のそれを取消した記事も、読んでいないのです。(福島第一原発の吉田調書も同様)
ネット上の朝日新聞のサイトでは、記事の冒頭部分しか読めないですから。なので、記事を読んだ上での感想ではないことは、お断りしておきます。

で、過去何度も書いているように、慰安婦問題の本質というのは、慰安婦を軍が直接強制連行してきたのか否か、という問題ではありません。軍が、軍事上の必要によって、慰安所という制度を発案し、それによって人権を踏みにじられた女性が大勢いた、ということが問題の本質です。
例によって、池田信夫が、こんなことを書いています。

外務省は韓国の情報戦に応戦せよ


この点は、世界の大勢は、狭義の強制性があるかないかについて、ほとんど関心がないという点につきる。アメリカの世論は、今、自分の娘がそういう立場に立たされたらどう考えるか、そして「甘言をもって」つまり「騙されて」連れてこられた人がいたなら、それとトラックにぶち込まれた人と、どこが違うのかという立場に収斂している。

この事実認識は正しいが、論理的にはナンセンスだ。人身売買は今でも世界中で行なわれているのに、なぜ70年前の日本軍の人身売買だけ問題にするのか、さっぱりわからない。これは「戦争犯罪」だから問題になったので、軍の強制連行を否定した段階で終わっているのだ。



いや、この人は本当に物事の本質が分かっていないな、と思います。そもそも、世界は70年前の日本の人身売買「だけ」を問題にしているわけではないでしょう。現在進行形の様々な人身売買を問題としつつ、日本軍の従軍慰安婦「も」問題にしているに過ぎないのではないでしょうか(韓国は、もちろんそうではないですが)。

確かに、人身売買は今でも世界中で行われているのは事実です。しかし、政府が奴隷制を法的に公認していは国は、さすがにありません。

人身売買は違法だが、政府に取り締まる能力がない
政府が人身売買を黙認している
政府自身が人身売買に加担している

人身売買がある、という状態は同じでも、政府の責任は同じではありません。いうまでもなく、政府自身が人身売買に加担している場合は、たんに取り締まる能力がないだけよりも、より悪質度が高いと言わざるを得ないでしょう。

そして、もうひとつ言えることは、人身売買を正当化する言説を世界はより問題視している、ということです。米国下院の121号決議の際、日本の右翼の反論意見広告が、むしろ決議への賛同者を増やす結果となったという事実がありました。
米国の政治家が、「奴隷の人身売買は世界中にあるのに、なぜ米国で150年前に終わった黒人奴隷だけが悪いのだ」なんてことを公言したらどういうことになるか、ちょっと考えれば分かることでしょう。
人間の反応というのは、そもそもそういうものです。開き直りはより大きな反感を招く、それは、別にこの問題に限ったことではなく、普遍的な法則です。その程度のことが「さっぱりわからない」ようでは、人間というものを分かっていないな、としか思えません。





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最終更新日  2014.09.12 23:08:22
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