inti-solのブログ

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2014.10.06
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カテゴリ: 災害
防災の日に思う 地学教育を空洞化させた 文科省と教育委員会の責任は重い


その原因は、緊急時や日常の備え等のマニュアルの普及を繰り返すだけで、本質的な防災教育を担うはずの地学教育が空洞化しているために、基本的な知識や素養が日本の国民全体にかけてしまっているからではないか。
後述するように、日本では、ほとんどの国民全てが高校に進学するが、理科の中で、あらゆる自然災害や防災について学ぶことができる「地学」の授業を受けた者は、役所の職員にも、学校の理科の教員にも、非常に少なくなっている。子供を育てる親の多くも「地学」を学んでおらず、そして、今の高校生たちも同じだ。
(中略)
理科教育は、誰もが知るように、「物理」「化学」「生物」「地学」の4つに分類されている。この内、「地学」は、地震、火山、気象、宇宙、という、まさに私たちを取り巻く自然環境を理解するための科目だ。教科書では、地震、火山、台風等に伴う様々な自然災害の猛威や歴史、そして、それらが引き起こされるメカニズム等が本編で記載されているだけでなく、防災そのものをテーマにした章も設けられている。大津波も、豪雨の後の土石流も、何度も繰り返されており、必ず繰り返されるということを実感し、どうすれば少しでも被害を減らすことができるかを科学的に学ぶのが地学だ。
しかし、「地学」の空洞化は、今の高校三年生、つまり今度の大学入試から適用される、新しい学習指導要領(新カリキュラム)の出足から表面化した。
(中略)
新カリが適用される生徒が高校二年生になる平成25年時点でも、「地学」の教科書だけが、どの出版社からも発行されなかったのである。学校からのニーズがほとんどないことがわかっているために、出版社にとっては、収益が見込めないからだろう。
その結果、文部科学省は、急遽、「地学だけは、新カリキュラムの授業を行う際に、旧カリキュラムの教科書を使用することもやむなしとする。文科省で旧カリと新カリの対応表を追って作成する」という旨の通知を全国の教育委員会に出さざるを得ないような事態となったのである。
今年からはようやく二社が「地学」の教科書を出版したが、高校では、理系の大学等に進学する生徒たちは、「物理」「化学」「生物」の三科目から二科目を選択するのが当然にようになって久しい。つまり、理系の生徒は「地学」を学ばないのである。(以下略)

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引用元は1ヶ月以上前の記事ですが、私が気がついたのが今日なので、今更ですが紹介します。掲載されているWedgeというのは、時々地下鉄で車内吊広告を見かけます。広告で見る限り、かなり右よりの内容と感じます。現物も、書店で立ち読みしたことがあったかな?ただ、この引用記事は、非常に重要な指摘を含んでいるように思われます。

地学というのも、よく考えてみると不思議な科目で、地質学や地球物理学など狭い意味での地学の他、気象に関することや天文分野まで(宇宙のことが、なぜ「地」学なのか、よく考えると不思議な話ですが)含まれます。更に、実は生物に関することも、現生の生物に関しては生物学の範疇ですが、古生物学は地学の範疇に含まれます。古生物は化石になっているものであり、化石は地中に埋まっているものだから、でしょう。
学校教育だけではなく、書籍の分類もそうなっているので、図書館や大型の書店で恐竜に関する本を探すと、生物学の棚ではなく地学の棚に並んでいます。(もっとも、生物と地学自体が、隣同士の棚だったりするのですが)
そして、地震、火山噴火、それに伴う津波、台風などの大雨、土砂災害など気象災害、あるいは異常気象、いわゆる「自然災害」よ呼ばれるものはほとんどは、「地学」の範疇に属する事象です。例外は、感染症の流行くらいでしょうか。これは生物学の範疇に属する事象です。
そう考えてみると、いわゆる「理科」の教科の中でも、日常生活にもっとも縁の深い分野は地学ではないかと思われます。

中学だと、理科は第1分野(物理化学)と第2分野(生物地学)に分けられていて、地学は誰でも学ぶ、はずです(30何年前、私が中学生のときはそうでした)。
高校でも、私の時代の私の高校では、1年で生物と地学を学んだ。2年からは選択制で、2年のときに私は物理を選択しましたことは覚えているのですが、履修したのが物理だけだったのか、他の分野もあったのか、3年のときは何を履修したのか、そのあたりがまったく記憶にありません。私は文系志望だったので、3年では理科の授業は最低限しか履修しなかったのかもしれません。生物の授業は、2年か3年のときも受けたような気がするのですが、生物の先生とは、授業以外でもいろいろな付き合いがあって(夜の高尾山登山に連れて行ってもらったことがありました)、授業を受けたのか、課外授業だったのか、今となっては記憶が定かではありません。
実は、地学の先生にも、同じく学校の授業以外で師事しておりまして、長野県・野尻湖のナウマンゾウの化石発掘に連れて行っていただいたことがありました。要するに、私は生物と地学という分野が大好きだったのです。で、それは突き詰めて言えば自然が大好きということで、それが現在の山登り好きにも通じているわけです。


これほど自然災害の多い国でありながら、災害に関する知識と深く結びついている地学という教科を学ぶ人が少ない、というのは、大いに問題です。





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最終更新日  2014.10.06 20:44:25
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