inti-solのブログ

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2015.01.02
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冬山、相次ぐ遭難…1人が死亡、2人が行方不明


長野県警によると、燕岳では12月31日、1人で登山していた山梨県笛吹市無職(64)から携帯電話で家族に「道に迷った」と連絡があった。救助隊が標高約2600m付近で発見して山小屋に運んだが、心肺停止状態になった。~低体温症とみられる。12月30日から3泊4日の予定で入山したが、天候が悪化し道に迷ったとみられている。
北アルプスでは、大遠見山でも1日、東京都調布市の男性(40)が遭難し、2日にヘリで救助された。男性は低体温症になったが命に別条はない。
南アルプス市の北岳では12月31日、道に迷って遭難した男女2人から110番があった。男性は2日朝、頂上付近の避難小屋にいたところを救助されヘリで搬送されたが、手足に凍傷を負った。一緒に登山をしていた大阪府の40歳代女性は発見できず、山梨県警は3日も捜索を続ける。
日光市では、女峰山から男体山にかけてのルートを1人で登山していたさいたま市会社員(47)が下山予定の12月31日に戻らず、登山仲間が1日、栃木県警日光署に届け出た。栃木県警は2日、ヘリで捜索したが悪天候で中断、3日は朝から捜索する予定。

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引用した記事にはありませんが、このほかに槍ヶ岳で2人、奥穂高岳で4人が遭難と報じられましたが、こちらはその後無事に下山したようです。
かく言う私も、27日かに28日にかけて西穂高岳独標に登ってきたわけですが、このときは天気は快晴、風も、それほど強くなく(この時期の北アルプスの稜線上としては、です)絶好の登山日和でした。ただ、その時点で、28日夜から天候は下り坂、という予報はありました。(なので、私は登るならこの日程しかないと踏んだわけですが)
実際のところ、その後天気がどう推移したのか、 Facebook内の「やさしい山のお天気教室」 に、西穂高山荘付近の天気の概況が掲載されています。

29~30日 吹雪、30日は稜線上で風速20~25mの暴風で、新穂高ロープウェーも30日午後は運休。
31日 日中は風はそれほど強くないが終日降雪、夜間に低気圧通過によって風が強まり荒れる。
1日 日中は降雪はあるものの風は弱く、標高の高いところでは視界が開ける時間帯もあった。
降雪は、30日未明から午後3時までの間に吹き溜まりで50cm以上、31日日中は不明、夜間は事前予報よりは少なく30~40cm程度。山荘付近の累計積雪量は190cmくらい。


冬山で天気が荒れると、どのくらいすごいか、他ならぬ私自身が、一昨年の年末に同じ西穂高で経験しています。そのとき撮った動画です。(1年前にも紹介していますが)



12月30日もかなり強烈な風ですが、このときはある程度は視界もあり、まだ序の口でした。本格的にやばかったのは12月31日で、風もいっそう強烈な上に、降雪でまったく視界が利かない、これが一番怖かったです。
このときは、動画に写っている丸山というところから引き返しました。丸山というのは・・・・・・

20141227Nishiho07.jpg
この写真に写っているのですが分かりにくいので一部を拡大すると

20141227Nishiho07B.jpg
写真左下に人と、標識が立っているところが丸山です。
山小屋から独標までの1/3くらいの位置、距離的は山小屋から500mも離れていません。そんな場所で、早くもそれ以上先に進めなくなってしまったのです。
動画に、吹雪の中、他の登山者が何人か写っていますが、彼らは先に進んでいきました。ところが、私は、彼らも引き返すのだと思い込んで、一瞬彼らについて歩き出してしまうくらい、視界が利かなかったのです。すぐ、間違いに気が付いて引き返しましてたが。
他の登山者と離れて一人で引き返すことに、一瞬恐怖を感じました。めがねが曇ったまま凍りついており、この動画以上に、私自身の視界は悪かったと思います。
ほとんど見えないめがねで丸山まで引き返して、指導標を発見するのが一苦労。そこからは、動画に写っている赤旗をつたって(それも、10メートル毎くらいに立っているにも関わらず、ぼんやりとしか見えなかった)山小屋まで無事に帰ったわけです。冬山のルート上に立つ赤旗、あれが実際に初めて役に立ちました。なお、先に進んでいったほかの登山者も、結局その後ほどなくして引き返してきました。
しかし、そんなに荒れた天気でも、稜線から下って一歩樹林帯に入ると、雪は降っているものの風はほとんどなく、トレースもしっかりしているので、山小屋からロープウェー終点までは、何の問題もなく下ってきました。森は偉大だなと思いますよ。

しかも、西穂高山荘は、北アルプスの中でも最南端に位置しています。冬型の気圧配置の際は、日本海に近ければ近いほど天気は荒れる。日本の気象というのは不思議なもので、日本海気候と太平洋気候の境目付近では、10キロの距離の差で積雪量や天候が大きく変わったりします。一人亡くなった燕岳は、北アルプスの中では南部ですが、西穂独標よりは10km以上北に位置しています。まして大遠見山は北アルプスの北部です。西穂高山荘付近より降雪はかなり多く、天気も西穂高よりさらに悪かったはずです。

ヤバイ天気のときは、無理せず引き返せ、ということなのだと思います。

一方、太平洋気候が卓越する八ヶ岳では、この間、天気はそれほど大崩れはしなかったはずです。(冬型が極度に強まると、八ヶ岳でも雪が降りますが、通常は冬型になれば八ヶ岳は晴れる)そのせいか、八ヶ岳ではこれまでのところこの年末年始では遭難は報じられていないようです。八ヶ岳は冬季営業している山小屋がたくさんあるので、登山者の絶対数は北アルプスより多いはずですけどね。ただ、天気は良かったでしょうが、風は強烈だったはずです。

二人が遭難して一人だけ救助された北岳は、八ヶ岳以上に太平洋気候の下にあるので、やはりこの間に天気は大崩れしていないはずですが、何か特異な事情があったのでしょうか。一人は未発見だそうですが、冬山でテントでも避難小屋でもない屋外で一晩過ごしたら、残念ながら生存は厳しいだろうなあ・・・・・・。何とか無事でいてほしいですけどね。

ちなみに、私は一昨年から山岳救助費用の保険に加入しています。遭難なんかしないのが一番だし、遭難するかもしれないような条件のときはサッサと引き返すことを信条にしていますけど、やっぱり万が一ということがあり得ますから。





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最終更新日  2015.01.03 01:04:35
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