inti-solのブログ

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2015.02.19
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テーマ: 戦争反対(1197)
カテゴリ: 戦争と平和
朝雲寸言
※コラムが更新されたため、リンク切れになっています。
過激派組織「イスラム国」による日本人人質事件は残念な結果となった。悔しい気持ちはわかるが、自衛隊が人質を救出できるようにすべきとの国会質問は現実味に欠けている。

作戦に際し、米軍はイスラム国の通信を傍受し、ハッキングもしていたに違いない。さらに地元の協力者を確保し、方言を含めて中東の言語を自在に操れる工作員も潜入させていたはずだ。もちろん人質を救出するためであれば、米軍の武力行使に制限はない。それでも失敗した。
国会質問を聞いていると、陸上自衛隊の能力を強化し、現行法を改正すれば、人質救出作戦は可能であるかのような内容だ。国民に誤解を与える無責任な質問と言っていい。
これまで国会で審議してきた「邦人救出」は、海外で発生した災害や紛争の際に、現地政府の合意を得たうえで、在外邦人を自衛隊が駆け付けて避難させるという内容だ。今回のような人質事件での救出とは全く異なる。
政府は、二つの救出の違いを説明し、海外における邦人保護には自ずと限界があることを伝えなければならない。私たちは、日本旅券の表紙の裏に記され、外務大臣の印が押された言葉の意味を、いま一度考えてみる必要がある。(2015年2月12日付『朝雲』より)

ーーー

自衛隊が海外で人質救助作戦できるようにすべきである、という議論については、当ブログでちょっと前に取り上げたことがあります。

自衛隊を出せば解決するわけではない(訂正・追記あり)

人質救助作戦というのは、自国内で行う場合だって、決して簡単なことではありません。ましてそれを国外で行うことは、実質的にほぼ不可能であり、世界最強の米軍でさえ、対イスラム国の人質救出作戦にはことごとく失敗しています。そんなことは右翼のおとぎ話にすぎないのです。
と、いうはなしを書いたら、何と、自衛隊の事実上の機関紙である「朝雲」が、どう趣旨のことを書いていました。しかも、それをホームページ上にドンと掲載しています。文章上では、「無責任な質問」を批判していますが、この質問に対して安倍は同意を示して、人質救出作戦のための法改正のに意欲を示しているので、実質的には安倍首相を批判しているのです。

「朝雲」は、読者の大半が自衛隊関係者であり、その主張は自衛隊内部の意見を代弁したものになっています。自衛隊だから右翼、ということはないですが、少なくとも左翼であったためしなどなく、自民党の安保政策に逆らうような内容であったためしはないはずです。その自衛隊の御用新聞が、安倍の政策に公然と意を唱えている。別に、朝雲新聞が左になったわけではなく、自衛隊関係者が引いてしまうくらい、安倍政権の主張が右に傾いている、ということでしょう。

要するに、このような軍事的冒険主義に対する不安と不満が、自衛隊関係者の中にも相当程度広がっている、ということでしょう。そりゃそうです。成功の望みもない救出作戦というバクチの掛金は自衛隊員の命なのですから。命令した首相は、政治生命は失うかもしれないけれど、本物の命を失うわけではないのです。





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最終更新日  2015.02.19 20:30:14
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