inti-solのブログ

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2015.05.28
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カテゴリ: 災害
箱根山、初の噴火警戒レベル2 果断か時期尚早か
噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)に引き上げられた箱根山で、火山活動活発化以降の火山性地震が観測史上最多を記録した。数年に一度、群発地震などが起こる活火山だが、12~13世紀を最後に噴火していない箱根山。地元の神奈川県箱根町ではレベル引き上げ時期をめぐり、素早い判断を評価する一方、その後の風評被害などから「早すぎた」との声も。火山と共存する町の葛藤は続いている。
気象庁が箱根山の噴火警戒レベルを2に引き上げたのは6日午前6時。それに合わせ、箱根町は噴火した場合に火口になると想定される大涌谷の半径約300メートルに避難指示を出した。
箱根山の警戒レベル引き上げは今回が初めて。数年に一度群発地震や蒸気が勢いよく噴き出す「暴噴」などが起きているが、噴火には至らず、これまで立ち入りが制限されたこともない。
箱根山の噴火は12~13世紀に起きたとみられる水蒸気噴火が最後で、火山性微動や地殻変動などを観測できるようになった近代以降は記録がない。
そのため警戒レベル引き上げに際しては「いつ噴火が起きてもおかしくなかった平成13年と似た状況」であることが判断材料とされた。気象庁の西出長官も「類推の中で基準を定めており、噴火の観測がないという間を埋めるため、専門家と議論しながら監視している」と説明している。
地元ではこの判断への是非をめぐる議論が今も続く。強羅地区の旅館経営の男性は「火山活動の活発化は火山とともに生きている地元にとっては日常」と強調。「立ち入り制限などの措置は必要だが、『レベル2』はインパクトが大きすぎ、観光客を必要以上に怖がらせている」と指摘する。
一方、「箱根は火口となる大涌谷の中を歩くこともできる。昨年の御嶽山噴火のような被害を出すことは絶対に避けなければならない」と強調するのは箱根町総務防災課の担当者。「箱根の特殊事情を考えれば早めに判断せざるを得なかった」という。
西出長官は「これまで観測されているデータを総合すると、注意を要するのは大涌谷のごく狭い範囲」と強調した上で「御嶽山噴火を受けて、気象庁も丁寧に情報を提供するように心がけている。正しい情報を持って、正しく恐れてほしい」と呼びかけている。

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富士山の宝永噴火は、観測機器の記録こそありませんが、文献記録が残っており、噴火の始まった日時も特定されていおり、それが宝永大地震の49日後だったこと、噴火の直前の群発地震の様子(もちろん、有感地震しか分からないですが)、火山灰が最初は白く、途中から黒い火山灰に変わった(つまり、噴火中に火山灰の成分が変わった)ことなどが、文献記録から分かっています。

それに対して、箱根山は観測史上では噴火したことがなく、また噴火を記録した文献記録も今のところ発見されていません。12~13世紀といえば、平安末期から鎌倉時代です。箱根は鎌倉幕府から近い場所ではありますけど、噴火の程度がごく小規模だったため、特に記録されなかったのでしょう。だから、地質調査で分かったこと以外は、噴火の様相、噴火直前にどんな前兆があったのか、などはまったく分かっていません。
だから、今回の火山活動活発化がどの程度噴火の可能性につながっているのかは、見当が付かないというのが現実でしょう。
ただ、間違いなくいえるのは、噴火の可能性は平常時よりは高まっている、ということです。どの程度高まっているかも分からないですけど。

引用記事には2001年と似た状況、と書いてあります。ただ、2001年には5ヶ月近くかかって記録された4000回以上の火山性地震という記録を、今回は1ヶ月で超えているので、実際には2001年を上回る状況と言っていいだろうと思います。

そうであれば、少なくとも箱根山の噴火口である大涌谷に人が大勢いる状況は、やはり危険すぎるだろうと思われます。昨年の御嶽山と同じで、きわめて小規模の噴火でも、噴火口の至近距離に人がいれば、人的被害の発生は免れないからです。

旅館経営の男性の言葉として、「立ち入り制限などの措置は必要だが、『レベル2』はインパクトが大きすぎ~」とありますが、そもそも気象庁の定めている定義ではレベル1は「火山活動は静穏」であり、立入規制はあるとしても火口内のみです(有毒ガスの噴出だけを念頭においていると思われます)。レベル2は、火口周辺の立ち入り規制ですから、今回の火山活動でレベル2というのはやむをえないところでしょう。
実際には大涌谷に通じる登山道は現在みんな入口で封鎖されているようで、主峰箱根駒ヶ岳には、ロープウェーでは登れるけれど歩いては登れないようです。人目のない場所に規制線を設けても破る人がいることから、人目のある登山口で規制しているのでしょう。


この問題をめぐっては、こんな記事もありました。

「箱根山」表記、報道も変更を 黒岩知事が呼び掛け
箱根町の大涌谷周辺で活発化している火山活動に関連し、黒岩祐治知事は27日の定例会見で、気象庁が火山情報で用いている「箱根山」の表記を「大涌谷周辺」といった表現に変更して報じるよう報道機関に協力を呼び掛けた。
「箱根山」の表記をめぐっては、山口箱根町長が菅官房長官に対し、風評被害防止の面から変更を検討するよう要望。県も気象庁に同様の申し入れを行った。
黒岩知事は「『箱根山に噴火警報』とされると、箱根全体に危険が及ぶかのような誤解を与える可能性がある。『箱根』という広い地名ではなく『大涌谷周辺』など限定した地名を使用するよう表現に配慮していただきたい」と述べた。
黒岩知事は30~31日に実施する横浜・日本大通りのイベントに参加し、箱根の観光情報発信や物産販売などを通じて規制区域以外の安全をPRする。

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いや、名前だけ変えるというのは姑息な手段としか私には思えません。前述のとおり、中央火口丘は箱根駒ヶ岳ロープウェー以外は全部入山禁止になっています。

大涌谷周辺立入規制エリアマップ

赤い楕円形のエリアだけならともかく、実際には赤線の道路・登山道・ロープウェーがすべて規制されており、この規制範囲を「大涌谷周辺」と呼ぶのは無理がありすぎます。
風評被害を気にするのはいいけど、そこを気にしすぎて噴火が起きたとき人的被害を招いたら最悪だと思うんですけどね。





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最終更新日  2015.05.28 22:44:20
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