inti-solのブログ

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2016.01.18
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カテゴリ: 政治
「天皇」と呼び捨てにしながら開会式に出席する共産党ってどういうこと? 「人間として当たり前」って

国会議員が開会式に出席するのは「当たり前だ」と思っていた。だが、少なくとも共産党にとっては常識でなかった。いわく、天皇陛下のお言葉には政治的な発言が含まれ、「高い玉座からお言葉を賜る」(志位氏)という形式に反対だったからだという。
ところが今回、天皇陛下のお言葉が「ここ三十数年は儀礼的、形式的な発言が慣例として定着した」(志位氏)と判断し、方針を転換した。ならば昨年から出席してもよかったのに、なぜ今年からなのか。安全保障関連法の廃止を目指す野党連立政権「国民連合政府」構想を提唱する共産党にとって、他党の「共産党アレルギー」を払拭する狙いがあるのは明らかだ。
志位氏は開会式後の記者会見で「私たちは一貫している。現行憲法の国民主権、主権在民、そして天皇の制度については国政に関する権能を有さないという制限条項を厳格に守ろうと。この1点でこれまでも対応してきたし、これからも対応する。変わらない」と説明した。「なぜ今回からなのか」の説明になっていないが、開会式での所作に関する次の言葉にはもっと驚いた。
「衆院議長にしろ、天皇にしろ、礼をしたときに私たちも礼をした。人間として当たり前だ」
礼をするのが当たり前ならば、公の場で天皇陛下を「天皇」と呼ばないことも当たり前ではないか。呼び捨てにする感覚は、少なくとも私にはない。志位氏が「厳格な順守」を訴える憲法の第1条には、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」とある。天皇陛下を尊重しない姿勢は国民をないがしろにすることにつながり、憲法の精神にもとる。このことからしても志位氏の言うところの「当たり前」を共有できない。(以下略)

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一言でいってバカ記事の極みです。いかにも産経らしい。
確かに、60年以上開会式に欠席してきたのが、今年から方針転換して出席したのは、記事の見立てどおり、野党共闘のための策だと、私も思います。でも、それの何が問題なのかは、私には分からない。共産党は、以前は「わが党のみが唯一、常に正しい」という唯我独尊的態度で、野党の中でも孤立する傾向がありました。特に宮本時代はそれが特に著しかった。そのような孤立主義を捨て、自党の政策の中で、譲れる部分は譲ることで他党との連携を図るのは、政治的な選択としてごく当たり前のことではないでしょうか。
今は、自公政権だって、連立政権です。連立相手との協調を優先して、自党の政策の譲れる部分は譲る、自民党と公明党だってやっていることですから、共産党がやってはいけない、ということはないでしょう。

更に馬鹿馬鹿しいのは、天皇に陛下という尊称を付けないのはけしからんという言い分。「呼び捨てにする感覚は、少なくとも私(記者)にはないそうですが、極右新聞の感覚を一般化されてもねえ。
かつて、保守系の政治学者であった高坂正堯は、天皇のことを「天皇さん」(関西弁だったから、天皇はん、だったかも)と呼んでいました。確か、討論番組でも(確か朝まで生テレビだったと思う)、私にはこっちの方がしっくりくる、とか何とか言っていたような。今の産経の飛ばしようだと、この高坂氏すら批判の対象になりかねません。

憲法第1条には、確かに天皇は国民統合の象徴と規定されてはいます。しかし、当たり前の話ですが、それは全国民が天皇を敬え、という義務規定じゃありません。そんな義務は憲法のどこにもうたっていません。だいたい、「陛下」という尊称を付けずに「天皇」と呼ぶことが即「天皇陛下を尊重しない姿勢」だという言い分は、かなりぶっ飛んだものだと私は思います。

そもそも、日本語で「陛下」という尊称を付けるのは、天皇と外国の国王だけですが、例えば、イギリスのエリザベス女王に対して、儀礼の場では「女王陛下」と言いますが、それ以外では、いちいちそんな回りくどい言い方はしません。
当の産経新聞自身の記事 だって、「英女王、クリスマスメッセージ 戦後70年にも言及」と、「陛下」という尊称をつけずに報じています。

同じく、儀礼の場では、大臣、大使、軍人(自衛官も)の将官などは「閣下」と呼びますが、儀礼の場以外ではいちいち閣下なんて呼びはしません。国会の答弁で「総理大臣閣下」なんて言わないじゃないですか。
天皇だけはそれらの慣例の例外にしたいと思うのは勝手です。そう思う人、思う新聞は、律儀に「天皇陛下」と呼称すればよろしい。しかし、他人にまでそれを強要するなと言いたい。
私は、個人的には今の天皇や皇太子には好感を持っていますし、象徴天皇制も廃止する積極的な理由は少ないと思っています。しかし、本人と直接会話するような場でない限り(私にそんな機会があるはずがありませんが)、いちいち「陛下」と尊称をつける必要性を感じません。





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最終更新日  2016.01.18 21:28:31
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Re:不敬罪でもあるまいし(01/18)  
maki5417  さん
おっしゃる通りです。
国民主権の日本です。天皇と国民どちらが偉いかサンケイに聞いてみたいです。
天皇なんてただの役職名でしょう。
せいぜい「天皇さん」くらいでいいのではないでしょうか。 (2016.01.19 08:26:15)

Re[1]:不敬罪でもあるまいし(01/18)  
inti-sol  さん
maki5417さん
>おっしゃる通りです。
>国民主権の日本です。天皇と国民どちらが偉いかサンケイに聞いてみたいです。

おそらく、そういう比較を問うこと自体が許せない、とか言い出すでしょうね。

>天皇なんてただの役職名でしょう。

私もそう思います。それ自体が敬称なんだから、天皇というのは呼び捨てではありません。 (2016.01.19 12:47:02)

Re:不敬罪でもあるまいし(01/18)  
反維新 さん
全く同感ですね。昨今の天皇のかなりリベラルな言動を見るにつけ、実は産経こそ天皇のことを一番苦々しく思ってるんじゃないですかね?余計なこと言うな、的な。

あと余談ですが、共産党の議員は絶対に「総理」と呼ばないですよね。他党の議員は普通に「安倍総理が〜」と言いますが、共産党の方々は「安倍首相」って言います。何か理由があるのかなっていつも思います。関係ない話ですいません。 (2016.01.19 17:50:00)

Re:不敬罪でもあるまいし(01/18)  
おっちゃん さん

>更に馬鹿馬鹿しいのは、天皇に陛下という尊称を付けないのはけしからんという言い分。

こういうことを言われた場合は
これまでに産経新聞あるいは産経新聞関係者が「天皇」と呼び捨てにした記事や発言を調べてリストアップすればいいのですよ。いくらでも見つかると思う。
書いた記者は責任取れるか?<笑> (2016.01.19 19:14:36)

Re[1]:不敬罪でもあるまいし(01/18)  
inti-sol  さん
反維新さん
>全く同感ですね。昨今の天皇のかなりリベラルな言動を見るにつけ、実は産経こそ天皇のことを一番苦々しく思ってるんじゃないですかね?余計なこと言うな、的な。

そうそう、あり得ることです。

>あと余談ですが、共産党の議員は絶対に「総理」と呼ばないですよね。

あれ、そうでしたか。それは気がつきませんでした。辻元議員が社民党時代に、国会質問で「総理総理」とよく言っていました。
共産党の議員は、今はどうか知りませんが、一昔以上前は、「国会」を「こ」にアクセントをつけて発音するという癖がありましたねえ。世間一般的には「か」にアクセントが来るように思いますが。

おっちゃん

>これまでに産経新聞あるいは産経新聞関係者が「天皇」と呼び捨てにした記事や発言を調べてリストアップすればいいのですよ。

なるほど、確かに。だけど、おそらく紙面上では呼び捨て記事はないのではないかと思います。そのあたりは、各新聞とも校正が結構しっかりしているので。紙面とは別に、記者が個人的に書いている文章なら、いくらでもあるでしょうけど。 (2016.01.19 20:51:55)

Re:不敬罪でもあるまいし(01/18)  
Bill McCreary さん
私のように、年がら年中安倍晋三を馬鹿だクズだ亡国・売国首相だと罵倒している人間は、産経からすれば不敬罪(最初「不経済」と変換されて苦笑。まあつまりは不敬罪なんてさすがに過去の言葉ということでしょう)で逮捕したいくらいでしょう、本気で。

なお、私はたぶんinti-solさんより、天皇とか天皇制とか皇室とかへの態度は厳しいと思いますが、しかし実は今の天皇(皇太子は知りません)へはそれなりに好意を持っています(笑)。父親よりずっといい人間だと思います。これは育った環境や時代なのでしょうね。

>反維新さん

>inti-solさん

>あと余談ですが、共産党の議員は絶対に「総理」と呼ばないですよね。他党の議員は普通に「安倍総理が〜」と言いますが、共産党の方々は「安倍首相」って言います。何か理由があるのかなっていつも思います。

>あれ、そうでしたか。それは気がつきませんでした。

実は私も、以前「総理」と「首相」の関係に着目したことがありましてちょっと調べたことがあります。Wikipediaの「内閣総理大臣」によると、

//ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E9%96%A3%E7%B7%8F%E7%90%86%E5%A4%A7%E8%87%A3

>政党では日本共産党が、機関紙しんぶん赤旗のみならず、国会質問・演説等でも「首相」を用いる傾向が強い。個人差はみられるが、他の国務大臣についても、「法相」「外相」など略称を優先して用いる傾向がある。これは天皇制への問題意識から、「大臣」という呼称に抵抗があるためとみられる(ただし、「相」も漢文由来の表現で、もともとは君主の重臣のこと。「丞相」「相国」など)。

とありますね。それで、テレビ局なども、NHK、TBSなどはテロップでは「首相」と出しても音声では「総理大臣」、テレビ朝日などはテロップでも「総理」としていますね。外国の「首相」はあくまで「首相」で、安倍総理大臣、××首相、と言った感じてテレビ朝日はテロップを出します。

どうでもいい話ですが、私は日常会話でも記事を書く時もほぼ100%「首相」です。鳩山さんだろうが安倍だろうが誰でも同じ。××大臣でなく、財務相、法相と会話でも記事でも使用します。やはり私も、「大臣」という言葉の権威主義的な部分を嫌っているのかもしれません。inti-solさんは、日常会話ではどちらを使われますか。 (2016.01.20 20:34:36)

Re:不敬罪でもあるまいし(01/18)  
Bill McCreary さん
あ、すみません。この記事かなり笑えます。

//d.hatena.ne.jp/pr3/20070719/1184850104

宮本時代の共産党に唯我独尊の傾向が強かったのは、治安維持法下の獄中でも非転向を貫いた、っていう自負のゆえでもあったんですかね。 (2016.01.20 20:58:23)

Re[1]:不敬罪でもあるまいし(01/18)  
inti-sol  さん
Bill McCrearyさん

>実は私も、以前「総理」と「首相」の関係に着目したことがありましてちょっと調べたことがあります。Wikipediaの「内閣総理大臣」によると、

>//ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E9%96%A3%E7%B7%8F%E7%90%86%E5%A4%A7%E8%87%A3

>>政党では日本共産党が、機関紙しんぶん赤旗のみならず、国会質問・演説等でも「首相」を用いる傾向が強い。~これは天皇制への問題意識から、「大臣」という呼称に抵抗があるためとみられる

なるほど!!左翼(くずれ)でありながら、そんなことはまったく知りませんでしたよ。

>どうでもいい話ですが、私は日常会話でも記事を書く時もほぼ100%「首相」です

私も、文章ではほぼ100%首相ですね。「総理大臣」と言うことは、1%くらいはありますが、書くことは(引用を除いて)ありません。「総理」は言わないし書きません。 (2016.01.20 22:03:37)

Re[2]:不敬罪でもあるまいし(01/18)  
おっちゃん さん

内閣総理大臣が私の個人的な知り合いであれば「総理」と呼ぶと思います。
仕事上でもプライベートでも、です。
そんな場面での「首相」は日本語としておかしいでしょう。
(2016.01.20 23:45:06)

不敬罪は事実上もう日本に存在している  
芋田治虫 さん
「ムッソリーニ万歳」
こういっただけで逮捕されるなら、その国末期。
どういう体制でも、戦前戦中のどの枢軸国よりもひどい。
どっちにどう進んでもその国の終わりは近い。
日本に無関係の話ではない。
日本で不敬罪が事実上存在している以上、そうならないと誰が断言できるだろうか。 (2019.07.29 01:23:11)

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