inti-solのブログ

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2016.06.11
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6年ほど前の2010年に、電気事業連合会が出した、日本全国の発電電力量の実績と将来予測があります。


発電電力量の実績および見通し

1980年から2000年までの電力(発電量)は、急激に増加してきましたが、21世紀に入ってからは、明らかに伸びが鈍化しています。特に2005年と2008年の間には、わずかな伸びしかありません。が、今後は再び、急激に発電量(≧電力需要)が伸びると、電力業界は考えたわけです。だから、原発をいっぱい作ろう、という考えだったのでしょう。
しかし、このグラフの中で最新の実績データである2008年は、いうまでもなくリーマンショックの発生した年です。その影響は、2010年の時点でもまだ強く残っており、こんな右肩上がりに発電量が伸びるという将来予測が果たして妥当だったかどうかは、大いに疑問が残ります。(震災前の予測なので、震災の影響が盛り込まれなかったのは仕方がないでしょうが)

現実の発電電力量はどう推移したか。同じく電事連のホームページに公開されています。

電源別発電電力量構成比

実のところ、最初のグラフでは省かれているのでわかりませんが、2008年の発電量は、その前年2007年に対して微減となっています。そして、その2007年をピークとして、2015年に至るまで、2010年(記録的猛暑だった)を唯一の例外として、一貫して、右肩下がりで発電量は下がってきています。2015年度の発電量は、9000億KWhを下回り、8850億KWhとなっています。これは1996年以来の数字で、つまり20年前の水準に戻った、ということです。冒頭に引用した予測値には、2015年の数字はありませんが、2013年の数字では、予測と実績の乖離は1000億KWhを超えます。その2013年と比べて、更に500億KWhも発電量が減っているのだから、予測との乖離は1500億KWhを超えるでしょう。
実際、発電量はピークだった2007に比べて15%近く減っています。今年は、猛暑の予報なので、何年かぶりに電力量は前年度に対して増える可能性がありますが、そうだとしても、そう大幅な増にはならないでしょう。
原発を巡っては、「原発を動かさないと電気が足りない」という、「電気足りない詐欺」が盛んに叫ばれましたが、現実はかくのごとしです。それに、本質的には「これからどんどん電力消費を増やしていこう」などというのが、今後の日本の進むべき姿ではない、むしろ、可能な範囲で省エネに努め、電力消費はさらに減らしていくべきだと私は思います。実際問題、今後も省エネが継続すれば、8500億KWhを下回るのはそう困難ではなさそうだし、8000億KWhを下回ることも、不可能ではないでしょう。

加えて、リンク先を見てもらえると、地熱及び新エネルギーの発電割合が、まだ絶対的にはわずかながら、急激に増えてきていることが分かります。これもまた、よい傾向です。


それにしても、原発推進派は、最初は「原発を再稼働しないと電気が足りなくなる」と叫んでいました。しかし、2014年にはとうとう原発の発電量は年間を通じて0でしたが、電気が足りなくなることはありませんでした。そこで、今度は石油の世界的高騰に目をつけて、「無駄な燃料代を払っている」と叫び始めました。しかし、そのうちに石油の価格が暴落してしまいました。次はどんな理由で「原発を動かせ」というのかな。





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最終更新日  2016.06.11 22:09:09
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