inti-solのブログ

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2016.08.16
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テーマ: 戦争反対(1197)
カテゴリ: 戦争と平和
安倍首相 核先制不使用、米司令官に反対伝える 米紙報道


同紙は、安倍首相はハリス氏と会談した際、米国が「先制不使用」政策を採用すれば、核兵器開発を強行する北朝鮮に対する核抑止力に影響が出ると反対の考えを述べたという。
日本政府は、日本の安全保障の根幹は日米安保条約であり、核抑止力を含む拡大抑止力(核の傘)に依存しているとの考えを米国に重ねて伝えている。先制不使用政策が導入されれば、「核の傘」にほころびが出ると懸念する声がある。
2010年には当時の民主党政権が、米国が配備している核トマホーク巡航ミサイルの退役を検討していることについて、日本に対する拡大抑止に影響が出るのかどうかを問う書簡を、岡田克也外相がクリントン米国務長官などに対して送ったと公表している。核軍縮を目指す核専門家からは「核兵器の廃絶を目指す日本が、皮肉なことにオバマ政権が掲げる『核兵器のない世界』の実現を阻んでいる」という指摘も出ている。

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核の先制不使用宣言は、実はそれほど特別に先進的な政策というわけではありません。核兵器保有を公認されている5大国のうち、中国だけが核の先制不使用宣言を行っていますが、他の4カ国、あるいはそれ以外の核保有国もそうですが、核を先制攻撃に使おうと思っている国はありません。第二次大戦後71年間、核実験は別にして、実戦で核兵器が使われることはありませんでした。この間世界に戦争が絶えたことはないけれど、核だけは使われなかった。それは、どの核保有国も、「最初の核使用国」になることが怖かったからです。それは、道義的な批判を浴びるという面もあるし、相手国が核保有国であれば、確実に核による反撃を受けるからでもあります。
それに、1発目と2発目では核使用への敷居の高さが違います。核が1発でも実戦で使われたら、2発目は簡単に使われることになります。現在の核拡散防止体制も崩壊して、各国がこぞって核開発競争を始めるのをとめることはできなくなるでしょう。そうなることは、結果として現在の核保有国が握る核の抑止力という機能を失わせることになります。伝家の宝刀は抜かないから伝家の宝刀なのであって、一度でも抜いてしまったら神通力が失われるのです。
そんなことになるのは、核保有国自身にとってもマイナスでしかないので、核を先制使用する国が、これまではなかったわけです。

そもそも、「核抑止力」と言われますが、核が抑止力として機能するのは核に対してだけです。通常兵器による戦争に対しては、核兵器は抑止力としてまったく機能していません。
第二次大戦後、実戦では一度も核兵器が使われていないのは、核が核に対する抑止力として機能している証拠です。しかし同時に、通常兵器による戦争がこの間世界から絶えたことはありません。核保有国が参戦した例も数多く存在します。非核保有国が核保有国に対して先制攻撃をかけた例(朝鮮戦争、第4次中東戦争、フォークランド戦争)もありますし、核保有国が非核保有国に戦争を仕掛けた例(ベトナム戦争)でも、非核保有国側が核を恐れて降伏したことはありません。

核の先制不使用宣言というのは、こういった核の実質的な現状を単に明文化するだけのことですから、たいして驚くような話ではないのです。北朝鮮がどうこうと言いますが、先制不使用宣言があろうがなかろうが、北朝鮮が核を使わないのに米国が先に核を使用することなど、できるわけがないのです。そもそも、米国が核を先制使用するようなことは(もちろん、それ以外の核保有国でも同様ですが)日本にとって、害悪でしかありません。だって、核による先制攻撃への反撃の核兵器は、日本に降ってくる可能性が決して低くないのですから。
そういう意味では、万が一トランプ政権になってしまったらどうなるか分からない恐ろしさはあります。だからこそ、核の安易な使用に対するたがをはめておくことは重要だと思うのですが、安倍政権はそうは考えないようです。
核の先制不使用宣言に反対、ということは、場合によっては核を先制使用すべきだ、ということです。そうなれば、前述のように、結果として北朝鮮からの核による反撃が日本に降りかかってくる可能性が少なからずある。そのことをどう考えているのか、あるいは何も考えていないのかは分かりませんが、狂っているとしか私には思えません。





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最終更新日  2016.08.17 09:12:55
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