inti-solのブログ

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2017.01.05
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カテゴリ: その他
「九段線」入り地球儀、大阪の会社が全国販売…中国から輸入、政治的意図反映か
大阪市内の卸売会社が国内で販売する中国製の地球儀に、中国が自国の権益を主張するため南シナ海に設定した「九段線」が表記されていることが2日、分かった。オランダ・ハーグの仲裁裁判所は九段線に「法的根拠はない」と判断し、日本政府も中国の排他的な支配を認めていない。同社は「係争中の“国界”を記した」と釈明するが、南シナ海をめぐる中国以外の周辺国の主張には触れておらず、専門家は「中国の政治的意図を反映した商品だ」と批判している。(以下略)
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まあ、なんと下らないことに目くじらを立てているのか、とあきれ返るばかりです。「九段線」が国際的な承認のない中国の一方的な主張であることは事実ですが、それを言えば、国際的な承認のない領土・領海の主張と、それに基づく地図は、世界にいくらでもあります。日本の北方領土だって同じようなものです。外国で発行されている世界地図では、北方領土はたいていロシア領として描かれています。実家にドイツ製の地球儀がありますが、そのようになっていました。今はどうか知りませんが20年前には、チリで販売されているチリ全図には、必ずチリが主張していた南極の「領土」が描かれていました。南極条約によって南極の領有権の主張はすべて凍結されているのですから、これも、国際的な承認のない表記です。

「九段線」に国際的な承認はないとはいえ、そこは日本と領有権争いがある海域ではありません。ありていに言えば、日本にとってはどうでもよいところです。
では、日本と争いのある尖閣諸島や北方領土はどうなっているのか。記事の写真では、東シナ海あたりは反射でよく写っていませんが、尖閣諸島の表記はなさそうです。このサイズの地球儀や世界地図に、あんな小さな島の名前が出ていないのは当然でしょう。北方領土もよく分かりませんが、サハリン南部が領有権未確定を示す白色なので、おそらく日本政府の公式見解に沿った表記なのでしょう。というか、九段線程度で吹き上がっている産経だから、そこがお気に召さなかったら、盛りのついた猫のように怒り狂った記事を書くに決まっています。何も触れていないということは、そこには何も問題がなかった、ということでしょう。

これが、公的機関が表示する地図、ということであれば、多少の問題をはらみます。国際的承認のない中国の主張を、日本の公的機関は支持するのか、という話になるから。しかし、一民間企業が輸入販売する地球儀、それも日本の領土領海とは離れた海域の小さな小さな表記に、なにをそんなに吹き上がっているのか。別記事では、この地球儀を輸入した会社の幹部のインタビュー記事、要するにつるし上げ記事まで掲載しています。
要するに、中国の味方をするような動きは、民間企業の輸入する地球儀であっても許さないぞ、という思想取り締まり警察をやろう、というわけです。あなおそろしや、と思います。

米国の大統領選の結果に関連して、米国のポリティカル・コレクトが槍玉に挙がっているようです。その尻馬に乗って、日本でもポリティカル・コレクトけしからぬと吹き上がっている人たちがいるわけですが、何のことはない、そういう連中は、「九段線が地球儀に描かれているのは許さないぞ」と、別種のポリティカル・コレクトを強いようとしているだけの話です。少数派や多様性への憎悪や差別を助長しないためのポリティカル・コレクトには反対で、ナショナリズムを煽り外国への敵意を憎悪を煽るためのポリティカル・コレクトは大賛成、としか思えないのです。





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最終更新日  2017.01.05 20:21:41
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