inti-solのブログ

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2017.06.20
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テーマ: 戦争反対(1197)
カテゴリ: 戦争と平和
自民 安保調査会 防衛費はGDP2%程度に NATOを参考


そのうえで、GDPの1%を超えない程度で推移している日本の防衛費について、「NATOがGDPの2%を目標としていることも参考にしつつも、あくまでも必要不可欠な装備の積み上げの結果に基づいて判断するものとし、厳しい安全保障環境を踏まえて十分な規模を確保する」としています。
そして、防衛力の強化に向けて、独自の早期警戒衛星の保有を検討することや、自衛隊がサイバー攻撃の能力を備えることなどが必要だとしています。
安全保障調査会は近く、この案を党の国防関係の会合で示したうえで、提言の取りまとめに向けて、さらに検討を進めることにしています。

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要するに、自民党の国防族の連中が、防衛費を2倍にしろと言っている、というお話です。
いろいろな意味で問題の大きな話ですが、そもそもの前提条件として、日本とNATO諸国では、防衛費の定義が同じではないことに留意しなければなりません。
NATOの定義する防衛費は、国境警備隊、沿岸警備隊など準軍隊の費用、軍人の年金なども含まれます。一方、日本の「防衛関係費」には、国際的には準軍隊である海上保安庁の予算や旧軍の軍人恩給は含まれていません。
かつて、1980年代には、日本の防衛費をNATO定義で計ればGDP比(当時はGNP比)1.5%程度になるといわれました。このうち軍人恩給は、対象者がどんどん亡くなっているので、おそらく80年代当時よりは減っていると思われます。しかし、海上保安庁の予算は減っていませんから(およそ2000億)、これらの合計は今でも防衛費(政府公称)の1割は超えるでしょう。

加えて、防衛費についてNATOがGDPの2%を目標にしていることは事実ですが、その「目標」を達成している国は米国、イギリス、ギリシャ、ポーランド、エストニアの5カ国だけです。米英以外の、つまり大陸の主要国で、この「目標」を達成している国はありません。

これらの点を総合して考えれば、米国を除くNATO諸国の防衛費は、日本とは大差がないと言えます。
装備の点で考えても、冷戦終結後のNATO諸国は、大幅な軍縮を進めてきました。たとえばドイツ軍は現在、空軍の戦闘機、戦闘攻撃機は合わせて240機程度、戦車は(あの、戦車王国のドイツが)二百数十両、フリゲート艦10隻足らず、潜水艦6隻と、どれをとっても日本の自衛隊よりかなり小規模になっています。フランス軍も、原潜、正規空母(1隻だほけですが)核ミサイルという3点セットを持ってはいるものの、通常兵器は陸空で日本と同程度、海軍は日本より小規模です。空母だって、日本の「いずも」「かが」は、実質的には空母と言っても差し支えないものですし。

日本の安全保障上、自衛隊は必要な存在です。が、現在の規模を維持すべきかどうか、という点については大いに疑問を持っているし、まして今より規模を大幅に拡大する、などということはありえないことだと思っています。

そういえば、前述の、NATOの防衛費目標2%をクリアしている数少ない国の1つが財政破綻をしたギリシャです。国破れて軍事あり、巨額の軍事費は、国が経済的な意味で滅びることを阻止する役には、まるで立たなかったわけです。

以前にも記事を書いたことがありますが、自衛隊はやたらと装備の国内生産にこだわり(国内開発、あるいはライセンス生産)、その結果高価な(そして、場合によっては信頼性も劣る)兵器を少量ずつ生産する悪癖があります。そのせいで、予算を随分無駄に使っているところもあるのではないでしょうか。今の時代に、日本国内で敵の戦車を迎え撃つ、とか、野戦重砲の撃ち合い、なんてことは想像し難いですし、戦闘機や護衛艦の数にしても、日本の領土、領海、領空を守るという意味では、もう少し整理すべきでしょう。





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最終更新日  2017.06.20 19:00:05
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