inti-solのブログ

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2018.08.03
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テーマ: ニュース(95880)
カテゴリ: その他
大阪市 学テ成績結果で教員の人事評価 手当増減を検討

吉村市長は、ほとんどの科目で市の平均正答率が2年続けて政令市で最下位だった結果について「教育委員会に危機感が感じられず、結果に対して責任を負う制度への転換が必要だ」と発言。正答率の数値目標を立て、2020年度以降、達成状況によって教員の評価や勤勉手当、学校ごとの予算に反映させたいとした。
また、吉村市長は「学力の底上げにつながる」として、8校程度の市立高に難関大などへの進学を目指す「特別進学中学」を併設して中高一貫とすることや、教育委員会を四つのエリアにブロック化することも提案した。
学テを巡っては、学力だけで学校や子どもを評価することへの懸念や、競争の過熱化が指摘されている。文部科学省の担当者は「調査で測定できるのは学力の特定の一部分で、学校の教育活動の一側面でしかない。結果の扱いについては、序列化や過度な競争が生じないよう配慮すべきだ」と話している。ある市立中校長は「数字ばかり追いかけると、学力の低い子や、障害のある子をテストから排除するという誤った方向に進みかねない。あまりに短絡的だ」と危ぶむ。
大阪では学テの結果活用について混乱が続いており、15年には大阪府教委が学テの成績を高校入試の内申点評価に反映させる仕組みを作ったが、文科省が「本来の目的にそぐわない」として、実施要領で禁止した経緯もある。

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どうして、こういう短絡的な方向に進もうとするのか、わたしには理解できません。そもそも大本は文科省がこのようなテストを行うところに問題の発端があるので、文科省の担当者の言い分は「それなら全国学力テストはやめるべきでしょう」とも思えるのですが、ただその発言内容自体はまったくの正論です。
学力の地域差は、どうしたって生じるものです。例えば、東京23区の場合、最上位は渋谷区だそうですが、最下位は足立区だそうです。最上位の方はどうか分かりませんが、最下位は大方の予想どおり、ではないでしょうか。では、足立区の子どもの学力が低いのは、教員が怠けているからですか?
そんなわけはありません。足立区の元教員の知人もおりますが、話を聞くに、子どもを取り巻く環境はなかなか大変と思わざるをえませんでした。

学力の偏在は、個々の学校や、ましてや教員の努力でどうにかなるようなものではなく、まさしく地域の特性ともいうべきものです。しかも、学力優秀な学校と、いわゆる教育困難校と言われるような学力の低い子の多い学校と、教員にとってどちらの方がより大変でしょうか。もちろん学力優秀な学校なら楽、などということはないでしょうけれど、教育困難校のほうが、より大変であることは自明でしょう。

それなのに、学力が低い学校その教員にはペナルティを課す、ということになったら※、教員にとって、教育困難校への配属は罰ゲーム化してしまいます。むしろ、教育困難校にこそ多大な労力を投入しなければならないのに、その逆をやることになります。特別進学中学、なる構想も同じで、一部の学力優秀な子どもだけを集めてエリート教育を施すことは、「全体の底上げ」にはなりません。

※さすがに、絶対的な成績ではなく前回成績から上がったか、下がったか、という相対比較で判断するのだろうとは思います。ただ、それでも「打てば響く」優秀な子と、打っても響かない子では、学校が同じ努力を払っても、結果に差が生じることは明らかです。

結局、大阪市長のやろうとしていることは、「底辺の底上げ」ではなく、一部の成績優秀者だけを引き上げて、成績下位は見捨てる、という方向性であり、それで問題の本質が改善するとは思えません。

入学試験は、1点2点を競い合って、合否が分かれるものです。良し悪しはともかく、希望者全員が入学できるものではない以上、入試とはそういうものと言うしかありません。しかし、学力をめぐる自治体間の競争は、そうではないはずです。大筋において、地域の子どもたちの学力は高いほうが良いことは間違いないけれど、何も1点2点の点数で順位を競い合う必要があるとは思えません。これを行き過ぎた競争主義と呼ばずして、なんと呼ぶか、と思います。





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最終更新日  2018.08.03 19:00:05
コメント(8) | コメントを書く


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Re:どうしてそうなるのか(08/03)  
Bill McCreary さん
実に意味がないですね。個々の教員の仕事ぶりとかでなく、成績の状態で手当ての増減なんてやったところで、教員ができることはきわめて限定されるでしょうに。

>最下位は足立区

東京都のなかでも、足立区の貧しさはよく知られていますね。地方の人でも、港区や渋谷区、世田谷区にあこがれる人はいても、足立区が好きな人なんかいないのが現実でしょう。 (2018.08.03 22:49:17)

Re[1]:どうしてそうなるのか(08/03)  
inti-sol  さん
Bill McCrearyさん

まったくおっしゃるとおりです。努力でどうにもならないことにペナルティを課せば、本文に書いたとおり、教育困難校への配属がペナルティ化し、ひいてはそういう学校には優秀な教員は来なくなり、悪い状況はなお一層固定化、ということになりそうです。

足立区は広いので、一概には言えませんが、例えば生活保護受給者数は23区で最大(保護率最高は、山谷を抱える台東区ですが、一方で台東区は高所得者も少なくない)、就学援助を受ける生徒児童も最大(過半数を超えるのではなかったかと)というあたりに、厳しさがにじみ出ています。
(2018.08.04 05:55:50)

Re:どうしてそうなるのか(08/03)  
Bill McCreary さん
>学校ごとの予算

てのもすごいですよねえ。成績が悪くなった学校の予算を削減するなんて話をはじめたら、まさに生徒は救われません。それこそ越境入学他がさらに横行するだけでしょう。実際まさにそのような学校に赴任すること自体、懲罰人事になりそうです。

西成区のめちゃくちゃな生活保護受給率などに代表される大阪の貧困の部分が、大阪の学力テストの成績が悪い大きな要因のわけで、学校の成績うんぬんなどというのは、その末端の部分の表れでしかないのですがね。 (2018.08.05 22:36:45)

Re[1]:どうしてそうなるのか(08/03)  
inti-sol  さん
Bill McCrearyさん

まったくそのとおりです!!
ただし、

>西成区のめちゃくちゃな生活保護受給率

これは、「西成住民の保護受給率が高い」のではなく、要保護の住所不定者が西成に流入して生活保護を申請する率が高い、ということです。つまり、子どものいる生活保護世帯はそこまで多くはないかもしれません。詳しく調べてはいませんが。

※とはいえ、西成の子ども、と言えば「じゃりン子チエ」はそのものズバリ西成が舞台ですね。当時はそんなことは思いもしませんでしたが、今になってみると、子どもにお店を任せて(児童を働かせて)おとうちゃんは遊び歩いている、母は別居、なんというか、相当美化して描いてはいますが、話としてはかなりエグイなと思います。

西成の、ではなく大阪全体の傾向として、という意味ではまさしくそのとおりでしょうね。 (2018.08.05 22:57:58)

Re:どうしてそうなるのか(08/03)  
甲斐駒ファン さん
この市長、表面的には怒りを露わにしていましたが内心は欣喜雀躍でしょうね。何せ維新の大好きな抑圧的統治を可能とするネタですから。これで成績が上がればオレ様のお蔭、成績低迷のままならば小うるさい教員どもを糾弾して締め上げる理由ができ、どっちに転んでも己の支配欲を満たすことが出来るわけで、こんなおいしいネタはほっとけないんでしょうね。えっ、成績が下がればボーナス返上で市長も痛みを伴うって?そんなこと、教員イジメの快感でたんまりお釣りがくるからへっちゃらでしょうね。 (2018.08.08 12:07:12)

Re:どうしてそうなるのか(08/03)  
gaulliste さん
学力テストの成績が悪ければ、手当を減額するというのであれば、
まず吉村洋文市長の手当を減額すべきでしょう。
大阪市の成績が悪いのですから。 (2018.08.09 15:14:58)

Re[1]:どうしてそうなるのか(08/03)  
inti-sol  さん
gaullisteさん

それを言ってはいけません。何故なら、吉村市長の給料はすでに減額されているからです。言ってみれば、トップは給料を減額しているから、部下も減額を甘んじて受け入れろ、というのが市長の理屈です。でも、そんなのを認めるわけには行かないと私は思いますけどね。 (2018.08.09 18:55:26)

Re[2]:どうしてそうなるのか(08/03)  
gaulliste さん
inti-solさんへ
>吉村市長の給料はすでに減額されているからです。
それは別の理由ですから、更なる減額をすべきでしょう。

そもそも、単なる責任転嫁ですから、まともに論じる気もないのですが。

そうそう、ふとパシフィック・リーグの低勝率罰金制度を連想してしまいましたw
あれは、言い出しっぺが罰金を食らったので、あまり理不尽には感じないのですが、すぐに止めたのは正解でした。 (2018.08.09 21:54:39)

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